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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

成り行き任せのリーダー育成;人財の有用性≠コンピテンシー (第134号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

先日、「次世代リーダー育成」に関して、現時点で私が採用している考え方について話す機会があったので、ニューズレターを購読されているみなさまにもご紹介しようと思います。興味をお持ちの方は、是非このまま読み進めてください。

話を単純化するために、あえてざっくり分けると、「人財育成」に力を入れる経営者や人財育成担当部門/部署/担当者には、「全員の底上げ教育」を意識している方、「適所適材」(事業戦略に基づいて、人財育成に注力したい特定の役職を決定してから、その役職にふさわしい人物を採用したり、その役職にふさわしい人物となるよう育成したりするアプローチ)を意識している方、「適材適所」(対象とする人財の能力・特性などを適宜評価し、その人財にふさわしい課題や役割を与えるアプローチ)を意識している方がいらっしゃることに氣づきます。(…「適所適材vs適材適所」について興味をお持ちの方は、組織運営に活かす「コンフリクト・マネジメント」をご参照ください。)

どんな人財育成方針がメイン?

  • 全員の底上げ教育
  • 適所適材…特定の役職にふさわしい能力を設定してから、探したり育てたりする
  • 適材適所…適切な課題や役割を与えて経験から学ばせる

また、前回(第133号:フィードバックの仕方で、こんな間違いしていませんか?)登場した「指示・命令型マネジメント」を志向する組織では「画一的な集団学習」に力を入れることが多く、「質問・支援型マネジメント」を志向する組織では「多様で柔軟な個別学習」に力を入れることが多いという傾向があるように思っています。

そして、目的や組織の規模や成長段階などによって、「全員の底上げ教育/適所適材/適材適所」×「画一的な集団学習/多様で柔軟な個別学習」をどのように組み合わせて用いるのがよいかなどといった判断は変わって当然だと思います。

以下では、こういった内容について踏まえた上で、次世代リーダー育成について、現在、私がどのようなことを考えているのか、ご紹介してみようと思います。

 

アセスメントの利用は「適所適材」には適するが、「適材適所」には要注意!

最初に、2つの用語が指し示す内容について、意識を揃えておきましょう。最初の用語は「アセスメント」です。人財育成の分野では、「対象とする人物が、今現在、特定の能力を持っているかどうか、持っているとしたらどの程度かを確認すること」を「アセスメント」(Assessment)と呼んでいます。もう1つの用語は「コンピテンシー」です。「コンピテンシー」(Competency)は、「特定の仕事において、安定的に高い業績をあげている人財に共通して見られる行動特性;成果創出能力」を指します。そして、これらを組み合わせた「コンピテンシー・アセスメント」(Competency Assessment)という表現で「能力評価」を指すことがあります。

現状、広く行われている「適所適材」方式の次世代リーダー育成では、「特定の地位や職に求められるコンピテンシーを設定した上でアセスメント→そのコンピテンシー・アセスメントに基づき、現時点における精鋭メンバーを選抜→個人の能力アップの機会を提供(人事異動、研修など)→同一部門での直線的な昇格」といったやり方で人財育成が進められます。

人財育成の2つの側面

(A)既に持っている資質(才能=諸条件が満たされれば開花する見込みがある能力)に磨きをかけること…既得のモノの「向上
(B)これまで持っていなかった新たな能力を獲得すること…新しいモノの「獲得

人財育成には、 上記で示した側面がありますが、「適所適材方式の人財育成は、(A)の「向上」に軸足を置いたアプローチ」だと言えるでしょう。

つまり、「適所適材」方式で採用している「前提」には、「組織にとって望ましい結果を得るには、特定のコンピテンシーを前もって備えた人財を選抜しておくことが必要だ」(=「目的」を達成する「手段」は決まっている)というものがありそうだということに氣づきます。

ではここで、「適所適材」で重要な役割を果たす「コンピテンシーについて、4つの切り口から改めて考えてみることにしましょう。

コンピテンシーに関する4つの切り口

コンピテンシーの評価は、状況や判断基準次第
② 求められるコンピテンシーは変化する
③ 個人としてより、集団としてのコンピテンシーが重視される傾向
④ 業績達成に有用なコンピテンシーは、予め一通りに決定できない

