人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

ドラッカー「マネジメントとは、教養である」;東大・東工大でも「教養」(第118号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

前回のニューズレターで、「なぜ今、『重要』だけれど『緊急』とは思えない『教養』を高める会なのか?」「『独学』との違いについて、もう少し詳しく教えて欲しい」などといった質問を踏まえ、「視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力を育みたい人のための『教養醸成の会』」 (CGG)についてご紹介していたところ、読者のTさんから、次のような情報(日経ビジネスON LINE記事)があると教えていただきました。

 

問題設定が行える「教養人」


池上彰の「学問のススメ」:
特別講座 桑子敏雄×上田紀行×池上彰

東京工業大学に設置されたリベラルアーツセンター。理系教育機関の最高峰で、なぜ文系教育に力を入れるのか?

•    第1部「日本の大学に、『教養』を取り戻そう」(2012年6月11日配信)
•    第2部「頭がいいけど『世間』に弱い」理系の大学生 (2012年6月19日配信)


上記記事では、特に

  • 「決められた枠組みで、いかに素早く問題を解くか」という力(…前提条件が変わると役に立たない能力)だけでは、「今の状況では何が問題か」というように、問題そのものを設定してその答えを自ら探していく状況には対応できない。既存の枠組みでは役に立たないかもしれないけれども、未来に必須の新しい思考体系をもたらしてくれるかもしれないものが「教養」である。
  • 専門分野において「できる人」を育てようというのは、人間を「道具」や「手段」にしようとする発想である。
  • 社会との関わりの中で、問題意識が鮮鋭な人たちが集まり、熱く考え、議論する場があれば、そこで現代的な教養が育める。積極的に社会に関わっていくのが、真の教養人である。

といった内容のメッセージに、強く共感しました。

※関係の深いニューズレター記事:
•  対症療法に飛びつかず、総合的な「診断」を重視して結果を出す! (2012年05月20日配信)
•  「イノベーションのDNA」と、専門領域に依らない「質問力」  (2012年02月24日配信)
•  フレームワークには2重の意味;「自分観・世界観」の歴史 (2012年02月14日配信)
•  「学習を妨げる認識」や「知ったかぶり」を修正するプロセス? (2011年12月20日配信)
•  ノーベル経済学賞と、社内コーチの限界(2011年08月06日配信)
•  幸福なうつ状態とグローバル人財育成競争;土壌を豊かにする!(2011年07月18日配信)
•  問題設定のパラドクス、ブレインとコーチ (2010年06月07日配信)
•  問題発見より問題設定、枠を意識 (2008年05月18日配信)

また、2008年に社会人向けに開設された、「東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム」でも、プログラムの柱の1つとして「教養・智慧」が取り上げられています。(…「半年間で、600万円の受講料」というのが話題となったので、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。)

東京工業大学でも、東京大学でも、共に重視するようになってきたのが、本ニューズレターや弊社流 「コーチング学習プログラム」で常々ご紹介してきている「問題設定」「フレーム」(解釈の切り口、物事の捉え方)であり、また、先日来取り上げている「教養」であることを知り、嬉しく思っています。…科学研究費補助金科研費)の助成も、基礎研究が優勢な時期と、応用・実用研究が優勢な時期が交互にやってきますが、「教養」に関しても、教養衰退の時期からの「揺り戻し」の兆しにあるのかもしれませんね。

 

教養の衰退が、利益至上主義を招いた?

合同会社5W1H流 「コーチング学習プログラム」テキストでは、「プロフェッショナリズム」に関する内容の箇所で、「近年の金融危機や巨額詐欺事件などにより、自分たちの利益のことしか考えないビジネス・リーダーたちに、人々の怒りの矛先が向かうようになりました。そして人々は、ビジネス・スクールやMBA経営学修士)の価値に疑いの目を向けるようになりました。そうした社会情勢の下、ハーバード・ビジネス・スクールの学生チームが「MBAの誓い」を書き上げ、それに基づく運動が始まりました。」という文章に続き、「MBAの誓い」について紹介しています。

