人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

『コインは、表だけ、裏だけでは存在しない』ことを意識する(第186号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。 

2016年4月4日のFacebookページ記事: 「本を買っても、最後まで読まずに次に行く」という「悩み」? では、「本は結構買うけれど、1冊読み始めても、それを最後まで読み終えないうちに、次の本に移ってしまう」ことを『悩み』と捉えている方の演習および振り返り事例について、『課題の適切な設定』の視点を中心に紹介していました。

(…当初は、「買った本を最初から最後まで通して読めるようになること」を目指していましたが、『課題の再設定』が進むにつれて、『読書にとどまらない、より普遍的な氣づき』を得て、『当初とは異なる事柄に取り組む方が望ましい』と、ご本人が考えるようになって行きました。)

上記記事の終わりの方では、『特定の、ひとつの信念や価値観』だけに意識を向け、『一軸上の綱引き』のような形で悩んでいる場合には、比較的簡単に『意思決定』できるけれども、複数の信念や価値が混ざっている』と、停滞や牛歩といった状態に陥りやすくなるという話も紹介しておりました。

この、『複数の信念や価値が混ざっている』というもつれ(エンタングルメント)(※)状態を解きほぐすために『価値判断基準を最適化しよう!』というコンセプトでご用意したのが、下記の新セミナーです。

5月3日(火・祝)~4日(水・祝)開催
『ディスエンタングルメント入門』
~停滞や牛歩、不均衡な状態から抜け出すために、価値判断基準を最適化する!~

エンタングルメント
量子コンピューティング、量子暗号、量子テレポーテーションなどの分野を支える『量子エンタングルメント』(量子もつれという概念を見聞きする機会が増えてきたこともあり、『(糸・人間関係などの)もつれ、絡み合い;もつれた状況・事情』を表す『エンタングルメント(entanglement)』という言葉を、セミナーの名称の一部に採用しました。

 

いくら能力を高めても、ブレーキとアクセルを、同時に踏んでいてはムダ!

例えば、「世界一周の冒険に出たい」(多様性への欲求)という想いと、「安全・安心で堅実に暮らしたい」(確実性への欲求)という想いの強さが同じくらいの場合には、何となく不満を抱えつつもどっちつかずのまま過ごし続けたり、どちらか一方を選ぼうとするともう一方がそれを邪魔して決断が下せない麻痺状態に陥ったり、頑張って一方を選んだけれど後悔したり…となりがちです。

こういった状況で、さまざまな国や地域の言葉や文化を学んだり、飲み水の確保方法などアウトドアでのサバイバル術を身につけたり、パーティでのコミュニケーション手法として社交ダンスを習ったり…と、さまざまな能力を高めて「世界一周の冒険に出る」ための準備を進めても、『複数の信念や価値が混ざった、もつれ(エンタングルメント)状態』では、せっかくの努力や投資(時間や費用やエネルギーなど)が無駄になってしまうこともしばしばです。(決断が先送りされると、多くの場合には、『恒常性維持』寄りの選択をします。)

私たちは、「選択肢のどちらかが明らかに正しくて、他方が誤りである」場合と異なり、上述のように「どちらの選択肢にも、それぞれ価値・利益などがある」場合に、困惑して停滞したり、中途半端なままの自分・無駄な努力をしている自分を否定的に捉えるようになったりしてまうことがあります。

ブレーキとアクセルを同時に踏んでいても、自分の心身(や財政状況、周囲との関係性など)を痛めつけてしまうだけなのです。やはり、『無意識のうちに働いている、それぞれの価値が足を引っ張り合わない形で調整すること』、『もつれ状態を解消して、日常生活をおのずと望む方向に導いていく形に整理すること』(ディスエンタングルメント)が大切ではないでしょうか?

 

『苦痛を避けて、快楽を得る』メカニズムは、正しく使わないと逆効果!

あなたの身の回りにも、「太ったままでいたくない!」「疲れやすい体質からオサラバしたい!」などと、フィットネス・ジムやスポーツ・クラブに加入したり、さまざまな運動を始めたりするものの、数週間も続けないうちにやめてしまう人がいらっしゃるのではないでしょうか?

私たちのモチベーションというのは、基本的に、『苦痛を避けて、快楽を得る』というメカニズムに従って生じます。

上記の場合で言うと、「太った状態のままでいること、あるいは、疲れやすい体質でいることによって生じる、『さまざまな身体的・精神的苦痛を避けたい!』」といった形で、『苦痛を避ける』動機づけによって、『運動に取り組み始めることには成功』しています。

ところが、ずっと、「太ったままでいたくない!」「疲れやすい体質からオサラバしたい!」と、本人が意識を「太っている自分」「疲れた体質の自分」に向け続けることは、「自分自身を、日々ネガティブな感情に繰り返しさらし続ける」(自己を否定的に捉える)ことになります。

