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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

欧米の人財育成を学ぶのは、欧米のマネをするためではない(第129号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

今回は、「欧米の人材マネジメント」に関心をお持ちの方からいただいたメールに触発されて考えた事柄について、ニューズレターを購読してくださっているみなさまにシェアしようと思います。

 

欧米諸国の人財育成手法をマネようとするのは、なぜですか?

日本では、ASTD(American Society for Training & Development:米国人材開発機構)やSHRM(Society for Human Resource Management:米国人材マネジメント協会)での発表内容を見て、日本の人財育成が数年~10数年程度遅れているのでは?という危機感を覚える企業や研修講師などが増えてきています。

そういった状況の下、日本の人財育成業界?の関係者の間では、欧米で「最新の人財育成手法」「ベストプラクティス」が登場するたびに日本企業にほぼそのままの形で導入しようとする方々、「ローカリゼーション」の視点を持たず「グローバリゼーション」の視点のみを持って「欧米流の評価(効果測定)方法の標準化」を導入しようとする方々も出てきています。

2012年11月1日に弊社Facebookページに投稿した記事:「グローバル人財」の「信頼性」と「信頼感」では、次のような考えも披露していました。

  •  「グローバル人財になる」「グローバル人財を育てる」と言う話をするときには、まるで「コモディティ」のような「言葉が通じるだけの、置き換え可能な、標準的な人材」をイメージするではなく、「市場競争力があり、高い付加価値を生み出せる、代替がきかない人財」(コンピューターやロボットに期待できない解、他の人には出せない解を出せる人財になる/そういった人財を育てること)をイメージする方が適切な場合が多いのではないか
  •  「氷が溶ければ何になる?」と問うたときに、「水になる」と答えることはもちろん大切ですが、「春が来る」といった解を出せる感性も許容し、目的に応じて両者をバランスよく用いていくことが、高付加価値を生み出し続けるビジネス/組織には大切なのではないか

戦後の日本が欧米諸国から、教育の自由化・民主主義思想・男女同権など多くのものを貪欲に取り入れていった/受け入れていった背景には、理想社会の実現に近づけていきたいといった側面もあったように思います。

では、現在の人財育成業界の動きについては、どのように考えればよいのでしょうか?
日本に比べて、「欧米諸国の方が、人間的に優れているから、欧米諸国の人財育成方法を取り入れる」というわけではありませんよね?

では、企業競争力を高めたり、企業価値を高めたりするため、つまり、「所属企業の経済的状況を好転させるために、欧米諸国の人財育成手法を導入する」という解釈はどうでしょう?

こういった「因果関係」の解釈に「歪み」はないでしょうか?

私は経済に疎いのですが、それでも、多くの経済学者が「米国、欧州、日本の現在の経済状況を見比べると、いくらか優っていると思えるのは日本だ」という判断をしているという程度のことは把握しています。

こういった判断の根拠とされる1つの例として、日本と比較した際の欧米諸国における高い失業率、とりわけ若者の高い失業率が挙げられます。(…つい先日、「15~24歳の若年層失業率が、スペイン52.9%、ギリシャ53.8%などで、さらに悪化中」といった報道もありましたね。)欧州では、法律で定められた最低賃金が高水準であり、社会保障費などが高いといった事情が新たに人を雇うことの障壁になっていると言われていますし、世界的に見ても、特に「若年層の労働訓練」は「即戦力にならない」「短期間で結果が出ない」と評価され、「技術習得が比較的容易な作業」が「機械化・IT化」されることで新規雇用が不要なこと、賃金が安くて済む「新興国あるいは新興国出身人財」に仕事を割り振る傾向が強まっていることなどが、高い若年層失業率の背景として指摘されています。

さて、話を戻しましょう。「日米欧の現在の経済状況を比較した場合に、いくらか優れていると思えるのが日本」だとすれば、「所属企業の経済的状況を好転させるために、欧米諸国の人財育成手法を導入する」という前提を採用するのは、おかしくないでしょうか?

では、経済成長率が高い中国に人財育成手法を学べば、日本企業の経済的状況が好転すると見込めるでしょうか?一党独裁の共産国家でうまくいった手法を、日本企業がそのまま真似ることで、本当に経済的状況が好転するでしょうか?

