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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

伸びる東アジアと「ビジネス関係構築能力」としての「質問力」(第132号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

先日配信の「号外」では、合同会社5W1H流 「コーチング学習プログラム」が「学び漏れなく、途中編入が可能」だという案内のほかに、「質問力のお知らせ2つ」として、下記二重線内についてもご紹介していました。


  • 1月25日発売の「BIG tomorrow」(2013年3月号)という月刊誌では、「英語やスキル・アップの学習では得られない、勝ち抜く知恵」(…特定分野のスキル、資格の取得、記憶術などといった個々のビジネス・スキルの奥にある「何か」をどう学べばよいのか)という文脈の特集記事の中で、(株)東レ経営研究所特別顧問の佐々木常夫さんや、日本で初めて日本経営品質賞(中小企業部門)2度目の受賞をされた(株)武蔵野代表取締役社長の小山昇さんほかの話に混じって、弊社の考える「質問力」について紹介していただけました。
  •  1月23日に投稿した、弊社Facebookページの記事:「質問力」川柳モドキ!? では、ジャーナリストの方やコンサルタントの方や弁護士の方などが伝える「質問力」について、誤解を恐れず、あえて短く(川柳っぽく)表現することにトライしていました。

また、過去に配信したニューズレターを振り返ってみれば、第128号では、「質問力」や「コーチング」の学習や組織導入の際には、経済成長期に有効だった「○○は必要か?」「○○は効率的か?」に代わる新たな焦点・判断基準を持つべきではないかといった考えについてもお伝えしてきていることに氣づきます。

さらに今回は、グローバル・ビジネスにおける西洋諸国の役割が相対的に低下しつつある中、台頭するアジア諸国(とりわけ東アジア)への注目が高まってきているという文脈で、弊社流「質問力」が担う役割について、私の考えをご紹介したいと思います。

 

アジア経済の変化:域内貿易・サービス業の発展

アジア圏の経済成長や経済発展に関しては、数多くの人が包括的かつ詳細な議論をされているので、「アジア圏のビジネスが存在感を増しているというのは本当か?」といった分析については専門家に委ねることとし、本稿では、後半の議論を進める程度には充分と思われるだけの根拠として、弊社なりに取り纏めた統計資料で「東アジアのビジネスの伸び」は確からしいということをお示ししたいと思います。

•United Nations, The 2011 International Trade Statistics Yearbook, Volume IIデータを基に、合同会社5W1Hが作成。
•東アジア:日本、中国、香港、韓国、シンガポール、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ブルネイカンボジア、ベトナム

図表1:世界の輸出額に占める東アジアの輸出額

図表1からは、世界の輸出総額が増えているということと、世界の輸出額に占める東アジアのシェアが(少なくとも2010年の段階で)3割近くにまで伸びてきているということが読み取れます。

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図表2-1:中国の輸出先シェア

•   RIETI-TID 2011データを基に、合同会社5W1Hが作成。
•  東アジア:日本、中国、香港、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイカンボジア、ベトナム
•  NAFTA:米国、カナダ、メキシコ
•  EU27:英国、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリア、ベルギー・ルクセンブルク、デンマーク、フィンランド、ギリシア、アイルランド、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、ブルガリア、キプロスチェコ・スロバキアエストニアハンガリーラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、ルーマニア、スロベニア

図表2-2:東アジア(中国を除く)の輸出先シェア

図表2-1では、貿易額増大が著しい中国では、特に欧米向けの輸出額が拡大しているということ、図表2-2では、中国を除く東アジアで見ると、輸出先としての東アジアの割合が増大してきているということが読み取れます。こうした傾向から東アジアでは、東アジアから輸出して東アジアで輸入するという「域内貿易」が発展しつつあるという見方や、今後の東アジア貿易は、欧米諸国の経済成長に依存する傾向が次第に薄れていき、「域内貿易」(中国の経済成長可能性や、中国と他のアジア新興国や地域との関係)について考慮することが、相対的に重要性を増していくという見方が出てきています。

[ 参考:一般に、欧米諸国の景気低迷は、最初に、「最終財の組立地」としての「中国」貿易黒字の縮小をもたらし、次に、「中間財の供給地」としての「韓国・台湾」の貿易黒字を縮小させる(日本は、韓国や台湾向けの貿易黒字減少に加えて、欧米の景気低迷の影響を直接受ける)と言われています。]

