人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

AかBかで迷ったら…;テクノロジー失業(第135号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

前号では「組織の視点」に立って「次世代リーダー育成」の話をしていました。今号では、「個人の視点」に立った「自分自身の育成」(自己開発、キャリア・デザインなど)の話について触れつつ、自身の育成を考える上でも有用な「決断」の話、「慣れ親しんだ自分の思考パターンに氣づき、それを自己開発に活かす」という話をご紹介しようと思います。

 

個人のキャリア・デザインがグローバル競争の波にさらされる時代

最近では「70歳定年制を見据えて、30~40代のうちから企業の社員選抜(余剰人員整理)に生き残る準備を始める必要がある」とか「中高年への退職勧奨の可能性や40~50代の給与引き下げは覚悟しておいて当然」といった話を耳にする機会が増えてきたように感じています。もちろん、これらも大切な内容ではありますが、組織の内側だけに目を向けた「パイの奪い合い」の話といった側面があるようにも思います。

一方、「米国スタンフォード大学の物理学のオンライン講義を受講した、パキスタン在住の11歳の少女がトップの成績を修めた」というニュースも話題となりました。これは、インターネットを用いた教育環境がますます充実していくことで、これまで高等教育を受けるのに大きな困難があった数十億人の人々がさまざまな知識にアクセスできるようになっていくという流れを象徴する話ではないでしょうか。これまでグローバル・ビジネスにおける活躍の場が持てずにいた膨大な人財層の内、一定割合の人々は、ビジネス・チャンスを生みだしたり活かしたり、先進国の人々のライフスタイルに憧れて就職活動を行ったりすることでしょう。日本人の競争相手あるいは協働/協業相手が急激に増えていきそうですね。

営利事業を営む法人企業の視点(組織の視点)に立てば、「組織の価値創造や競争力強化などに有用な、適切な新陳代謝(人財の入れ替え)を行いたい」というのはもっともな方針であり、「コンピューターやロボットや他の人(低賃金労働者)にできることしかできない人財を”お払い箱”にする」という話、「コンピューターやインターネットの発達がとりわけ中間層の仕事を奪うという『テクノロジー失業』」の話、「米国コンサルティング会社のマッキンゼー(The McKinsey Global Institute)が2012年6月21日に発表した『2020年までに世界で9000万人以上が失業する』という内容の報告書」の話は、着実に身近なものとなってきているように思います。

ニューズレター第101号で触れていた「『就労者としての寿命 > ビジネスの寿命』であり、『1つの組織にずっとぶら下がっていられない人たちが増える』」という時代観の下、組織の視点ではなく、組織の構成員である個人の視点に立つならば、「自社内の昇進競争で勝ち残るか、社外で新たな活路を見い出すか」や「世界的に見て物価の高い日本で今後もそれほど生活水準を落とさずに暮らすのか、世界に飛び出していって活躍する生き方を選ぶのか」あるいは「コンピューターやロボットにマネされにくい仕事のうち、『創造力・判断力・コミュニケーション能力などを活かす仕事』を選ぶか、『直接身体を使い、パターン化されにくい状況に対処する仕事』を選ぶか」などといった選択肢について考え始める人が増えることも当然だと思います。

(キャリア・デザインの話に限りませんが)複数の選択肢を前にして、それぞれの長所や短所について整理した後、選択に迷った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

コーチングの場面では、何かを選ぶことに迷っている方向けに「自分なりの価値判断基準・信念・人生観・充実領域のポートフォリオなどの明確化」をお手伝いすることもあるため、こういった場面で何に意識を向けると良いのかについて、現在の私なりの考えをご紹介しようと思います。

 

「道選びに割くエネルギー」と
「目的地への前進に割くエネルギー」

2択でも3択でも一緒ですが、私たちは、「選択肢それぞれに異なる種類の長所や短所があって、それらの総合評価が拮抗している場合」、あるいは、「判断基準となる前提条件が変わるとそれに伴って評価が大きく変わるのだけれど、事前に前提条件の変動が読めない場合」などで、選択に迷います。

これまでの経験で「正解は1つしかなく、正解を導かないと失敗と見なす」「失敗した者は、能力の劣った敗者と見なす」などといった考え方が染みついた真面目な人ほど、(正解を導き出すのに充分な情報も得られず、絶えず状況が変化していっている中で)「選択を誤ってはいけない」と真剣に悩む傾向にあるように思います。