ここではあえて議論を一般化し、「欧米の人財育成手法」などと書きましたが、もちろん、個々の人財育成手法の中には優れたものもあるでしょう。しかし、戦後の「追いつき追い越せ」を、盲滅法に人財育成の分野でもやっていくのが、本当に望ましいことなのか、それぞれの企業で検討することが重要ではないかと考えています。

高度経済成長期、「正解が見えていてそれに向かって、早く効率的に追いつけばよかった時代」と異なり、現在の経済成熟期正解がない時代に、日本よりも経済状況の悪い欧米諸国で開発された人財育成手法を鵜呑みにしてマネしようとするのはなぜですか?

改めて考えてみてはいかがでしょうか。

 

欧米の人財育成手法を学ぶのは、安易にマネをするためではない


•    一対一の戦いなら、[省略] 勝機はある。しかし、国と国との合戦では、そうもいかぬ。[省略] 「いまの日本に、蒸氣船がつくれるかい?性能のいい大砲がつくれるかい?」[省略] 「だから、国を開くんだ。なにも、連中の腰巾着になるために国を開くんじゃない。こっちも力をつけて、対等にわたりあうために、国を開くんだ。いまは、夷狄のほうが強いことを、素直に認めなきゃなるめえな。」

[出典:「命もいらず名もいらず」山本兼一幕末篇明治篇)をテキストに用いた、第5回「教養醸成の会」の高野の学習レポートより転載]


前段では私が、「欧米諸国の方が、人間的に優れているから、欧米諸国の人財育成方法を取り入れる」という考え方にも、「所属企業の経済的状況を好転させるために、欧米諸国の人財育成手法を導入する」という考え方にも違和感を覚えているという話を紹介いたしました。

私は、上記引用文のように、「人財育成『手法』の開発・標準化などの面で、欧米諸国に比べて日本の方が数段劣っていることを素直に認め、彼らから大いに学ぶことは大切だけれど、それは標準化された『手法』をそのまま導入したりするためではない。そして、人財育成に関する実力(…優れた『手法』の開発・標準化に限らない!)(※1)をつけて、対等以上に世界と渡り合うために、共通言語としての『英語』を道具として用いることが求められているのだ。」と考えています。
…過去に開催していた第8期の「夜の勉強会」では、「組織やコミュニティに所属する人々に、変化を起こし維持するのに効果があると実証済みの、60種類以上の方法論について、その開発者や実践者ら90名以上が協力して書いた700ページを超えるテキスト」も扱っていました。

つまり、「共通言語を持った上で、多様な価値観の人々と相互作用し合って、イノベーションを生み出すこと」=「”英語で”相互学習し、付加価値を創出すること」が大切なのに、「共通言語を持つこと」(”英語を”学習すること)や「評価方法や人財育成手法の標準化」といった最低水準のスタートラインを追い求める施策、平均値を上げようとする施策ばかりやっていてはマズイ。「それらの先」にあるものを各企業が見据えた上で、人財育成に取り組まなくてはならないのではないか?と考えています。…よく「”英語を”学習するのではなく、”英語で”学習する」と言われるのと似ていますね。

そして…「知識経済」(knowledge economy)という言葉がありますが、私は、もはや、インターネットの普及などによってコモディティ化した知識に「価値」はあっても「付加価値」はないのではないかと感じています。

広く「教育」によって伝えられる「静的なモノ」(正解一方向伝達するのに適したコンテンツ;書籍・再生動画など)ばかりをありがたがるのではなく、個々人が「学習」によって獲得する「動的なモノ」(正解のない状況下で、真実・解決策を双方向のダイアローグを通して探求する体験;ガイドラインだけ決まっていて落とし所は未定の対話・研修など)に今まで以上の価値を認め、目的達成・問題解決・意思決定などに向けて関係者が持つさまざまなリソース(知識、経験、スキル、時間、人脈、資金…etc.)を総合させる「知恵・知力」と「コミュニケーション能力」が、人財育成関係者・経営者の間で重視されることが大切なのではないかと考えています。
これが、「欧米諸国の各種人財育成手法は『静的な参考材料』として学びつつも、自分が所属する組織の現状を厳しく見つめ、理念・方向性を見据えた上で、中長期の人財育成を念頭に『動的な学習機会』を導入する姿勢を示し、『学習する組織』としての企業文化を育んでいくこと」であり、「各個人の知識・スキルの向上に努めるのみならず、所属組織の問題解決能力・イノベーション創出能力の向上に努めること」に相当するのです。

※1 ここでは、「人財育成に関する実力」は「優れた『手法』の開発・標準化に限らない!」と書いていました。非常に重要な視点なのですが、長くなりそうなので、別の機会にでも紹介できればと考えています。

 

「動的なモノ」を重視し、「自分の力、組織の力」を高めるために

では、「動的なモノ」を重視し、「自分の力、組織の力」を高めるためには、例えば具体的に何に取り組めばいいのか?という質問が浮かんできそうです。

現在弊社で提供しているものの中で、上記内容に該当し、開催間近なものとしては、

などがあり、

年末年始も日程調整の上で利用可能なサービスとしては、

があります。

また、組織としてしっかりと「動的なモノを重視し、組織の力を高めていきたい」という場合には、

などのご用意があります。

ここで挙げたコンテンツやサービスに、「質問力」や「コーチング」といった言葉が頻出していることにお氣づきでしょうか?

