人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

「70代で働く近未来社会」と「35~45歳」「定年に向けて準備する50代」(第148号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

私自身が、民間企業・非営利組織(NPO)・政府への就職・転職経験があり、また、交際していた女性の介護専念のために辞職(無職時代を経験)したり、働きながら博士号(ナノテクノロジー分野)を取得したり、ビジネス系の勉強会に出席して2週間で起業(会社設立)したりしてきているという、少々変わった経歴のためか、キャリア・デザインという切り口から大学などに呼ばれて話す機会があります。

よくあるキャリア・カウンセリング、キャリア・アドバイスとの違いとしては、私自身がさまざまなキャリアを経験してきている実践者であるという点があり、また、よくあるキャリア開発の話との違いとしては、1つの組織の中でいかにキャリアを重ねていくと良いかという組織の側の視点に立った考え方と異なり、(一応、経営者ですので、組織の側の視点も踏まえつつ)いかに主体的に納得できる人生を送るかというライフ・デザインの視点に立ったキャリア・デザインの考え方を採用しているという点が挙げられるのではないかと思っています。

今月中旬に開催される某スポーツ連盟の就職フォーラムで、170名前後向けの就職講座を任せていただけることになり資料を準備していたところ、ファースト・キャリアの話も大切だけれど、自身が提供しているコーチングの経験から、セカンド・キャリア以降の話も大切だと考えたので、今回は、その辺りの話をご紹介しようと思います。 ご興味をお持ちの方は、どうぞ読み進めてください♪

 

「70代で働くのは普通」の近未来と「経営者の視点」

先日(2013年10月30日)厚生労働省が発表した統計によると、高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業割合が97.3%となっており、希望者全員が65歳以上まで働ける企業も70歳以上まで働ける企業も共に増加していることがわかります。

これは、2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」にある記述

経済のグローバル化や少子高齢化の中で、今後、経済を新たな成長軌道に乗せるためには、「人材こそが我が国の最大の資源である」という認識に立って、働き手の数(量)の確保と労働生産性(質)の向上の実現に向けた思い切った政策を~(中略)全ての人材が能力を高め、その能力を存分に発揮できる「全員参加の社会」を構築する。

という方向性に沿った動きだと解釈していいのかもしれません。

ただ、こういった動きの中で忘れていけないことの1つは、「企業・組織の視点」(経営者や、採用・配置・評価・育成・処遇担当者の視点)だと思います。

ビジネスのグローバル化が進み、経営の厳しさが増す環境では、

  •  「結果」を出さないのに「権利」ばかり主張する人材や、現行の事業戦略実現への「貢献」が見られないのに「過去の成功」をネタに「今も高給」を欲する人材は要らない!
  • コンピューターやロボット、あるいは、賃金が低くてもいいという仕事熱心な外国人や明るく元氣な若者にマネできないような価値を生み出せないシニア社員は要らない!

というのが本音の企業も多いのではないでしょうか?

 

35歳前後~45歳前後の人々、定年後を考え始める50代の人々

人材総合サービス企業のエン・ジャパンさんが、2013年5月にウェブサイト利用者400名を対象に行なったアンケートによると、「会社を『辞める』『とどまる』双方のリスクを最も感じているのは30代」だという結果が得られたそうです。

また、ニューズレター第140号:プロジェクト・オキシジェン&40代でマネジメント能力ないと解雇予備軍 では、

  •  「40代で管理職に就いていない人(マネジメントができず、人件費が多くかかる人)」なども解雇・大幅減給予備軍
  • 組織としては、いくら真面目で長時間労働に耐える人であっても、「作業」しかできない人は正社員としては不要で、「仕事」ができる人にしか高給を払いたくないというのが本音
  • 「給与に見合うくらいの働き」とは、「給与の3倍程度以上の経済的価値に換算できる何らかの価値創出に貢献すること」

といった内容を書いていました。

さらに、ニューズレター第101号:それは、「新・π型人財」を見据えた「質問力」ですか?では、

  • 現代は「就労者としての寿命 > ビジネスの寿命」であり、「1つの組織にずっとぶら下がっていられない人たちが増える」という傾向が顕在化しつつある時期
  • 中間管理職の人員を削減することで経営の合理化を進める過程で、40・50代の管理職の役職を無くす動きがある

といった内容も書いていました。

あなたが属する世代は、仕事人生のどの辺りか

図表1:あなたが属する世代は、仕事人生のどの辺りか?