しかし、例えば選択肢AとBがあって、それらの総合的な評価が拮抗しているような場合には、実は「AとBのどちらを選んでも大差なく、どちらかを選んだ後の対応が重要」なのではないでしょうか。

すなわち、「Aを選んだ場合とBを選んだ場合のその後を比較し、どちらの選択肢が良さそうかについて、傍観者のように評価・判断する」ことではなく、「一旦、大差ない選択肢のどちらかを選んだら、後戻りせず前進することにのみ意識を向けるよう、当事者として決断する」ことが大切なのではないでしょうか。(…「決断」というのは、「他の選択肢を『断』って、どれか1つに『決』めること」を指します。)

まるで、自分の人生の評論家や傍観者のように、周囲に流される漠然とした人生を送るのではなく、「自己責任の下、当事者として、自由で創造的で独自の味わいのある人生を主体的に生きていこう!」とするのであれば、その他大勢にとっても成り立つ「一般解」かどうかについて悩むのではなく、自分の価値観・信念・人生観などに照らして納得できる「特殊解」だと思えるものを選び、その後の対応に専念することが重要ではないかと、私は考えています。

…旅行を例にして考えるなら、どちらを選んでも大差ない「道選び」に膨大なエネルギーを費やして疲れてしまうよりも、どちらを選んでもあまり違いがなさそうだという判断であれば、極端な話、ジャンケンでもサイコロでも鉛筆倒しでも何を用いてもいいので、さっさとどちらかの道を選び、道選びの後の「目的地への前進」にエネルギーを傾けることが大事なのではないかという主張です。(似たような例として…英語学習をする際に、「自分にとっての最高の教材や学校選びには熱心なくせに、結局英語学習を始めずにいる/続けられずにいる人」の話を思い出してもらってもいいかもしれません。)

あなたは、迷った時の「決断」、適切な意思決定の方法について、どのようにお考えになるでしょうか?

 

関わり合いを通して自分を深く理解し、
自分を最大限に成長させる

前段のような話をすると、「Aを選ぼうか、Bを選ぼうかについて悩んでいる」よりも「どちらかを選んだ後の対応について考える方が重要」だと共感していただける方が出てきます。そして、「そんなの当たり前じゃないか!」とおっしゃるのです。

しかし、前段のように考えることは、日常生活において、本当に当たり前に実践できているでしょうか?

あなたは、「Aを選ぼうか、Bを選ぼうか、悩んでいるんだ」と親友から相談を受けたとき、「もっといろんな角度から比較してみよう。→(一緒に検討作業)→これだけ詳細について分析したら、あとは、君の判断次第だな。」といった対応をしていませんか?(AでもBでも大差ないことがわかった上で)本当に、「AでもBでも同じことじゃないか?選んだ後のことを考えようじゃないか!」といった方向性で対応されているでしょうか?

相談をする側(相談者)は、意識を「AとBの内、どちらか最善のものを選び出す」ことに向けています。相談を受ける側が、相談者と同じ問題意識を持ったままで考え続けることを選ぶのか、それとも、問題を適切に設定し直し、「AでもBでも大して変わらないのなら、選んだ後、どうやって望ましい結果を得るのか」に相談者の意識を向けるよう話を進めるのかによって、得られる結果が変わってきそうだと氣づいていただけるでしょうか?
…2013年3月20日にFacebookページに投稿した記事:コーチングでは「具体化ばかり」しない!…「映画撮影」比喩篇では、「クライアントの話を聴いて、『具体化ばかり』を進めていては、(カメラのフレームを固定したままなので)イノベーションやブレイクスルーなどといった『コーチング本来の価値』(変化・成長の促進)が生まれません。」という話を紹介していました。

この例のように、目的の達成・問題の解決・意思決定などを行う際には、「今採用している自分自身の思考方法が、望ましい結果を得るために適切かどうかを確認する」ことが非常に有効であることが知られています。
…2013年3月25日のFacebookページへの投稿記事:ケネディ大統領が「意思決定の質」を向上させた方法では、「『意思決定の仕方』について関係者の間で『経験学習』を行い、『意思決定の質の向上を図った』」という話について、「メタ・コンピテンシー」(事業内容や事業環境の変化に応じて求められる新しい能力を身につける能力)の切り口から紹介していました。