養老孟司の人間科学講義」をテキストに用いた、第6回「教養醸成の会」の高野の学習レポート(期間限定でダウンロード可能)では、下記の文章を紹介していました。


•   だからヒト社会で要求される脳機能は、こうした特定の情報機能ではない。要求されるのは、言語機能のように、共有機能とでも呼ぶべきものなのである。[p.191]


また、2012年11月16日に弊社Facebookページに投稿した記事:「断捨離の極み」の1つ?では、

グローバルなサバイバル時代に突入」すると、急激な環境変化にも適応できる「多機能な手段やスキル」が役立つ場面が増えてくる。しかし、「多機能な手段やスキル」というのは、得てして「体験せずに、事前の説明だけで納得できる」ようにするのが難しく、「実際に体験」してみることで、そのご利益・ありがたみ・効果などが理解できるものだ!

という話について、「洗面器」や「寿司」を例に挙げて、詳しくご紹介していました。

すなわち、弊社では、「質問力」や「コーチング」を、「グローバルなサバイバル時代」にこそ威力を発揮する「多機能な手段やスキル」の代表選手と位置づけているのです。

だからこそ、「特定場面で、相手がこう言って来たらこう返す」といった会話パターンを記憶させるような「静的なモノ」を教える類似セミナー・研修とは一線を画し、弊社では「動的なモノ」として、「状況に対応しつつ学習する能力」の根幹を成す「フレームワーク質問力®」や「課題設定力を養う合同会社5W1H流「コーチング学習プログラム」を提供させていただいているのです。
…現代は、「静的なモノ」がすぐに「オワコン」(終わったコンテンツ、流行が去った物事)になってしまう時代です。従来のコーチングと弊社流コーチングの違いについて、事例を通してもう一度比べてみたいという方は、第127号事例概説:英語を話し、マラソンを完走し、あの彼と親密になりたい」をご確認ください。

「動的なモノ」を重視し、「自分の力、組織の力」を高めるためという切り口から、「質問力」や「コーチング」の有用性について、改めて検討されてみてはいかがでしょうか?
さて今回は、「欧米諸国の人財育成手法をマネようとするのは、なぜですか?」という問いから始め、「欧米の人財育成手法を学ぶのは、安易にマネをするためではない」、「動的なモノ」を重視して「自分の力、組織の力」を高めることに意識を向けることが大切ではないか?という持論を展開して参りました。

今回の内容を書こうと思った背景には、コーチングを実施していて、「目の前の事柄の対応で手一杯だ」と自分に言い訳をしつつ、「年間3分の1程度の時間を浪費」(※2)し、ビジネス環境の急変に適応できないことで悩まれているクライアントの方や、定年間近になってから何の準備もしていない自分に氣づいて慌てたりするクライアントの方に遭遇したという経験があったことも影響しているように思います。

※2 年間3分の1程度が休日
週休2日(→約100日/年)+さまざまな祝祭日+ゴールデンウィーク+お盆休み+年末年始休暇があり、多くの人は、365日の内120日程度は休日となっている。

また、最初の方に出てきた、欧米諸国の失業率の高さなどについても、人々や組織が複雑に関係し合いグローバル化が進んだ現代では、「対岸の火事」のようには思えませんし、1929年に始まった「世界恐慌」もほんの80年程度前に起きた状況であることを思い返すと、「金融商品などへの投資もいいけれど、どんな状況でも生き残れるよう、自己投資することが大切では?」と考えるのです。

たくさんの知識を持っているけれど、習得できていることが少ない」(…知っている>>できる)と、「焦り、ストレス、自己不信」などを感じたことがあるようでしたら、是非、この年末年始からでも、「自分や家族、所属組織やコミュニティにとって有益な投資とは?」についてお考えになってみてはいかがでしょうか?

あなたは、今回の内容をお読みになって、「状況に対応しつつ学習する能力」の根幹を成す「フレームワーク質問力®」や、「課題設定力を養う合同会社5W1H流「コーチング学習プログラム」 について、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか? 何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

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