多くの人の近未来において、「70代で働いていて当たり前」という仕事人生を考えると、今この記事を読んでくださっているあなたは、図表1で示した線上のどの辺りに位置していらっしゃるでしょうか?(…本当だったら、「年齢」や「過去の業績」ではなく、個々人の「脳機能の高さ」や「手先の器用度」や「今後期待できる伸び」など、仕事内容に合った指標で適不適を判断する方が好ましいと、私は考えています!)

某フォーチュン・グローバル500企業では、「管理職(所属長)育成 に取り組む目安」が35歳前後、「経営幹部(執行役員)育成に取り組む目安」が45歳前後などと言われています。 社会人となって20年程度経ち、これまで取り組んできている仕事や個人としてのパフォーマンスについて、ある程度の自信が持てるようになる一方で、所属組織内における今後の展望も見えてくるのが、この辺りの時期なのかもしれませんね。(…一般に「バブル景氣」と呼ばれる、1986年12月~1991年2月の間に新卒入社された方々は、現在40代半ば~後期となっていて、組織の中核を担っていらっしゃる頃かもしれません。)

健康や疲労に関する話題が増えてきたり、仕事への意欲や集中力への陰りが見え始めたり、新しい物事に取り組むよりは現状維持で満足してしまったり、業績・昇進・昇給・充実感・やりがいなどに限界を感じてしまったり…といった兆しに遭遇する機会が増え、仕事人生後半に向けて「納得できる働き方・生き方とは?」あるいは「自分のアイデンティティとは?」といった事柄について考え始める人が増えるのも、(コーチングを提供している私自身の経験を踏まえると)この辺りの時期の人が多いように感じています。

さらに年齢を重ねて50代になると、定年後の暮らしについて考えるという人々が増え、「セカンド・キャリア」(人によっては、数度目の転職や独立・起業)を準備し始める人が増えてきます。 頭も身体も元氣一杯だけれど、(上述のような「企業の視点」に立つと)高給をもらいつづけながら組織に居続けるのは難しくなって、年金生活に入るまでの間を過ごすための新しいキャリアを探そうとされる方が多くなるのです。(…ちなみに、彼らに「所属組織名・部署名を出さずに自己紹介してください」と伝えると、初めて会う相手に、「ご自身の市場価値」(自分を雇うことで、相手の組織にとってどんな便益が見込めるのか?など)を伝えることができないという自分の状況に愕然とされる方が続出します!)

前出のニューズレター第140号では「40代でマネジメント能力ないと解雇予備軍」という話を紹介していましたが、やはり、第101号でご紹介していた「I型人財なのか、T型人財なのか、旧・Π型人財なのか、新・Π型人財なのか?」によっても、キャリア・デザインの方向性が大きく変わってきます。[ ※ Πは、円周率を表すギリシャ文字として知られるπ(パイ)の大文字です。 ]

新・Π型人財

図表2:新・Π型人財
[ 出典:ニューズレター第101号より再掲 ]

このように、35歳前後~45歳前後の人々、定年後を考え始める50代の人々というのは、「個人としての、継続的な能力開発という課題」に加えて、「周囲(人、場、組織、社会)との関わり方を考慮した上での、アイデンティティ・役割の再定義という課題」(※)に取り組み始める方が増える時期なのかもしれないと、私は考えています。

※「周囲との関わり方を考慮したアイデンティティ・役割の再定義」に関しては、具体的にどんなことを指すのかわかりづらいかもしれないので、例を挙げておきます。 あなたがもし、誰の助けも借りず何でも仕事をこなしてきたハイ・パフォーマーやスペシャリストだったとしましょう。 そういった人物は、「個人としての、それまでの業績」を評価されて、管理職(所属長)に昇進し、部下を持つことになりがちです。 しかし、そういった人物は、「他者への働きかけ(コミュニケーション)によって、自分と同等以上の成果を上げさせること、チームに相乗効果を発揮させること」で苦労されることも多いです。 さらに管理職(所属長)としての成果を上げると、今度は経営幹部(執行役員)として、自分(たち)なりにビジネス上の課題を設定して、その課題解決のために所属部署内外・所属組織内外から有能な人財を集めて課題解決に向けた協働を推進させるといった働きが求められるなど、期待される働き方が変わっていくのです。 一般社員、管理職(所属長)、経営幹部(執行役員)といった役割の違いによって、周囲への働きかけ方が異なるという話、ご理解いただけたでしょうか。 こういった話が、「仕事上の自分の役割が変わることで、周囲との関わり方を変えなければいけない例」に該当します。