しかし、自分自身の慣れ親しんだ思考方法に氣づき、それ以外の思考方法を試そうとするのは、結構難しいことです。なぜなら、「他の人から信頼や愛情を持って接してもらえるときに、自分では認識していなかった自分の良さに氣づく」など、私たちには、「他者あるいは社会という鏡を通して初めて、自分の在り方について把握できる」という側面があるからです。現実的には、他者あるいは社会との関わり合いの中から、自分についてより深く理解し、今後の自分の振る舞いや在り方の「何」について意識するのかを選んでいっていることが多いのです。

日本ではまだまだ、「慣れ親しんだ自分の思考・行動パターンについて、客観的に理解する機会を積極的に持とうとする人や組織」は多くないのが現状かもしれません。その背景には…人事考課や後継者選びといった利害関係や、業界の常識などから離れ、中立的な立場からの直言が可能で、かつ、思考のクセに氣づいて人や組織を望ましい状態に向けて変化させることのできる「対話相手」「思索パートナー」と呼べる人々(上質のコーチングを学んだ人々)が極めて少ないという事情もあるように思っています。

では、「今採用している自分自身の思考方法が、望ましい結果を得るために適切かどうかを確認する」にはどうすればよいのでしょうか? 弊社では、「リーダーシップ開発コーチング」などのサービスや、合同会社5W1H流 「コーチング学習プログラム」の提供といった形で貢献させていただいています。

弊社流のコーチングでは、特に下記のような考え方をお持ちの方(所属組織が大きかろうが小さかろうが、年齢がどうであろうが、関係ありません)に好評ですので、興味をお持ちであれば、是非、上述のリンク先ウェブサイトから詳細情報を確認なさってみてください。

  • 自分と同等かそれ以上の高いパフォーマンスを、周囲の関係者に発揮してもらうには、正論を伝えるだけではダメだと氣づいた人
  •  「ただ単に、自分にも予測可能な将来やちょっとした課題への取り組みについての話を聴いてくれ、共感してくれたり、認めてくれたり、励ましてくれたりする人」は要らない!カウンセリングではなく本格的なコーチングが受けたいんだ!という人
  • 「今の自分(たち)にとって、大きな目的の実現や目標達成に向けて、並はずれた具体的な結果を生み出すプロセスを通じて、より望ましい人物あるいは組織になっていく支援をしてくれる人」が欲しいと考える人
  • 政府や所属組織や年金制度などに頼り切りで、漠然と迎える未来はリスキーだ!と考える人
  •  「市場競争力があり、高い付加価値を生み出せる、代替がきかない人財」「自ら変化を生みだしたり、時代の変化に合わせて自分を変えたりできる人財」となるよう継続的な自己投資を行い、未来を主体的に築いていきたい!と考える人
  • 誰にも先が見えない時代で、どの道に進んでもリスクがあるのなら、自分が納得する形で自由と責任の両方を取る人生を選びたい!と考える人    など

さて、あなたは、今回の内容をお読みになって、「個人のキャリア・デザインがグローバル競争の波にさらされる」という話、迷った時の「決断」の話、「慣れ親しんだ自分の思考パターンに氣づき、それを自己開発に活かす」話について、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか? あなたの「QOLの向上」にとって、何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

P.S.1
『状況に対応しつつ学習する能力』が高く、どんな状況にあっても、結局は『納得できるように、物事を主体的に変えていく力』を持った人財の育成」のサポートを実施している弊社で提供している各種サービスの基盤となっているのは、参加者が

コミュニケーションの目的に適った質問を選んで組み立て、自分(たち)が取り組むべき課題について改めて深く理解し、物事をこれまでとは異なる側面から考えることを通して、関係者が無意識に受け入れている制限を明らかにしたり、対話を通して多角的な物の見方をしたりするようになる。従来の延長線上にない解についても探求するようになり、目的達成・問題解決・意思決定・新しい手法の学習などを効果的に行えるようになる。

といった変化・成長を起こすことを支援する「フレームワーク質問力®」の内容です。

興味をお持ちであれば、是非、下記ウェブサイトから詳細をご確認ください♪

一般向け公開セミナーへの参加を検討されている方向け情報
企業研修のご依頼を検討されている方向け情報

P.S.2
利害関係や、業界の常識などから離れ、中立的な立場からの直言が可能で、かつ、思考のクセに氣づいて人や組織を望ましい状態に向けて変化させることのできる「コーチング」を学びたいという方は、是非、下記ウェブサイトから詳細をご確認ください♪
合同会社5W1H流 「コーチング学習プログラム」

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