人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

「事業戦略」と「リベラル・アーツ」(第154号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

弊社Facebookページをご覧いただいている方には、先日、弊社主宰の読書会「教養醸成の会」の新規追加テキストをご案内差し上げておりました。→●テキスト(パンから重力まで)、6ヶ月分追加しました!  そこで、今回は、「教養」ということについて、これまでとはまた少し違った切り口から、私なりの考えをご紹介してみようと思います。

 

 「教養」と「リベラル・アーツ」

日本で「教養」というと、「学問・知識が身について得た豊かな心。身につけた、その分野の系統立った知識。」[角川 類語新辞典] や「単なる学殖・多識とは異なり、一定の文化理想を体得し、それによって個人が身につけた創造的な理解力や知識。その内容は時代や民族の文化理念の変遷に応じて異なる。」[広辞苑] といった意味が当てられています。

そして、グローバルな文脈では、「リベラル・アーツ」(Liberal Arts:一般教養)といった言葉が、教養に近いものとして扱われています。(中世ヨーロッパでは、「自由七科」(論理学、算術、幾何学、文法学、修辞学、天文学、音楽)を学ぶことを、リベラル・アーツと呼んでいました。)

前半の「リベラル」は、「奴隷ではなく、独立した自由人であるために身につけるべき学芸・素養」を指し、後半の「アート」(※1)は、「人間が創り出したもの(を扱う分野)」を指しています。

※1 特に、キリスト教の影響が大きい地域の人々は、「アート」=「人間が創り出したものを扱う分野」と、「サイエンス」=「神?が創り出したもの、すなわち、自然を扱う分野」を分けて考える場合があるようです。

また、日常生活を送る上で、科学や技術の進展について適切に理解することの重要性が求められるようになってきた現代では、「科学リテラシー」(Science Literacy)も「教養」であるという見方が市民権を得始めているのではないかと、私は見ています。

「教養」と「リベラル・アーツ」にはいろいろ違いがありそうですし、その内容も変化してきているようなのですが、共通して大切なのは、

•    単なる博学(物知り)とは違うよ
•    奴隷と違って、独立した自由な存在であるために身につけておくべきものだよ
•    創造が関係するよ

といったことではないでしょうか?
(以下では、「教養」と「リベラル・アーツ」を統合して、「教養」と表記します。)

 

自らを制約から解放し、境界を超えていく素養

「教養」について、もう少し考えを進めてみましょう。

外国旅行をしたことのある方であれば、「えっ、水道の水って飲めないの!?」「タクシーの扉って、自分で開けるの!?」のような意外なことで驚いた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

自分(たち)にとっての当たり前と、別のバックグラウンドを持つ人にとっての当たり前が異なることに氣づく経験を重ねるうちに、ただの博学止まりではなく、さまざまな知識を自分なりに関連づけて捉えるようになったりします。

そしてまた、その新たなモノの見方に基づいて、自分(たち)についての新たな認識を持つようになったり、より包括的な世界観や人生観を持つようになったりすることで、生き方や働き方(日常生活における言動や態度など)が変化していきます。

「どこの国や地域でも、水道が整備されており、蛇口をひねれば、そのまま飲める水が出てくるものである」という、1つのモノの見方や常識に縛られたままでいれば、他者と話がかみ合わなかったり、話が平行線を辿って感情的になったり、相手との関係が悪化したりすることすらあるかもしれません。

上記のような例で少しイメージがしやすくなったのではないかと思うのですが...私たちは普段、自分たちの思考や判断が、さまざまな思い込み・制約・不自由さに囚われていることに氣がつかずに過ごしています。

物事を多角的に考えて取り組むことで「制約から人間を解放する」こと、あるいは、外国語や専門外の事柄を学ぶことや、種々の体験から自分なりの学びを得て「『境界』(時間・空間、分野、組織、制度・規制などの壁)を乗り越えていく素養を身につける」ことが、「教養を高める」ということなのかもしれないと、私は考えています。

 

「課題設定能力」≒「事業戦略策定能力」?

種々の「境界」を乗り越えることで成立する「グローバル・ビジネス」が当たり前となってきている現代では、「与えられた問題に対して効率よく正解する」能力とは別に、「自ら課題を設定して、真実・解決策を探求し、関係者が納得する解を見い出す」能力が求められるようになってきています。(※2)

※2 「正解主義・効率志向」 から 「納得主義・学習志向」へ

言葉やスケールを変えれば、これは、「自ら、経営戦略や事業戦略を策定する能力」とも言えそうです。

そして、グローバル・ビジネスという文脈で求められているのが、専門分野の異なる人々・異なる価値観を持つ人々に理解・共感してもらえるような話をしてチームを束ねたり、異なるバックグラウンドの人と対等に深く議論を重ねたり、自己変革と協働を進めたりしていくことができるといった側面も備えた「グローバル人財」です。

前段で、「自らを制約から解放し、境界を超えていく素養」を「教養」と考えていると書いていたのを思い出してください。

「グローバル人財に求められる素養を涵養するもの」「自ら適切な課題を設定する能力(≒事業戦略策定能力)を醸成するもの」の1つとして「教養」が大きな役割を果たしそうだという側面が見えてこないでしょうか?(※3)

※3 先日実施したコーチングでは、クライアントさんのOut-of-the-box Thinking(…制約から解放して考えることに相当)を促進しようとした事例について、個人のFacebook記事「クライアントを連れて、久しぶりに文部科学省へ」で紹介し、「眼下に財務省を見おろし、国会議事堂を眺めながらの休憩」という写真を掲載したりしていました。 クライアントさんは、いろいろ刺激を受けて思考が活性化されたようでした!

さて、今回の話をお読みになって、みなさんは、「事業戦略策定能力と教養の関係」について、どういったことを考えたり、感じられたりしたでしょうか? 

弊社では、冒頭でご紹介していた、

視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力を育みたい人のための
読書会「教養醸成の会」

のほかに、

「自らを制約から解放し、境界を超えていく能力」「自ら適切な課題を設定する能力」を高めるのに有効な
4月26日(土)スタート
合同会社5W1H流「コーチング学習プログラム」
「課題設定」×「図解」×「クリティカル・シンキングが特長です。

また、「いきなり『コーチング学習プログラム』に申し込むにはちょっと勇氣がいるなぁ」という方向けにも、

 『率直な対話で、協働を進める人』になる!
 『チームの学習・適応・相乗効果』を促進する!
 『複眼思考』で『関係者の納得解』を導き出す!
3月15日(土)、29日(土)ほか
「フレームワーク質問力®」セミナー

をご用意しておりますので、是非ご活用ください♪

以上、今回の記事も、あなたの「QOLの向上」にとって、何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

P.S.
4月11日(金)朝スタート
リーダー、コーチ、コンサルタント向け「変化促進研究会」では、

"Spy the Lie: Former CIA Officers Teach You How to Detect Deception"
"Conversational Intelligence: How Great Leaders Build Trust and Get Extraordinary Results"

の2冊をテキストに用います。
詳細確認・お申し込みはこちらからご覧いただけます。

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