1つ目は、「コンピテンシーのアセスメントは、状況や価値判断基準次第で変化する」という切り口です。

例えば、「1つのことに集中して取り組めない」ことを弱みだと認識する人は多いですが、「集中力」にもいろいろ種類があり、例えば「特定の部分や対象に視野を絞って意識を向ける」集中もあれば、逆に「特定の部分や対象に焦点を合わさずに、全体に拡散させるように意識を向ける」集中があることも知られています。

つまり、その場の違和感を迅速に察知したり、何らかの異常の発生に素早く対処したりすることが求められる役割が重要な場面では、「意識の向け先をあちこちに拡散・移動させることができる、全体の調和を意識することができる」(≒1つのことに集中して取り組めない)ことは、強みと見なされます。対象とする人財は、異なる種類の集中力を発揮するのに長けているだけであって、それを強みと見なすか弱みと見なすかは、状況(および価値判断基準)次第 =「コンピテンシー・アセスメントは、状況・価値判断基準次第で変化する」ということになります!

…念のため、他の例も挙げておくと…「慎重に状況分析できる人財」は「優柔不断で行動力がない人財」と評されるかもしれませんし、「傲慢で向う見ずな人財」は「自主的に判断し自信を持って行動できる人財」と評されるかもしれませんよね?このように、ある行動特性や能力が強みなのか弱みなのかという評価は、状況や価値判断基準次第で変化します。

2つ目は、「重視されるコンピテンシーは、不変ではない」という切り口です。

重視されるコンピテンシーは変化する」というのは、例えば、製造業の繁栄を牽引する主役が、数十年の間に「繊維→鉄鋼→非鉄金属→化学→一般機械→電氣機械→輸送用機械」と交代してきたような長期的な視野で見た場合の大きな流れについてのみ言えることではなく、「事業環境・事業方針の変化」といった短期的な視野で見ても、当てはまる考え方なのではないでしょうか?

このように見ると、「ある時点でコンピテンシーを設定し、そのコンピテンシーを向上させるような人財育成プログラムの体系(数ヶ月~数年?)を組んでおくこと」の、良い面と悪い面の両方について考えておくことが重要だと思われませんか?

3つ目は、「組織は、個人のコンピテンシーよりも、集団としてのコンピテンシーに関心がある」という切り口です。

ニューズレター第133号では、「従来の心臓手術から、低侵襲心臓手術(Minimally Invasive Cardiac Surgery: 略称MICS)に移行する病院では、手術スタッフの仕事の仕方が変わった」という例を挙げていましたが、私たちは、「業績」が個人ではなくチーム/グループ/部署ごとに評価される場合(関係者間の協働/協業を円滑に進め、相乗効果を発揮することが求められる場合)が増大していることに着目する必要があるのではないでしょうか。

人財の有用性は、「個人の資質」のみならず、「異なる強みを持つ人物・組織とのつながり」(例:頼みごとをしたときに、実際に相手が動いてくれる関係性)や、「さまざまなリソースへのアクセス権」、「組織や業界における立場・役割・影響力」などによっても決まるため、それまでとは異なる組織に移ってからも、すぐに同等の有能さを発揮できるかどうかは不明です。「独立した個人としての有用性」と、チーム、グループ、部署、業界など、「何らかの集団における人財の有用性」は分けて考えるのが適切なのではないでしょうか?

また、「工業時代」を象徴する「ルーティーン集約型組織」から「知識基盤経済の時代」を象徴する組織形態が増えつつある現代では、分野の境界を超えた協働/協業の機会が高まり、再び、対人能力 [コミュニケーション能力、コンフリクト・マネジメント能力など]自己管理能力 [メンタル・タフネス、レジリエンス(resilience;失敗などから立ち直る力)など] といった内容を核とする人財育成プログラムの必要性を認める組織が増えてきているようにも感じています。