また、そうした状況の下で運動を続け、少し「肥満や虚弱体質に見えなくなり始める」と、「苦痛を避ける」形による「運動継続の動機」は弱まって行き、結局、「やや改善レベルに到達した段階で、運動するのをやめてしまう」こと、『成功と失敗を繰り返し、徐々に自己評価を低くしていってしまう』ことが多くなるのです。

「運動に取り組み始める」際には、『苦痛を避ける』動機づけで構わないのですが、本人の変化の状態に合わせて、『柔軟な身のこなしが可能で、○号(○サイズ)の服が似合う、スリムな体型になる!』や『○○キロメートル走ったり、泳いだりしても、○分後には安静時の心拍数に戻るような持久力を手に入れる!』のように、価値ある状態に到達して『快楽を得る』という形の動機づけに切り替えるようにすれば、モチベーションが持続しやすくなるだけでなく、目標達成に近づくほど本人のモチベーションを高めることが可能です

…ずっと、『苦痛を避ける』動機づけのままでいるのとは、効果が違います。今回ご紹介したような『変化の促進を適切に行うには、レベルの把握が重要である』という内容については、『合同会社5W1H流コーチング学習プログラム』のDAY8、『変化のレベル・モデル・メカニズム』で詳しく学びます。

やはり、『個人の目標達成』を狙う場合には、「Aの場合には、Bをせよ!」などと、『静的タイプ分け』に基づくアプローチを選ぶのではなく、観察・分析・内省ほかから成る『動的パターン認識』を活用するのが重要だということです(図表:「人財部門と『ビッグデータ&リトルデータ』」を参照)。

  ビッグデータリトルデータ
時間域 主に中長期 主に短中期
情報の種類 組織が人々について知っている情報 私たちが私たち自身について知っている情報
思考・行動様式 静的タイプ分け 動的パターン認識
人財部門での活用法 最適配置とチーム編成など 強み・弱みと育成計画など

図表:人財部門と『ビッグデータ&リトルデータ』
[ 出典:「@人事」様での5回目の連載記事:組織への提言に「ビッグデータ」、個人目標達成に「リトルデータ」  より転載 ]

 

コインは、表だけ、裏だけでは存在しない!

ここまで、『ブレーキとアクセルを、同時に踏んでいる』状態、『静的タイプ分けのアプローチを採用して、成功と失敗を繰り返している』状態といった形の『もつれ』を見てきましたが、他にも、『その場をしのぐために、自分や周囲にとって、不適切な価値を優先してしまう』状態や『成功してしまうことに抵抗を感じる』状態、『先延ばしが当たり前』の状態、『2つどころではなく、3つも4つも複数の価値や信念が絡まり合った』状態など、さまざまな『もつれ』があります。

それぞれの『もつれ』に対して、適切なアプローチが異なっていることも多いのですが、『ディスエンタングルメント入門』セミナーの根本にあるのは、『コインは、表だけ、裏だけでは存在しない!』という考え方です。

これは、「表面もコインなら、裏面もコインであり、どちらも、ひとつのコインという『全体』の『別々の側面』である」ということです。

そんなの当たり前じゃないか!と思われると思うのですが、ここで言っているのは、私たちは、「コインを『片面ずつしか見ない』場合に、『コインの表』と『コインの裏』という『断絶した2つの単体』が存在しているのではない!ということを忘れてしまいがちだ」(…私たちの『認知能力の制約』から生じた、表面的な『幻想』に惑わされていることに氣づかないままでいる)ということです。

『さまざまに異なる価値や信念が混在して絡まり合い、互いの利益の実現を妨げ合うように働いている』ように思っても、実は、もともと、『それらを生じさせた統合的な状態』があって、今現在は、『別々の側面になっているように見えるだけではないか?』という視点に立って、『もつれ』を解いていこう!というアプローチを、参加者のみなさんの個別具体的な事例を扱う演習を通じて紹介していこうというのが、『ディスエンタングルメント入門』セミナーの方針です。

今回ご紹介した、『いくら能力を高めても、ブレーキとアクセルを、同時に踏んでいてはムダ!』といった切り口などに関心をお持ちの方は、休日のリラックスした雰囲氣・服装で、『ディスエンタングルメント入門』セミナーにお越しください。

●5月3日(火・祝)~4日(水・祝)開催
『ディスエンタングルメント入門』
~停滞や牛歩、不均衡な状態から抜け出すために、価値判断基準を最適化する!~

また、関連して役立ちそうなものとして、下記のようなものもありますので、ご都合がつくようでしたら、是非、ご活用ください。

●5月20日(金)開催
『ニューズレター購読者限定』告知イベント
(詳細は、ニューズレターを購読していただいている方のみにご案内しております。)

●新サービス
『ラディカル・キャリア・チェンジ』徹底サポート
【ダブル・メジャー、異業種・異分野への転身、職種転換など】に関心をお持ちの方向け

さて、今回の記事をお読みになって、あなたは複数の信念や価値が混ざった、もつれ(エンタングルメント)状態』について、どんなことを感じたり考えたりされたでしょうか? 周囲の方々とお話になってみてくださいね。

それでは、次回のニューズレターでまたお会いしましょう♪

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