人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

こんな形で「人と組織の価値を高める」のが「コーチ」の仕事(第196号)

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先日、東京から3時間くらいの場所にある企業で、9名向けに和やかな雰囲氣の研修を実施させていただきました。 その昼休み、「今回は質問力の研修で来ていただいていますけど、高野さんって、コーチングもされていますよね? コーチってどういう仕事なんです?」と尋ねられました。 その時の話で、質問してくださった方以外にも興味を持っていただける部分があったようでしたので、今回はその内容を元に、ニューズレターをお読みのみなさまにも「私なりのコーチング観」をご紹介してみようと思います。

 

「不確実な状況でも、不明確であってはいけない人」に、「子供心で質問」しています

質問してくださった方は、辞書的で正確なコーチングの定義」(※1)よりも、私なりに噛み砕いた話を求められていたので、個人的な経験を踏まえたストーリー(私の考え方に大きな影響を及ぼした体験)など(※2、※3)を交えた回答を差し上げていました。

そして、そうした流れの中で、次のような話を差し上げていました。

私は、こうした経験や考えを踏まえて、「納得できるように、物事を主体的に変えていく人・組織」こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人・組織であると考えるようになりました。

また、さまざまな形で「『意義深い人生を送る能力』を高める取り組みを(職業生活だけでなく個人生活も含めた)自分の人生そのものにしたい」とも考えるようになりました。

このように、「納得」という要素を重視する私には、「不特定多数向けの、画一的で一方的な情報発信」よりも、「相手の状況や状態に合わせた、柔軟な個別対応」で高い付加価値を提供するアプローチの方が合っているし、得意だということで、コーチング」にも力を入れるようになりました(※4)。

近年では、多くの人や組織が「不確実」な状況に直面しています。 しかし、「方針や課題」「不明確」では、「運任せ」(なされるがままの受け身)となってしまいます。 

そこで、「納得できるように、物事を主体的に変えていく人・組織」を増やすことに取り組んでいる弊社では、「不確実な状況でも、不明確であってはいけない人」向けに、「適切な課題の設定」を重視するコーチンを提供させていただいているのです。

もちろん、すべての「運任せ」が悪いわけではありません。 大切にしたいと思う物事に対して、「人事を尽くして天命を待つ」という、「『やれるだけのことはやった!』と自分なりに納得できる形の、腹を括った運任せ」は、大いにアリだと思っています

ところが、「『与えられた課題に効率よく取り組む』ことに関しては、真面目で一生懸命な人は多い」のですが、先の見えない不確実な状況では、「同業他社さんたちをはじめとする『他者』、あるいは、『従来路線』と違って、今の自分(たち)にとって、何に取り組むのが適切なのか?がわからない」という人が大半を占めるため、「人事を尽くして天命を待つ」という形の「運任せ」ができずにいるわけです。

能力が高くて行動力もある人にとっては、「ジッと何もしないでいる」のは、罪悪感を覚える上に大変な苦痛です。 そして、「本当に自分たちが取り組んで『変えるべきこと』を見い出し、関係者の納得を得る」のではなく、良かれと思って、「『変えやすいこと』を変えるという対症療法」を繰り返し、さらなる事態の深刻化を招いてしまったりするのです。

こうした状況を踏まえ、私は、「目の前の問題『症状』を解消する」だけでなく、「わかったつもりにならない」よう、「当該分野の常識に囚われてしまわない」よう、「非専門家ならではの斬新な視点」すなわち「子供のような『純粋な探求心の塊』という心持ち」で、「納得できる方針や、適切な課題の設定」や「イノベーション(創新普及)の推進」を重視するコーチンを提供させていただいているのです。

そして、こういった方針のコーチングこそが、「納得できるように、物事を主体的に変えていく人・組織」「意義深い人生を送る能力を持った人・組織」「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する人・組織」を生み出す上で重要であり、「人と組織の価値を高める」ことに役立っていると感じています。