4つ目は、「望ましい結果を得る方法は、ほとんどの場合、複数存在する」という切り口です。

突然ですが、まず、みなさんが「東京からロンドンに向かう」という例について、想像してみてください。(ロンドンに着いて何をするかではなく、ここでは、東京からロンドンへの移動に意識を向けてください。)「目的」がロンドン到着で、「手段」に関して何も制約がないのであれば、「民間旅客機で直行」「船でユーラシア大陸に渡り、鉄道で移動し、英仏海峡を泳いで渡り、英国内はタクシー移動」「大型貨物船に密航/豪華客船に乗船」「プライベート・ジェット所有者とお近づきになってから、無料で同乗して移動」「西回りではなく、米国経由の東回り、オーストラリア経由の南回りルートを選択」「ロンドン・ツアーを実施しそうなロック・バンドの一員となれる道を模索する」「航空機のパイロットになることを目指す」「単独ヨット航海の新記録に挑戦するという決断を行い、スポンサー探しに奔走する」…など、非常に多くの選択肢が存在します。

現実的には、予算や時間といった制約条件の下で、適切な選択肢を絞り込んでいくことになるわけですが、この「東京からロンドンに向かう」という例を通して認識していただきたいと思ったのは、「目的を達成する手段は、ほとんどの場合、複数存在する」=「望ましい業績を達成する『コンピテンシーあるいはコンピテンシーの組み合わせ』は、複数の種類が存在して当然」≒「『目的』を達成する『手段』は多様であり、事前に明らかになっていない場合も多い」という点です。

※ニューズレター第126号では…科学の分野の書籍である「スピンはめぐる―成熟期の量子力学 新版」にも、「『アクロバットのようなディラックの思考、つぎつぎと問題の鍵を見いだす『パウリの正攻法』、現象論的な類推から本質に辿り着く『ハイゼンベルク一流の類推法』など、さまざまな個性の頭脳が自然の謎と格闘する。」といった表現があるくらいで、真実や問題解決策の探求を行う際には、その人なりのスタイルが表れることが広く知られています。…といった記述をしていました。

さて、「適所適材」で重要な役割を果たす「コンピテンシーについて、4つの切り口から見てきたことによって、あなたはどんなことに氣づかれたでしょうか。

特定の役職に就く人物が必要」な場合、「現在と類似したコンピテンシーを持つ後継者を育成する」場合、「スピーディーな競争力の強化・即戦力を重視して、有能な人財を見つければ社外から自社に招くことも厭わない」場合などには、確かに、コンピテンシーに基づいて精鋭メンバーを選抜する「適所適材」方式は有効だと言えそうです。(ただし、「即戦力」を重視して雇用された人財が、変化の激しい業界に身を置く場合には、「短期間の使い捨て」でその役割を終えてしまうケースがあることも指摘しておこうと思います。また、そうした例を間近で見る機会があった人々の間では、組織への忠誠心は育まれません。)

一方、例えば、高業績を挙げるために有効なコンピテンシーが大きく変動する可能性がある場合、業績が「個人」ではなくチーム/グループ/部署ごとなど「集団」で評価される場合、業績がその役職の個人の行動よりも外的要因によって大きな影響を受ける場合、望ましい成果を上げる方法が複数存在する場合のように、(現場の職人などと異なり、自分以外の人物を通して望ましい成果を挙げることも求められる)「次世代リーダー」を育成する際には、「適所適材」方式よりも、「適材適所」方式の人財育成を好む組織が多くてもおかしくないのではないかと思えてきます。

こういった注意点について充分理解した上で、「適所適材方式の人財育成」を実施するのであれば、各種アセスメントは、「望ましい人財の選抜」に有用だと思われます。しかし、「適材適所方式の人財育成」を実施するのであれば、「何のために、各種アセスメントを用いるのか?」について充分に考慮することが重要ではないでしょうか?

盲目的に、あるいは、人財育成業界のトレンドや、他の組織だからこそうまくいったベスト・プラクティスのようなものを追って、「有能な人財に共通する特質のリスト(コンピテンシー)を作成し、その特質を持つ人を育てようとすることのリスク」に氣づいていただければ幸いです。

 

コンピテンシー獲得能力」が高まれば、
「望ましい人財への成長見込み」が高まる!