MBAの誓い

(前略)
私はなし得る限り誠実に行動し、倫理に適った形で仕事を行う。自分自身の行動が誠実さの模範となるようにし、公に支持した価値観にふさわしいものにする。
私は株主、同僚、消費者、そして活動の場となる社会の利益を守る。自分の決断が人々の幸福を左右するのなら、たとえそれが有力な人々でなくても、彼らの利益を守ることに努める。

私は誠意を持って事業を経営し、自分の偏狭な野心を満足させても事業とそれが尽くす人々を害するような決定や行動は控える。私利の追求は資本主義経済にとって不可欠の原動力だが、際限のない強欲は大きな害をもたらしかねない。私は腐敗、差別、搾取に反対する。
(後略)

[ 出典:The MBA Oath: Setting a Higher Standard for Business Leaders; Max Anderson and Peter Escher ]
(参考 http://mbaoath.org/

MBAの誓い」といったものに「倫理」「誠実さ」「価値観」が取り上げられるようになっているという事例を通して、あなたは何を感じられたでしょうか?利益至上主義・株主価値至上主義(…利益の「創造」よりも、利益の「獲得」を優先する傾向の姿勢)が色濃く映るビジネスの世界において、今こそ、「組織というものが人間の集まりから成るものであり、組織の活動が人間の生活に関わるものであるならば、ビジネス・パーソン、とりわけ、マネジメント層の人間が意思決定の拠り所とすべきものには何があるか?」について、しっかり考えることが求められるようになってきたと解釈するのはいかがでしょうか?

マネジメントとは、伝統的な意味における一般教養である。知識、自己認識、知恵、リーダーシップという人格に関わるものであるがゆえに教養であり、同時に実践と応用にかかわるものであるがゆえに教養である。
したがってマネジメントに携わる者は、心理学、哲学、倫理学、経済学、歴史、物理学など、人文科学、社会科学、自然科学の広い分野にわたる知識と洞察を身につけなければならない。それらの知識によって成果をあげなければならない。病人の治療、学生の教育、橋の建設、ソフトの設計と販売など、成果をあげることに使わなければならない。

[ 出典:「新しい現実ピーター・F・ドラッカー ]

自分たちの利益のことしか考えないビジネス・リーダーの一員(…決められた枠組みで、素早く問題を解く道具・手段)になってしまわないためにも、実社会における経験を基に、「人間観、世界観、歴史観、人格、価値観、倫理観、行動基準、真理の探究など」に関わる領域について学び、教養を高め続け、なりたい人間に近づいていくことは重要なのではないでしょうか?

「自分が望むものをすべて手に入れるためには、どんな人間にならなければならないのか?

望むものを追求する過程で、自分がどんな人間になっているかに注意するんだ。自分の信条を金のために売ってはいけない。自分の価値観を曲げてはいけない。そうすることで何かを手に入れたとしても、きっと後味の悪い思いをするだろうから。」

出典:起業家・哲学者として知られる、John Earl Shoaff氏(…日本でも知られるジム・ローン氏のメンター)の言葉

さて、今回は、読者のTさんから教えていただいた情報(日経ビジネスON LINE記事)を基に、また前回とは少し異なる切り口から、「教養」について見て参りました。
あなたは、「組織というものが人間の集まりから成るものであり、組織の活動が人間の生活に関わるものであるならば、ビジネス・パーソン、とりわけ、マネジメント層の人間が意思決定の拠り所とすべきものには何があるか?」「自分が望むものをすべて手に入れるためには、どんな人間にならなければならないのか?」について、どのようにお考えになるのでしょうか?ドラッカーの考え方、東大・東工大のような動きも踏まえ、改めて「教養」との関わり方について、どのような想いを抱かれたでしょうか?

専門知と教養知を活かして本質を掴む
図表1:専門知と教養知を活かして本質を掴む

弊社では、ニューズレター第117号、図表1「専門知と教養知を活かして本質を掴む」でお示しした考えの下に、7月1日(日)から「教養醸成の会」 (CGG)を開始することを予定しております。「教養を高め続け、なりたい人間に近づいていく」というアイディアに賛同され、ご都合がつくようであれば、CGGで楽しい時間をご一緒できればと考えております!興味をお持ちの方は、是非、今すぐ詳細を確認なさってみてください。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

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