人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

『クリエイティブな発想力 × 粘り強い実行力』&『パフォーマンス × 意味』(第185号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

前号では、『キャリア・デザインに役立つ、個人のスキル獲得』に関心をお持ちの方向けに、『今、自分は何に注力することが望ましい状況を実現するのに有効そうか?』という内容について、弊社なりの考え方をお示しし、その中で、『非認知能力』の話も紹介しておりました。

今回は、もう少し『組織の人財育成』寄りの視点に立って、補足解説を加えてみたいと思います。

 

自組織/当該プロジェクトに適した人財配置や育成計画を策定する

本来であれば、『人や組織はユニークな存在(※1)』と見なし、人や組織が置かれた環境なども考慮に入れて、個別具体的に検討する必要がありますが、ここでは前号の補足解説という役割を意識して、図表1、図表2を紹介いたします。

※1 ユニーク(unique)は、「他に存在しない、唯一の、独特の、並ぶもののない、比類のない、たぐいまれな」といった意味で用いています。

『創造性と粘り強さ』で整理した人財イメージ

図表1:『創造性と粘り強さ』で整理した人財イメージ

組織によって該当者の割合は異なりますが、図表1の『共同体の寄生者』(※2)欄に該当する人は意外と多いのではないでしょうか?

※2 共同体機能体
•    『共同体』ゲマインシャフト、ドイツ語のGemeinschaft)は、『人間関係』を重視し、『構成員の幸福』を追求するための組織です。(←元々は、地縁、血縁、友情などにより自然発生した原始的伝統的共同体社会のことを指す言葉です。)
•    『機能体』ゲゼルシャフト、ドイツ語のGesellschaft)は、『利益』のような『ひとつの目的』を達成するための組織です。(←元々は、国家・会社・大都市のように人為的に形成された近代社会を指す言葉です。)

『共同体の寄生者』の組織への貢献度を増そうと、『パフォーマンス』を高めるための施策は実施されるのですが、「仕事内容の『意味づけ』を、本人が納得できる形で行う」など『意味』を高める働きかけをないがしろにしている上司はかなり多いのではないでしょうか?

「意味を高める働きかけ」の「やり方がわからない」のか、「意欲がない」のか、「時間がない」のか(人員が足りないという組織的な課題なのか?個人のセルフ・マネジメントの課題なのか?)などについて、正確に把握されていますか? 

図表2を併せて参照すると、経営陣や組織の人財育成担当者は、『離職リスク』や『モチベーション』などにも配慮し、『共同体の寄生者』に対して、どのように考えて行動するのが良さそうでしょうか?

自己実現クォドラント「パフォーマンス × 意味 」

図表2:自己実現クォドラント「パフォーマンス × 意味 」
[ マイケル・ホールさんの「自己実現クォドラント」を基に、合同会社5W1Hが改変 ]

図表1の『忠実なマネジャー』欄には、『職人氣質の優秀な作業者』なども含まれるかもしれません。 『与えられた課題を効率よく、正確にこなすこと』『従来の延長線上で改善活動を繰り返すこと』に長けていますが、『自ら今までと異なる路線の課題を設定する』ことには不慣れです。 

2016年3月24日のFacebookページ記事:「『人財育成の意識を変えるきっかけとなった』と言われました!」では、『底上げ教育と異なり、上澄み人財を育成する』インドの話、東南アジアのトップクラスの大学・大学院に通う学生の夢は、「私たちが発想し、デザインした製品を、世界一優秀で従順なフォロワー』である、日本人・日本企業という『下請け業者』に精密に作り上げてもらうこと」だと言っている」現状についても紹介していましたが、あなたが所属される組織では、『課題設定能力』(※3)向上に向けて、どんな取り組みをされているでしょうか?

※3 「課題設定能力」≒「事業戦略策定能力」?という話については、ニューズレター第154号:「事業戦略」と「リベラル・アーツ」をご参照ください。

図表1の『常識に囚われない企画者』欄に属するのは、「理性や感性に優れ、数字や言葉を扱うことに長けていてスマートなのだけれども、他者と上手くコミュニケーションを図るのが苦手で面倒だし、関係者の意識や行動を変えていこうとするような泥臭い部分の仕事には関わりたくない」という人です。 

彼らにとっては、構想の良否が重要であって、時に、理解の遅い相手を切り捨ててしまうなど、『戦略を実行する上で鍵となる、人財と組織の領域』で問題を生じる場合があります。

あなたの組織では、『適切な目標を設定して、諦めず継続的に努力し達成する』『他者の氣持ちを感じ取ったり自分の氣持ちを表現したりしながら、建設的な関係を確立して維持する』『責任ある意思決定を行う』などといった場面で求められる『非認知能力』(前号で詳述)を高めるためにどんな取り組みをされているでしょうか?