前段では、2つの人財育成方針の内、「(A)の『向上』に軸足を置いた『適所適材』方式」について、「コンピテンシー」という切り口から見てきました。

前回配信したニューズレター第133号では、弊社が考える「企業における人財育成」について、次のように紹介していました。「企業における人財育成」とは、「対象となる人財が、経験から何を学び、どのようにしてその学びを効果的に活用するのか」について、「経営戦略や各事業戦略と結びつけて考え、学習に適した場づくり・人間関係づくりを通して取り組んでいくこと」である、と。

本号をここまでお読みくださった方であれば、前号でお伝えしていた上記内容の背景として、私が「(B)の『獲得』に軸足を置いた『適材適所』方式」を意識していたことに氣づかれた方がいらっしゃるかもしれませんね。また、「(B)の『獲得』に軸足を置いた『適材適所』方式」を別の言葉で表現するならば、「経験学習」となるかもしれません。

「経験学習」が有効であることは、「当初の能力評価(コンピテンシー・アセスメント)がどうであれ、人財育成に関する適切な動機・報酬・意義を感じる挑戦的な課題・自由と責任・各種支援を提供するような仕事が与えられた人物が能力を開花させ、目的や目標の達成に至った例」の枚挙に遑(いとま)がないことを通して、みなさん既にご存じだろうと思います。

こういった経験学習を主軸とする人財育成では、個々人のバックグラウンド・自己管理能力・強み・弱み・学習に適したスタイルの違い・他者の関与の仕方・状況変化などに応じて、異なる努力が求められます。これは、冒頭で登場していた「多様で柔軟な個別学習」と同義ですね。そして、「経験学習」を志向する組織では「質問・支援型マネジメント」に関心が高い傾向が見られます。
…2013年2月25日に弊社Facebookページに投稿した記事:「研修」では、「知識」より「知恵」に焦点を当てよ!もご参照ください。

私たちは、経験学習のプロセスを通して、「メタ・コンピテンシー」(Meta-Competency)あるいは「ポータブル・スキル」(Transferable Skill)と呼ばれる、「変化に適応する過程で、新たな能力を自ら学習していく能力や行動特性(他の分野にも適用・応用可能なスキル)」、「普遍的能力」(Universal Capacity)を体得することが可能となります。
…弊社で提供している「フレームワーク質問力®」などは、メタ・コンピテンシーやポータブル・スキルと呼ばれる普遍的能力に相当し、「さまざまな分野におけるコンピテンシーを獲得する能力」(コンピテンシー獲得能力)の一翼を担うものであると見なしています。

では、組織は「経験学習」の実践や「メタ・コンピテンシー」の獲得に、どの程度真剣に取り組んでいるのでしょうか?あなたが所属される組織ではどうでしょうか?組織における人財育成で、OJT(On the Job Training:職場内教育訓練)と言う名で、実は放置状態(…「個人の自主学習に任せる放任状態」あるいは「組織としては、成り行き任せの人財育成」)になっていませんか?OJTに加えて、上質な個別「コーチング」や「メンタリング」を提供しているような組織は、どれくらいあるでしょうか。ほとんどの組織や制度では、「優れた能力を持つ人財を、他の人々と異なったやり方で例外的に扱う仕組み」(→「次世代リーダー育成」の仕組み)を設けているとは言えないのではないでしょうか。

「経験学習」に優れた人や組織は、経験から学習する機会を増やすために、主に次の2つの取り組みを実行していることが知られています。

経験学習の機会を増やす取り組み

(1)自分の学習・成長のために、他者が学習パートナーとしての役割(支援的な役割)を果たしてくれるような関係や場を構築する

(2)自分の態度・言動が関係者に対して与えているさまざまな影響や有効性に関して、積極的にフィードバックを求める

これらは、まさに、個別の「コーチングやメンタリング」ではありませんか!?あなたは、あるいは、あなたの組織では、「優れた能力を持つ人財を、他の人々と異なったやり方で例外的に扱う仕組み」(→「次世代リーダー育成」の仕組み)として、上質な個別「コーチングやメンタリング」を導入していらっしゃるでしょうか?
【注意】コーチングは、その資格授与団体によって定義が異なります。組織への導入の際には、ニューズレター第131号上司によるコーチング?で困っています…。などもご参照の上、貴組織にとって適切なものをお選びください。

あなたは、「事業内容や事業環境の変化に応じて求められる新しい能力を身につける能力現在および未来に必要・有用な能力を学習する能力)である、メタ・コンピテンシー」や「コンピテンシー獲得能力(メタ・コンピテンシー)が高まれば、望ましい人財への成長見込みが高まる」という考え方について、どのようにお考えになり、これからどういった行動を起こすのでしょうか?