また、これまでアジア諸国では、科学技術や学術研究、医療、経営管理などの分野で専門的な知識・技術・資質を持ついわゆる「高度人材」が、欧米諸国に「頭脳流出」(Brain Drain)していることが問題視されてきていましたが、外国に留学した人を呼び戻すための施策をきちんと打っている一部の国・地域では、近年、「頭脳回流」(Brain Circulation)と呼ばれる、高度人材の還流現象が見られるといった変化について報道されています。世界の高度人材の受け入れ先としてもアジアが台頭していくことで、さらにグローバル・ビジネスにおけるアジアの存在感が増していくようになるかもしれませんね。

さて、上記では、「東アジアの貿易額(輸出額)の増大」「東アジア域内貿易発展の兆し」についてご紹介したのですが、もう一点、「東アジアでのサービス業の発展」についても併せて触れておきたいと思います。

こちらについても、さまざまな資料があるようですが、ここでは「アジア経済におけるサービス業の比重が大きくなっている」「アジアのサービス輸出が大幅に拡大し、世界のサービス輸出に占めるアジアの割合が急拡大している」といった現状が解説されているものの1つとして、2012年6月4日の日経ビジネスONLINEの記事:「製造業だけじゃない、伸びるアジアのサービス産業」フレドリック・ニューマン、孕石健次が挙げられることを紹介するだけにとどめておきます。(詳細情報について書くと長くなるので、ご興味をお持ちの方は、キーワードを参考に、各自でお調べになってみてください。)

 

欧米偏重のグローバル人財は、アジアで苦労する?

前段では、「東アジアの貿易額(輸出額)の増大」「東アジア域内貿易発展の兆し」「東アジアでのサービス業の発展」について指摘しました。こういった潮流に加え、世界人口に占めるアジア人口が約6割、東アジア人口が約3割(データ元:United Nations, World Population Prospects: The 2010 Revision)であることを踏まえると、主に「アジア向けビジネスの拡大」のことを指して、「ビジネスのグローバル化が加速している」と称している組織も結構多いのではないかと推察しています。あなたが所属される組織の場合には、いかがでしょうか?

弊社では、「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織を増やしたいと考え、下記囲み内のような人財の育成および、こういった人財で溢れた組織を増やすさまざまな支援を行なっているため、今度は「アジアの人々とビジネスができる、グローバル人財の育成」という切り口で考えてみたいと思います。

  • 世界のどこに行っても、どんな業界に行っても、どんな状況になっても、さまざまな制約条件がある中で、必要な情報を集め、知恵を絞り、実際に行動して、たくましく生き残り、素晴らしい成果を上げる人物
  • 自分なりの世界観・歴史観・人間観に根ざした考え方を持ちつつも、氣負わずに等身大で自己表現でき、それでいて、周囲に幅広く意見を求め、価値観・信念の違いを超えて一緒に対話・協働していこうと相手に感じてもらえる人物
  • 多様な考えの化学反応を促進することで、適切な課題を設定し、目的達成に向けて、関係者を巻き込みつつ、目の前のことに、とことん一生懸命に取り組める人物

人文社会科学の分野では、「西洋社会と東洋社会」といった切り口に基づく研究がいろいろあるようなので、大まかな特徴をとらえるために下記のような表を作成してみました。

原出典:
•  Cohen, R. (1997). Negotiating Across Cultures: International Communication in an Interdependent world. Washington, D.C.: United States Institute of Peace Press.
•  Doi, L. T. (1971/1981). The Anatomy of Dependence (2nd ed.). Tokyo: Kodansha. (土居健郎 『「甘え」の構造』 講談社)
•  Hampden-Turner, C., and Trompenaars, A. (1993). The Seven Cultures of Capitalism: Value Systems for Creating Wealth in the United States, Japan, Germany, France, Britain, Sweden, and the Netherlands. New York: Doubleday.
•  Hofstede, G. (1980). Culture’s Consequences: International Differences in Work-related Values. Bevery Hills: Sage.
•  Hsu, F. L. K. (1953).Americans and Chinese: Two Ways of Life. New York: Schuman.
•  Markus, H., and Kitayama, S. (1991a). “Cultural variation in the self-consept.” In J. Strauss and G. R. Goethals, eds., The Self: Interdisciplinary Approaches. New York: Springer-Verlag.
•  Triandis, H. C. (1994). Culture and Social Behavior. New York: McGraw-Hill.
•  Triandis, H. C. (1995). Individualism and Collectivism. Boulder, CO: Westview Press.