さて、これまでの話を踏まえ、図表1や図表2を考慮すると、今後あなたは、「周囲とのどんな関わり方」「どんなキャリア・デザイン」を希望されるでしょうか?

 

キャリア・デザイン、ライフ・デザインとコミュニケーション

世の中には、「卓越した技術を持っているために世界中の大企業から声がかかる町工場の職人さん」もいらっしゃいますし、「次々に現れる俊才、英才との競争に勝ち続け、常に世界の最先端で能力を発揮し続ける研究者や技術者」などもいらっしゃいます。私にはそうした友人もいますし、彼ら(…主に「I型人財」に分類される人々)に惜しみない敬意を払っていますが、人口比で考えれば、彼らのような存在は少数派ではないでしょうか? むしろ、図表1の右半分を意識してキャリア・デザイン、ライフ・デザインについて考えるのであれば、ほとんどの人にとって「周囲との関わり合い方」(コミュニケーション)が極めて重要な役割を果たすのではないでしょうか?(…話が発散し過ぎるのを避けるため、今号では「投資家」という生き方についての記述は省略します。)

「自律共栄の納得人世」という理念の会社で働く私は、上記のように考えているため、「個人としての、継続的な能力開発という課題」に加えて、「アイデンティティ・役割の再定義という課題」に取り組む人々を対象に、「周囲(人、場、組織、社会)との関わり方」を考える上で重要な「コミュニケーション関係のサービス」を提供させていただいています。

もし、あなたが

  • 「アイデンティティ・役割の再定義に向き合い、自分らしいキャリアをデザインしたい!」あるいは「転職活動のサポートをして欲しい!」のであれば…
    →創立以来30年以上続く組織の採用(…応募年の競争率は80倍程度)で、過去最高の成績で合格した実績もある、弊社代表の高野が「キャリア・デザイン・サポート」(Career Design Support; CDS)を提供させていただきます。
  • 「自分の部下に必要なのは、自分や組織が考えるような均一なキャリア開発ではなく、個々人の事情や価値観などに即した柔軟なキャリア・デザイン支援ではないか!?」とお考えであれば…
    質問・支援型コミュニケーションが学べる、「合同会社5W1H流コーチング学習プログラム」(CLP)への編入あるいは貴組織を訪問しての実施についてお氣軽にご相談ください。(分割払いもあります)
  • 関わり合いの対象である「人」を、人材Human Resource;「人的資産」…「管理可能な組織の所有物」という考え方が前提)ではなく、人財Human Capital;「人的資本」…「選択の自由や自由意思を持ち、細かく管理する対象とはならないもの」「知恵や言動によって組織の資産を増やすもの」という考え方が前提)と捉える組織の方であれば…
    コンピテンシー獲得能力の向上や周囲との関わり合い方に役立つ「フレームワーク質問力®」などの研修の導入や、貴組織に合った人財育成計画策定・実施のお手伝いを行う「人財育成コンサルティング」の利用について、お氣軽にご相談ください。

[ Human ResourceやHuman Capitalは、共に「人的資源」と訳されることも多いのですが、ここでは考え方の違いを際立たせるため、異なる訳語をあてました。]

ご興味をお持ちいただけたものがありましたら、是非ご活用ください。何かの機会にあなたにお目にかかれるのを楽しみにしております。

また、「キャリア・デザイン・サポート」は新しいサービスということもあり、【11月30日(土)まで、期間限定特別価格での提供】とさせていただきます。

さて今回は、「70代で働くのが普通の近未来社」「仕事人生のステージに応じたキャリア・デザイン」に関する話をいろいろご紹介しました。 あなたはどんな印象をお持ちになり、何をお考えになるでしょうか? あなたの「QOLの向上」にとって、何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

P.S.
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