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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

専門分野「以外」で問題が生じる;日本人は「相互啓発」が弱い(第117号)

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こんにちは、合同会社5W1H代表の高野潤一郎です。

ニューズレターをご購読いただいているみなさまには、一足早く「号外」で、「視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力を育みたい人のための『教養醸成の会』」 (以下、『CGG』と略)について、ご案内しておりました。

早速、CGGに関して「なぜ今、『重要』だけれど『緊急』とは思えない『教養』を高める会なのか?」「『独学』との違いについて、もう少し詳しく教えて欲しい」などといった質問をいただきました。他にも同様の質問をお持ちの方がいらっしゃるかもしれないと思いましたので、今回のニューズレターでは、こういった質問にお答えする内容を織り込んだ形で、私が考えていることをご紹介してみようと思います。

 

物事を深く理解し、自分なりに考え、相手に伝わるように伝える力
~グローバル人財育成・本質的問題解決の観点~

ニューズレター第101号では、

  • 就労者としての寿命 > ビジネスの寿命
  • 1つの組織にずっとぶら下がっていられない人たちが増える
  •  今まで以上に「深み・厚み」が求められる、「領域横断的」な能力

といった内容についてご紹介していました。

また、最近では、

  • 外国勤務をすると、外国人に日本の文化や歴史について尋ねられるが、ほとんどまともに答えられない。外国人に(少なくとも対等の)敬意を持って接してもらえない、本音で話してもらえない。そういった事柄について、深く考えたことも無いので、一人の人間として、非常に恥ずかしい思いをしてしまう。
  •  ビジネス環境の急激な変化が当たり前となり、「企業の長期存続」と「解雇や降格を氣にしなくて済む状況」を前提とした「組織内人財育成」がそぐわない業種業態も増えてきたのではないか。
  •  一方、「即戦力」を期待されて就職・転職した人物は、「数年間の後、使い捨て状態」となることもあるため、就職・転職後も「継続的な自己投資」が求められる。

といった話も良く耳にするようになってきています。

さらに、ヘンリー・ミンツバーグさんの「マネジャーの実像」にあるように、「マネジャーの部下はみな、マネジャーに比べればスペシャリストで、組織の業務の特定の部分を担当している。一方、マネジャーは相対的にゼネラリストで、組織全体を監督する。マネジャーは、特定の業務に関しては担当者ほど知らなくても、組織の業務全体についてはたいてい誰よりもよく把握している。」のが普通だとすると、組織でマネジャーのような役割を担う人々にとっては、「自分の得意とする専門分野以外で、問題が生じることが多い」ということになります!

上記のようなビジネスの実態を踏まえ、私は、「専門分野の知識・スキルを獲得するだけでなくて、一人の人間として、物事を深く理解し、自分なりに考え、相手に伝わるように伝える力」を伸ばしていくことが大切ではないかという考えを強めるようになってきています。そういった考えに基づいて、図表1を描いてみました。あなたは、図表1を見て、何を考えられるでしょうか?

専門知と教養知を活かして本質を掴む

図表1:専門知と教養知を活かして本質を掴む

※ 参考

f:id:Newsletter5W1H:20130722100256j:plain

図表2:新・π型人財 [ニューズレター第101号より転載]

 

自己啓発に強く、相互啓発に弱い日本人
~衆知を結集して総合力を高める観点~

専門職(職人、研究者ほか)の仕事ぶりに代表されるように、日本人の「こだわり」への傾倒や「完璧主義」志向は、広く世界に知られています。何かの「道を究める」という姿勢や、「要素技術」の高さには定評があるのですが、ビジネスという観点で捉えると、「部分(さまざまな要素)の総和を超えた全体(顧客のニーズに応える最終的な製品・サービスなど)を生み出す力」(相乗効果を生み出し、活かす力)が低いと言われています。つまり、専門分野で非常に優秀な個々人を輩出する「人材開発」(人財育成)の仕組みがあっても、組織としての力を引き出す「組織開発」(…多様な価値観の共存や質問し合うことを奨励する文化、組織構成員の高い当事者意識を育むプロセス、奇抜なアイディアを擁護し育てる場などへの取り組み)に熱心ではない状況だと評されているということです。


(さまざまな定義のされ方がある)組織開発が、これまで日本にあまり浸透してきていないように見える背景には、「『○○の投資をすれば、△△の成果が得られる』と事前に明確に言えない」(体質改善・体力増強への取り組みのように、「継続的な投資」が求められ、投資開始から成果が得られるまでに「遅延時間」が発生する上、「効果に個人差」がある)といった側面の影響も多いのではないかと、私は推測しています。(…「イノベーションに失敗しがちなのは、『実行力』(処理力)に秀でた人が経営幹部を占める組織」などという話もご紹介していたニューズレター第112号の内容に即して言えば、これは、「1対1対応の線形思考」に慣れ、「システム思考」に慣れていない弊害の1つのように思います。)