 

次世代リーダー育成には、
事業戦略と人財育成戦略の緊密な連携が重要

ここでは、次世代リーダー育成について、弊社の2つの考え方を紹介しようと思います。

1つ目は、リーダーシップ開発や次世代リーダー育成というものは、経営理念・経営戦略・各事業戦略(市場、組織、商品開発、販売…の戦略)などが定まっていないと、「次世代リーダーが何を行い、仕事を通して何を学ぶことが期待されるのか、その学習を促進するためにどんな形で支援を行えばいいのか」わからず、さまざまな取り組みを行っても「労多くして益なし」という結果になってしまうという考えです。
…「転ばぬ先の杖」と思って、経営幹部層・次世代リーダー層を外国に異動させて事業が失敗した場合の、人財の損失・事業の損失などについて試算してみてください。事業戦略と人財育成戦略に一貫性がないままで人事異動を行うリスクの一端を知ることができるのではないでしょうか。

そのため、次世代リーダー育成の取り組みは、(経営理念・経営戦略・各事業戦略などの内、最も具体性の高い議論が可能な)事業戦略の明確化から着手することをお勧めしています。…独立した人財育成部門/部署を持つ企業では、人財育成担当者が経営者や各事業のライン・マネジャーと対等に話ができるように、権限を与えられていたり、対話の場を設けることができるようになっていたりしないと、事業戦略と人財育成戦略を一貫性のあるものにすることが困難となります。可能であれば、人財育成担当者が経営や現場での実務についてある程度知っておくことが望ましいのかもしれませんが、そういった異分野の事柄についての事前知識がなくても、「フレームワーク質問力®」でお伝えしている内容などを身につけていらっしゃる方であれば、異分野の方と対等な議論が可能となります。

あなたが所属されている組織では、「事業戦略と人財育成戦略の緊密な連携」が取れているでしょうか?

2つ目は、人財育成プロセスにおける「研修」と「異動」に関する考え方です。

まずは、「研修」について、Facebookページやニューズレターでお伝えした内容も踏まえて考えていきましょう。

2013年2月25日に弊社Facebookページに投稿した記事:「研修」では、「知識」より「知恵」に焦点を当てよ! では、

(前略)知識は、学習者本人なりの『氣づき』を呼び起こすための(仮の)『手段』でしかありません。知恵は、学習者本人の心身を用いて『体験』し、実践すること、そしてその実践について振り返り、『経験』として昇華し、また実践を繰り返すといったプロセスを通して、身につけていくものだと考えています。(後略)

と書いており、また、ニューズレター第104号では、

ヒトの脳にある『型』を定着させようとすると、その信号処理のパターンを習慣化させることが必要となります。(この場合には、脳内の神経細胞の再組織化にはタンパク質の合成を支えるために必要な遺伝子の発現などを考慮すると、最低2週間くらいに渡って継続的な取り組みが必要となります。)

と書いていました。

こういった考え方を踏襲するなら、「人財が変化・成長するのは、実際の仕事現場」であり、「研修に参加すれば人財が変化・成長すると期待するのは非現実的である」ことがお分かりになると思います。 では、組織が実施する研修は不要なのでしょうか?

「人財を研修に参加させれば変化・成長する」と考えるのとは異なり、上記のような形で改めて、人財育成担当部門/部署が自分たちの役割を考えるのであれば、例えば、「研修」には、「仕事現場での経験を適切に解釈し直したり、他の参加者と多角的な検討を行う過程で内省を進めたりすること」が求められることになるのではないでしょうか。

人財育成の進み方は、直線的でも漸進的でも体系的でもなく、何かのきっかけで急に成長したり、停滞期に入ったり、退行したりするものであって、人それぞれに異なるというのが実状です。そのため、もし組織が本氣で人財育成に取り組むというのであれば、人財育成の取り組みは、景氣や業績の動向次第で最初に予算削減の対象とすべきものではなく、対象者の成長を妨げないよう、継続的なものとなるよう、可能な限りの手を尽くさなければなりません

あなたの組織の研修は、「経営戦略や事業戦略の実現を可能にする人財育成」「経験学習の加速や軌道修正に貢献する継続的な取り組み」になっているでしょうか?