(実際に、経営者としてのコミュニケーションの改善が会社の業績向上につながった方、年上の部下から素直に学べるようになった年下の上司の方、異業種に転身されて順調に活躍されている方、異文化の狭間で人間関係にヒビを入れないクリティカル・シンキングを用いるようになった方など、お手伝いさせていただいた方々がイキイキとした笑顔になっていかれる過程にご一緒させていただけるのは、とても光栄で嬉しいことです。)

 

「個々の問題解決」と同時に「そもそも問題を生じさせないようになること」を重視しています

冒頭の質問を受けて、「『不確実な状況でも、不明確であってはいけない人』に、『子供心で質問』しています」という内容と併せて、「『個々の目的達成や問題解決』と同時に『そもそも問題を生じさせないようになること』を重視しています」という内容をお答えしておりました。

これは、「水漏れを解消するために水道屋さんを呼ぶ」とか「経営上の問題を解決してもらうために経営コンサルタントを呼ぶ」という形の、「困り事が起きたら呼んで、解決したらサヨナラ!」という考え方との違いに関する話です。

「コーチを雇う」あるいはコーチングを導入する」という場合、「個々の目的達成や問題解決」の支援を行うのはもちろん大切なのですが、同時に、「目的達成しやすい考え方に慣れる」あるいは「問題の発生自体を低減させるようなコミュニケーション(言動・態度)を身につける」などといった形で、「納得できるように、物事を主体的に変えていく力を持った人・組織に成長するための支援」が、「人と組織の価値を高める」上で非常に大切だと考えています。

そして、「個人という『点』の育成」手法としてだけでなく、「個人と個人の関係という『線』の効果的な活性化」手法として捉えるのが、「組織開発の視点から見たコーチング」だと考えています。 (関係者が2人の場合には、この「線 = コミュニケーション・チャネル(各個人をつなぐコミュニケーション経路)」は1本、3人の場合には3本、4人の場合には6本、5人の場合には10本…というように、「(人数)×(人数-1)÷2」の形で増えていきます。 コミュニケーション・チャネルは、人数に比例せず、急に増えていくことがわかりますね。)

「組織開発の視点から見たコーチング」に関しては、「ピープル・マネジメントに向けて」というページで、次のような意識での取り組みが重要だと書かせていただいておりました。

  • 将来の『不安』を『可能性』に変えるには、現状をどう捉え、『何にどのように取り組むのが当事者にとって望ましいのか』、そしてそれをどのように『個客や組織への貢献につなげていく』のが望ましいのかについて、具体的な方策を『協創』する」といった形の、「『質』の高いコミュニケーショ」が不可欠になってきている
  • 「顧客から個客へ」という「個別対応に向かう流れ」は、「『社員 = 歯車』から、『社員 = 個客』『社員 = 会社の所有者』へ!」という形で、自社内の人財対応にも当てはまる
  • 「会社を成長させる」ためには、「社員の手本」となるよう、経営者をはじめとするエグゼクティブから、「自己成長や自己刷新(意識や行動の変容)」に向けて取り組まなければならない!

[ 出所:「『状況変化に合わせた自己刷新を促す人財開発』『タレント・プールを充実させる組織開発』を担う、合同会社5W1H『エグゼクティブ・コーチング』のウェブサイト」より一部転載 ]

「どのくらいの種類の『質の高い個別対応』が求められるか?」については、単純計算ではありますが、先ほど触れた「コミュニケーション・チャネルの数」の話も参考になさってみてください(実際には、1人向けのコミュニケーションだけでなく、数人向けのコミュケーションなども生じます)。

やはり、「組織能力の向上」(組織開発)ということを考えるのであれば、個人の能力向上は当然として、「個々の『関係』や『場』を望ましいものにする」ということが重要になってきます。

これは例えば、「マネジャーの課題は、個人で完結する事柄ではなく、チームの課題であり、組織の課題でもある」ということです。 「仕事では様々な人々や事柄が『つながっている』『関係している』」という側面を忘れ、「ただただ他者に迷惑をかけちゃいけない」と孤独に悩み、問題が大きくなって手が付けられなくなってから、「上司に泣きつく」のでは、マネジャーの職責を果たせているとは言えません。