また、「多民族国家」と異なり、「和をもって尊しとなす」「阿吽の呼吸」が可能な「同質社会」として日本が存続してきていることも、「自己主張」や「議論」に心理抵抗を感じる国民性を助長するのに一役買っているのではないでしょうか。

こういった現状認識の下、さまざまなモノの見方(フレーム)を比較検討し、目的達成・問題解決・意思決定により適切なアプローチを選択するといった、「相互に啓発し合い、衆知を結集することで、総合力を発揮するプロセス」(「個」を活かす「組織」としてのプロセス)に関して、先頭を走る多民族国家の取り組みに学ぼうということで、MOS第8期では「組織開発」に関するテキストを用いていました。図表3は、MOS第8期の最終回で担当となった私がホワイトボードに書いていたものを基に作成しました。

無料動画「[ 第11回/全11回 ] 特徴7:答えは相手の中とは限らない」を公開してきているように、これまでも私は、一部のコーチングで言われているような「答えは相手の中にある」という前提を否定してきています。それは、上記のような現状認識をしており、今後、ますますグローバル・ビジネスの進展が当たり前となる状況では、「人財育成・自己啓発」に加えて、衆知を結集する「組織開発・相互啓発」が重要度を増していくように考えているからです。あなたは、「組織開発・相互啓発」について、どのようにお考えになるでしょうか?

組織開発と人材開発

図表3:組織開発と人材開発合同会社5W1Hにて作成)

 

人間観・世界観・歴史観に基づく状況対応力
~リーダー・マネジャーとしての在り方の観点~

企業研修を行っていると、次のような話も耳に入ってきます。

  • 研修に参加する側/OJT(on-the-job training:従業員を職務遂行の過程で訓練すること)中の部下としては、「尊敬できない人からは学べない」と思う。
  • 某コーポレイト・ユニバーシティ(corporate university:「企業内大学」とも呼ばれる、企業内人財育成を戦略的に実行する制度・枠組みのこと)の幹部曰く、ファシリテーターには、「研修内・外における言行一致の姿勢、フォードバック&コメント力、質問力、人間観・世界観・歴史観・自分なりの信念や哲学に基づく状況対応力」が求められるようになってきている。

こういった話は、何も研修講師やファシリテーターだけに限った特殊な話という訳ではなく、経営者をはじめとする、各種リーダーやマネジャーにも普遍的に当てはまる話だと考えています。ニューズレター第103号でご紹介していた、TED(Technology Entertainment Design)やオープン・エデュケーションなどといったITツールを活用することで時差・費用・空間や時間の確保などの障害を克服しつつも、やはり、リーダー・マネジャー・ファシリテーター・講師などには「人間観・世界観・歴史観・自分なりの信念や哲学に基づいて、個別具体的な事例や想定外の言動に、その場できめ細やかに対応できる力」が求められるようになってきている(画一的なコンテンツの一方的な伝達・繰り返し再生では得られない種類の学びが求められる)ように、私は感じています。

 

「不易流行」システムに倣いたい

ここまで、「なぜ今、『重要』だけれど『緊急』とは思えない『教養』を高める会なのか?」という質問にお答えすることにも配慮して、下記の3つの観点を紹介して参りました。

  • グローバル人財育成・本質的問題解決の観点:物事を深く理解し、自分なりに考え、相手に伝わるように伝える力が大切…自分の得意とする専門分野「以外」で、問題が生じることが多いため
  • 衆知を結集して総合力を高める観点:自己啓発に強く、相互啓発に弱い日本人…体質改善・体力増強に似た取り組みに投資し続けるという決断が必要
  • リーダー・マネジャーとしての在り方の観点:人間観・世界観・歴史観に基づく状況対応力が求められる…個別具体的な事例や想定外の言動に、その場できめ細やかに対応できないなら、存在価値が少ない


そして、上記のような観点に基づき、次のように考えるようになりました。

  •  自分が専門としない分野の物事についても深く理解し、適切なコミュニケーションを行う経験を積む必要がある
  • 多様な人々から知恵を引き出し、組織としての総合力を高めるには、即効性を求めない継続的な取り組みが重要
  • 個別具体的な事例や想定外の言動に即座に対応できるよう、高い視座・広い視野・自分なりの信念や哲学を持つことが重要