続けて、「異動」について考えていきましょう。

これまでのニューズレターでは、「人財育成の姿勢」は、「変化の創出」や「変化への適応」といった、「不確実な状況への挑戦」や「リスク・失敗の許容」によって促進されるという側面をお伝えしてきています。また、「組織が志向する姿勢」には、「予測可能で持続可能な収益創出システムの構築と、その安全な管理を望む」という、一見「人財育成の姿勢」と相反するような側面があり、一般的な組織の「確実性・安全性・効率性を望む保守的な姿勢」は、しばしば「同一部門・部署内における権限と責任を少しずつ増大させる」という線形思考に基づく人事異動を生みます。しかし、こういった異動は「(停滞・後退・回復・急伸などといったさまざまな段階で織りなされ、決して直線的とは言えない個別の『学習曲線』を描くことが実態の)人財育成の可能性を低減させる」ものであると言えるのではないでしょうか。

もし、OJTと言う名の「放置状態」(「個人の自主学習に任せる放任状態」あるいは「組織としては、成り行き任せの人財育成」)から脱却し、「組織の方向性に沿った形で個人の成長を支援するよう、経験学習の適切な促進」を実施したいと考えるのであれば、組織の人財育成プロセスは、(「適所適材」方式ではなく)「組織・事業・個人などに特有の『課題』に基づいて、『組織の業績目標の達成』と『人財育成上の狙いと効果』の両立を可能にするよう勘案した異動」を志向しなければなりません。

…例:「ウチの研究開発部門には、職人氣質の素晴らしい技術者がいるのだけれど、CS(Customer Satisfaction 顧客満足)部門から上がってくる要求に対してはまったく理解がない。どのような経験を与えたら、彼に想定顧客の立場に配慮した上でモノづくりに取り組むことができるようになるだろうか?」といった議論に基づき、人事異動について考える、など。

あなたが所属される組織では、(例えば、個々の専門分野において10年間変わらず重要なスキルなどというものがほとんど存在せず、求められるコンピテンシーが変化することも珍しくない時代に)どういった人事異動方針を持たれているのでしょうか?それは、「事業戦略と人財育成戦略の緊密な連携」や「メタ・コンピテンシー」(事業内容や事業環境の変化に応じて求められる新しい能力を身につける能力)の獲得にも配慮した人事異動方針となっているでしょうか?

さて、あなたは、今回の内容をお読みになって、「人財の有用性とコンピテンシーの関係」「次世代リーダー育成方針と経験学習の関係」などについて、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか? 

「ムダをさせない」「失敗もさせない」といった「効率至上主義」では、人財が育つわけがありません。「人財が変化・成長するのは、実際の仕事現場」であると認めた上で、経営者が人財育成についてどのようなことを考え、人財育成担当部署や担当者がどのような取り組みによって組織の人財と関わっていくことについて、改めて考えていただく際の参考材料として、何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

P.S.1
「メタ・コンピテンシー」(事業内容や事業環境の変化に応じて求められる新しい能力を身につける能力)の獲得に興味をお持ちになった方へ!

「『状況に対応しつつ学習する能力』が高く、どんな状況にあっても、結局は『納得できるように、物事を主体的に変えていく力』を持った人財の育成」のサポートを実施している弊社で提供している各種サービスの基盤となっているのは、参加者が

コミュニケーションの目的に適った質問を選んで組み立て、自分(たち)が取り組むべき課題について改めて深く理解し、物事をこれまでとは異なる側面から考えることを通して、関係者が無意識に受け入れている制限を明らかにしたり、対話を通して多角的な物の見方をしたりするようになる。従来の延長線上にない解についても探求するようになり、目的達成・問題解決・意思決定・新しい手法の学習などを効果的に行えるようになる。

といった変化・成長を起こすことを支援する「フレームワーク質問力®」の内容です。

興味をお持ちであれば、是非、下記ウェブサイトから詳細をご確認ください♪

•    一般向け公開セミナーへの参加を検討されている方向け情報
•    企業研修のご依頼を検討されている方向け情報


P.S.2
次世代リーダー育成の仕組み:優れた能力を持つ人財を、他の人々と異なったやり方で例外的に扱う仕組み」として、「上質なコーチング」をお探しであれば、是非、下記ウェブサイトから詳細をご確認ください♪
•    合同会社5W1H流 「コーチング学習プログラム」

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