図表3:西洋社会と東洋社会の比較

図表3の内容を踏まえると、各種取引や交渉を進める場合、欧米諸国の人相手であれば(欧米のMBAスクールで教えられるように)、「重要なのは、その取引・交渉における結果であり、人間関係構築に力を注いでもあまり意味がない」という姿勢が当然とされ、アジア諸国の人相手であれば、「互いの立場や主観などが複雑にもつれ合った取引・交渉では、今後の協力関係・信頼関係が築けるかもしれないという可能性に配慮しつつ、人間関係構築に力を注ぐことが重要である」という姿勢が当然とされる傾向にあると言えるでしょう。(欧米諸国の人が相手だと、比較的ドライな人間関係で良いのかもしれませんが、アジア諸国の人が相手のビジネスであれば、よりウェットな人間関係が求められると思っていた方がいいのかもしれませんね。)

私は、「アジアの人々とビジネスができる、グローバル人財の育成」という視点に立つと、「各専門領域における、個々人の業務遂行能力を向上させる取り組み」に加えて、「ビジネス関係構築能力」(利害関係者 [stakeholder:ステイクホルダー] との関係を構築するコミュニケーション能力)、「リレーションシップ・マネジメント」(Relationship Management;取引関係管理、顧客関係管理など)といった視点の導入が非常に重要ではないかと思います。

「グローバル人財の育成が急務」といって慌てて、出来合いの「欧米の人財育成プログラム」をそのまま導入しているようでは、「アジアの人々とビジネスができる、グローバル人財の育成」は困難であり、業務に直結したスキル開発とは別に、継続的に「ヒューマン・スキル」開発に向けた取り組みに投資することが重要なのではないかと考えています。

経営者の方、人財育成担当者の方は、日立製作所グローバル人財本部の山口岳男本部長の「日本企業の人材管理は、欧米一流企業に比べて10年遅れだ」(出典:雑誌「日経ビジネス」2012年12月24・31日合併号)という言葉を噛みしめつつ、第129号欧米の人財育成を学ぶのは、欧米のマネをするためではない」に改めて目を通していただきたいと思います。

 

「ビジネス関係構築能力」としての「フレームワーク質問力」

今回は、グローバル・ビジネスにおける西洋諸国の役割が相対的に低下しつつある中、「東アジアの貿易額(輸出額)の増大」「東アジア域内貿易発展の兆し」「東アジアでのサービス業の発展」などといった形でアジア諸国(とりわけ東アジア)への注目が高まってきており、「アジアの人々とビジネスができる、グローバル人財の育成」について考える場合には、「ビジネス関係構築能力」「リレーションシップ・マネジメント」といった視点の導入が重要ではないかという主張を展開してきました。

弊社「フレームワーク質問力」では、「一方的に情報収集するだけ」の質問というのは「尋問」や「詰問」になってしまいがちであって避けるべきだとお伝えし、「真実あるいは解決策の探求を、関係者と共に進めて行く方法」や「相手が大切にしている事柄を見極め、相手との認識のズレを調整しつつ、話を進める指針」ほかについて、演習を通して学んでいく内容となっています。

すなわち、「ビジネス関係構築能力としての質問力」といった内容となっておりますので、「ビジネス関係構築能力」「リレーションシップ・マネジメント」といった視点に配慮した「グローバル人財の育成」、ヒューマン・スキル開発への継続投資に興味をお持ちの方は、是非ご活用ください。

また、【2月8日(金)スタート】の「変化促進研究会(C研)」第6期では、【チーム】に絡んだ2冊のテキストを扱います。「ビジネス関係構築能力」「リレーションシップ・マネジメント」という視点に配慮して、参加者のみなさんと一緒に「チーム」について学んでいければと思っています。(テキスト入手が間に合わない方には、第1回目の資料を送付申し上げることが可能ですので、お氣軽にお申し付けください。)

さて今回の、伸びる東アジアと「ビジネス関係構築能力」としての「質問力」という話はいかがだったでしょうか?

あなたは、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか? 何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

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