他にも、組織の問題にはさまざまなものがありますが、繰り返し登場する問題「症状」として、例えば次のようなものが挙げられます。

  • 「総論賛成、各論反対」「同床異夢」の人々が、「対症療法のつぎはぎ施策」を繰り返している
  • 安易な理解で「現場主義」という言葉を振りかざし、自分の仕事にしか関心を持たない…「全体最適」よりも「部分最適」を優先する仕事の姿勢(システム思考の欠如);ムダがないことは良いことだと「効率」(生産性や能率)ばかりを追求し、「イノベーション」を生み出す種となる試みを排除する姿勢;明確な意図や計画なくOJT (On the Job Training) に頼る姿勢
  • 個々人の能力(の平均値)は高いけれど、組織全体としての業績は低い…メンバーどうしあるいは部門・部署どうしの「つながり」を生み出し、仕事の「意義」を確認し「意欲」を持続させ、「化学反応」「相乗効果」の発現が見込める「仕組み」(場、プロセスなど)の欠如

など

[ 出所:ニューズレター第121号 「組織の問題」=「コミュニケーション不全」!? ]

コーチングでは、「チームや組織の問題が、自分(たち)にとっては当たり前の考え方や言動から生じているのではないか?」という視点から日常業務を振り返ってみたり、逆に「好ましい関係や場、業績を自然と生み出してしまうようにするには、どのような考え方を採用し、どういった働き掛け合い方を仕組みで支援すればよいのだろう?」などとオープンな場で話し合ってみたりします。

そうした過程を、関係者と粘り強く進めることで、「問題の発生が未然に防げる」ようになったり、「他社が模倣困難な『独自資源』としての人財・組織の育成・維持」が可能となったりするのです。

例えば「制約条件について検討するのは後にして、もし○○ができるとしたら?」などと、当事者や関係者の意識を「未来」に向け、「視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ」ことで、当事者や関係者の「エネルギーを引き出し」つつ、「現実的な納得解の実践」「粘り強く続ける」ことを、コーチとしての私は心掛けています。

その結果として、「持続的な自己刷新で、ユニークに生き抜こう!」という弊社キャッチフレーズを、クライアント(※5)が部分的にでも体現でき、「クリエイティブで粘り強い人財・組織の育成」につながっていくというのが、私が携わらせていただいている「コーチとしての仕事」であり、お伝えしたいコーチング」のイメージなのです。

経営陣・人財部門・ライン部門のキーパーソンの方へ


今回の内容に関心をお持ちの方は、「状況変化に合わせた自己刷新を促す人財開発」「タレント・プールを充実させる組織開発」を担う、合同会社5W1H「エグゼクティブ・コーチング」のウェブサイト もご覧になってみてください。

また、ご自身で「組織の成長や持続的な繁栄を可能にするためには、社員の手本となるよう、自己成長や自己刷新(意識や行動の変容)に向けて取り組まなければならない!」とお考えの方は、下記への参加も検討なさってみてください。

合同会社5W1H流コーチング学習プログラム
~適切な課題設定と視点変更を重視する「協創対話」を学ぶ~

主体的なキャリア・デザインについて検討したい方へ


キャリアコンサルタントの方が実施されるような「ワーク(職業生活)とライフ(個人生活)を分離した形」の「職業生活設計」にとどまらず、「望ましい『公私一如』の在り方」の実現に向けて検討したり、取り組んだりしてみたいという方は、下記の内容をご覧になってみてください。

パーソナル・コーチング(ライフ・コーチング)
~与えられた困難な状況の下で、いかに可能性を切り開き、適応していくのか ほか~  ( 現在、「12月~1月限定『特別プラン』」のお申し込みを受け付け中です!)