図表1の『イノベーティブ・リーダー』は、『魅力的で、関係者が賛同するヴィジョンを描ける』だけでなく、多様な考え方を持つ人々を束ねて価値の創出に導けるダイバーシティ・マネジメント』の達人とも言えそうです。

2016年3月29日のFacebookページ記事:「アフリカのことわざに学び、遠くまで旅できるようになる!?」では、「多彩な顔ぶれから成るグループでないと、遠くまでの旅を続けることは困難」、「『ダイバーシティ』に富んだグループほど、お互いの違いを『内部分裂』(派閥争いなど)ではなく『創造的摩擦』(ブレイクスルーの種)に導く、『密なコミュニケーション』が求められる」といった考え方について紹介していました。

上記記事で書いていたように、多彩なメンバーの存在が大切であるため、すべての人財を『イノベーティブ・リーダー』にする必要はありませんが、次々にイノベーション(創新普及)を興せる『イノベーティブな組織』を目指すのであれば、第121号で書いていた「『組織の問題』=『コミュニケーション不全』!?」という内容について、『自組織コミュニケーションの仕組みや文化』といった視点から見つめ直してみてください。

今回は、前号の補足解説という位置づけで、『組織の人財育成』寄りの視点に立って話を進め、図表1、2をご紹介しました。 前号でお伝えしていた下記のA)~D)という弊社提供サービスについて、少し異なる角度から理解を深めていただけたでしょうか?

A)『視点の変更や、異なる考え方の統合が行える人・組織にしていくといった意味で、『クリエイティビティ(創造性)』を高めるお手伝い

B)『与えられた問題を解く力が高い機械』『問題あるいは課題を設定する能力が勝るヒト』との『協働』を容易にするお手伝い

C)『粘り強い対話や、継続的な改善の実行に取り組める人・組織にしていく』といった意味で、『非認知能力』(…第184号にて詳述)を高めるお手伝い

D)『複製や譲渡が可能な情報』(マニュアル化された一連の手続きなど)とは異なり、さまざまな経験や解釈、分析や熟慮などを経て『目的達成や問題解決に役立つ、実践的な知識』が身につくように『情報をパーソナライズ(個人化)・血肉化』したり、『実践知を組織に浸透させるプロセス』を容易にしたりするお手伝い

A)、B)に関しては、これまでのニューズレターでも、クリティカル・シンキング』や『課題設定』が重要!という形で、「クリエイティブで粘り強い『協創対話』(※4)」について、繰り返しお伝えしてきています。 また、『粘り強い』と関係が深いC)、D)についても、前号で説明差し上げました。(今回ご紹介した図表2は、合同会社5W1Hコーチング学習プログラム』テキストから転載したものです。)

※4 『協創対話』
フレームワーク質問力®』を基盤とする合同会社5W1Hコーチング学習プログラム』でお伝えしている内容を指しています。

もし、『クリエイティブな発想力』×『粘り強い実行力』を備えた人財育成、『組織のヴィジョンと個人の価値観をすり合わせる』(※5)といったアプローチも採用する組織開発に興味をお持ちであれば、下記のような機会をご活用ください。


●4月9日(土)~10日(日)
『フレームワーク質問力®』(…『コーチング学習プログラム』のモジュール1)
…クリエイティブで粘り強い『協創対話』の根幹を成す、「対人スキル」と「クリティカル・シンキング」の両方が同時に学べるセミナーです。

●4つのモジュールを分割して受講可能です!
『合同会社5W1H流コーチング学習プログラム』
…『ダイバーシティ・マネジメント』にも役立つ、弊社が考える『協創対話』を学んでいきます。

●思い付きの単発施策を繰り返すのを卒業して、「人財育成・組織開発」コンサルティング を利用することに興味をお持ちであれば、ウェブサイトをあちこちご覧になってみてください。

●視点変更を促したり、定期的な対話を通して計画の実行を支援したりする相手として、高野を活用してみようかな?と思われたら、4月10日(金)22時まで:新生活応援『特別プラン』パーソナル・コーチング(ライフ・コーチング)を活用なさってみてください。


※5 「組織のヴィジョンと個人の価値観をすり合わせる」(ビズテリア経営企画オンライン様の企画「社員のやる気やモチベーション、劇的に高める16の方法~活性化した組織へ変革するために~」での高野の寄稿文章)

さて、今回の記事をお読みになって、あなたは『クリエイティブな発想力』×『粘り強い実行力』を備えた人財育成や、『組織のヴィジョンと個人の価値観をすり合わせる』組織開発について、どんなことを感じたり考えたりされたでしょうか?

例えば、自組織が『共同体』であるにもかかわらず、『機能体』で成功した制度や仕組みを形式的に導入しても、苦労のわりに効果は期待できない」といった点など、いろいろ論点はありそうではないでしょうか? 周囲の方々とお話になってみてくださいね。

それでは、次回のニューズレターでまたお会いしましょう♪

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