そして、上記のような事柄に対応するような取り組みが何かできないものかと考えて、「教養醸成の会」(CGG)を始めることにいたしました。

「不易流行」(※)という見方からすれば、「不易」に相当する取り組みが「教養醸成の会」(CGG)、「流行」に相当する取り組みが「変化促進研究会」(C研)といったところでしょうか。

※不易流行(ふえきりゅうこう)
日本数学会『数学通信』第8巻(2003年度)第2号「巻頭言」には、東京都立大学の学長を務められた荻上紘一氏の「『無用の用』と『不易流行』」という文章が収められています。


 (前略)
森羅万象は時々刻々変化即ち「流行」しますから「知」は絶えず更新されていきますが、先人達はその中から「不易」即ち「不変の真理」を抽出してきました。その「不易」を基礎として、刻々と「流行」する森羅万象を捉えることにより新たな「知」が獲得され、更にその中から「不易」が抽出されていきます。「不易」は「流行」の中にあり「流行」が「不易」を生み出す、この「不易流行」システムによって学問や文化が発展してきました。一人ひとりの人間も「不易」と「流行」の狭間で成長していきます。
 (後略)      


全文は、こちらからご確認いただけます。

 

静的な知を増やしても、物知りになるだけで、賢くはなれない

今度は、冒頭でご紹介したもう1つの質問:「『独学』との違いについて、もう少し詳しく教えて欲しい」にお答えする形で、CGG開催方法に関する私の考えを紹介いたします。

経営理念として、「自律共栄の納得人世」を掲げ、「納得」という概念を大切にしている弊社では、「識者」や「多数派」の意見を参考にしつつも、結局は、(自分が重要だと思う事柄に関しては)自己責任において自分なりの判断を下して行動することを忘れないよう、心掛けています。

仮に、誰もが(状況や立場にほとんど依存しない)既知の正解・方法論などによって「静的な知」を積み重ね、論理的に正しい分析や評価ができたとすると、みんなが同じ結論に達し、同じ意思決定、同じ行動を取らざるを得なくなります。例えば、近年の金融経済危機を思い出してみてください。金融市場が乱高下したのは、多くの人が同じ判断をした結果なのではないでしょうか?果たして、これは健全な世の中と言えるのでしょうか?私たちは、メディアでの露出の多い(ある狭い専門分野の)「識者」の発言や、「多数派」に付和雷同したりせず、自分の責任において自分なりの判断を下しているでしょうか?

これまでは別々の事柄だと思っていたことが、思いもかけない形でつながり、地球の裏側で起きた事件が私たちの生活にも影響を及ぼすような時代となり、世の中の複雑さが増していっています。そうした複雑な状況では、「静的な知」の単純な適用が可能な「唯一最善解」が見い出せないことが多くなってきています。

そこで、CGGでは、「他者とのやりとり」を通じて、「真実や解決策の探求」あるいは「思考の熟成」を進めるという、動的なプロセスの中で築く、いわば「動的な知」の鍛練に関して少しでもお役に立てればと考えて、ウェブサイトでお示ししたような「開催方法」を採用いたしました。

ダイアローグの場では、自分の考えを相手に伝えるために、話の中で取り上げられている物事についての考えを、自分の中で再体系化(言語化、概念化など)する必要に迫られます。また、「論語」の「学びて思わざれば、則ち罔(くら)し 思いて学ばざれば、則ち殆(あやう)し」といった考えにも配慮したため、ダイアローグ後の振り返り・内省の成果物(蓄積物)として「学習レポート」を位置づけています。

図表1の「右手」の働きを思い出して、「静的な知を増やしても、物知りになるだけで、賢くはなれない!」といった考え方に共感していただける方と、「視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力を育みたい人のための『教養醸成の会」でご一緒させていただき、和氣藹々とした雰囲氣の中、お互いに「動的な知」を高めていく機会が持てることを楽しみにしております。

 

さて、今回は、「視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力を育みたい人のための『教養醸成の会』」 (CGG)に関して「なぜ今、『重要』だけれど『緊急』とは思えない『教養』を高める会なのか?」「『独学』との違いについて、もう少し詳しく教えて欲しい」などといった質問をいただいたことを踏まえ、

  • 物事を深く理解し、自分なりに考え、相手に伝わるように伝える力~グローバル人財育成・本質的問題解決の観点~
  • 自己啓発に強く、相互啓発に弱い日本人~衆知を結集して総合力を高める観点~
  • 人間観・世界観・歴史観に基づく状況対応力~リーダー・マネジャーとしての在り方の観点~
  •  「不易流行」システムに倣いたい
  • 静的な知を増やしても、物知りになるだけで、賢くはなれない

といった私の考えについて、ご紹介して参りました。
CGGについて関心をお持ちの方は、今すぐ、詳細を確認なさってみてください!)

あなたは、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか? 何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

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