『ラディカル・キャリア・チェンジ』徹底サポート
~ダブル・メジャー、異業種・異分野への転身、職種転換などをお考えの方に~

人財の募集はしていないけれど、転職したい企業に赴き、企業のトップに「私を雇うと御社にとって、こういう良いことがありますよ」といった話をする準備に関するお手伝い

異業種への転職を希望される方に同行して地方に赴き、既に働かれている人々の生の声や情報を収集するお手伝い

「人物を特定の職種に当てはめよう」とするのではなく、「今までになかった新たなキャリアを創り出そう」という活動に取り組むお手伝い

など

※1 「コーチング」は、コンテクスト(文脈、前後関係、背景、状況)に応じて、いくつかの定義の仕方があります。 ここでは、7種類の定義についてご紹介いたします。

  1. a) クライアント(コーチング利用者;個人あるいは組織)の個別具体的な目的や目標の達成に向けた変化を促進する技芸/プロセス …属人性を排除した「技術」という表現を用いる代わりに、関係者ならではの個性や知識などがあったからこそ生じる独自の相互作用を重視して、「技芸」という表現を用いています。
  2. b) コーチ(コーチング提供者)がクライアントと築く関係、あるいは、協働して進めるプロセス …「機械的に一方的に進める手順」ではなく、協働して進める(協力し合って創り上げていく)という部分が重要です。
  3. c) 「クライアントが過去に学び、未来を描き、現在を生き切る」ために、コーチとの対話を通して、学習・実践・(思考・行動のクセ、自己認識、世界観などの)変容を促進する手段 …「その場で取り上げるひとつの事象・問題が解決したら終わり」というよりも、「それらの事象や問題を生じさせる『慣れ親しんだ思考パターン』の変容」を扱う点を重視しています。
  4. d) 「アウトカムの実現」を目指す変化の促進手段
  5. e) 「状況変化に合わせた自己刷新」を促す手段
  6. f) トップダウンで方向を示し、ボトムアップの行動を引き出す人財」の育成手段
  7. g) 「能動的に組織内の人財需要を特定し、タレント・プールの充実を支援」する手段

また、「現在体験している、具体的な苦痛や漠然とした不安から逃れることだけ」(行き先はどこでも良いから、とにかく現状から脱すること)を目的とするクライアントには、セラピーやカウンセリングが適切だと判断し、医療関係の専門知識と訓練を受けて実力を認められた個人あるいは組織の利用をお勧めしています。(アウトカムの設定に抵抗がある方は、弊社流コーチングのクライアントから除外されるということです。)


※2 月刊『企業と人材』(2015年6月号、株式会社 産労総合研究所)では、次のような文章も書かせていただいておりました。

(前略)『それはできません』と言う相手を「問題解決の協力者として味方に巻き込む」ことや、「共存共栄の道を探求する」ことができず、「相手をやり込める」ことを考えていたら、介護もできず、家賃も払えず、就職もできず、路頭に迷っていたのではないかと思います。 必要に迫られてコミュニケーションについて学び、いくつもの難局を経るという個人的な経験を通して、私は、「思考法やコミュニケーション次第で、人も組織も、今より望ましい状態に変わることができる!」と信じるようになりました。(後略)

[出所:人財を伸ばし、束ね、組織能力を高めるより一部転載]


※3 「質問力」開発物語


※4 同じコーチングと言っても、「相手を型にはめて、弱点を克服させる」アプローチや「『べからず集』を浸透させようとする」アプローチを採用する人々もいらっしゃいますが、私の場合には、「個人であれチームであれ、強みを伸ばして磨きをかけて、さらに卓越したものに変えていく」アプローチを通して、目的達成・問題解決・意思決定・人財育成・組織開発を支援させていただくことがほとんどです。


※5 弊社では、「モノやサービスの買い手である『カスタマー』」(顧客、コンテンツやサービスを一方的に提供する相手)と「仕事を頼む相談主、依頼主である『クライアント』」(依頼人、双方向でやり取りし、協働して望む成果を挙げようと思えるパートナー)を区別するよう、心掛けています。

参考記事「なぜ、カスタマーとクライアントを区別?; アマチュア医師?」


今回は、「コーチってどういう仕事なんです?」と尋ねられたときの回答を元に、「『不確実な状況でも、不明確であってはいけない人』に、『子供心で質問』すること「『個々の問題解決』と同時に『そもそも問題を生じさせないようになること』を重視した働き掛け」なのだという、「私なりのコーチング観」をご紹介いたしました。 

あなたはコーチングに関してどのように感じ、どんなことをお考えになったでしょうか? 周囲の方々とお話になってみてくださいね。 それでは、次回のニューズレターでまたお会いしましょう♪

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