読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

フィードバックの仕方で、こんな間違いしていませんか?(第133号)

follow us in feedly

Send to Kindle

こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

2013年2月26日に弊社Facebookページに投稿した記事:「協力」と「協業/協働」と「調整」?では、「変化促進研究会」(C研)第6期の高野担当回配布資料の公開(PDFファイルのダウンロードが可能になったこと)もお知らせしていました。もうご覧いただけましたでしょうか?

上記記事では、「工業時代」を象徴する「ルーティーン集約型組織」とは別に、「知識基盤経済の時代」を象徴する「ティーミング」(…名詞のTeamと、動詞のTeamingを区別)といった表現も紹介していましたが、3月8日のC研で扱う範囲のテキストには、知識基盤経済時代の仕事の1つの例として、近年の心臓外科の話が登場しています。(切開部分が大きいため、患者の身体への負担が大きく、回復までに長い時間がかかった)従来の心臓手術から、低侵襲心臓手術(Minimally Invasive Cardiac Surgery: 略称MICS)に移行する病院では、手術スタッフの仕事の仕方がどのように変わったのかなどについて詳しく紹介されています。

従来の心臓手術では、執刀医(心臓外科医)が、手術チーム・患者・手術プロセスを完全に統制していることが求められたのですが、MICSでは、同じやり方が通用しなくなったという話が紹介されています。例えば、MICSでは、胸骨が開かれると執刀医はすべての視覚情報には目が行き届かなくなり、さまざまなモニターや画像から得られるデータについて、チーム・メンバーから報告を受けることによって手術の進め方について手引きしてもらうことが必要になるなどといった状況が発生します。従来のやり方では、執刀医は、絶対的な権力者として振る舞っていることが求められたのですが、MICSでは、チーム・メンバーの一員(手術を進める仲間・協力者の1人)として、他のメンバーとの対等なやり取りや協働が求められる場面が増えてきているということです。

弊社Facebookページの2012年11月1日の投稿記事:「グローバル人財」の「信頼性」と「信頼感」では、「コンピューターやロボットや他の人(低賃金労働者)にできること」しかできない人財では、今後「お払い箱」となってしまう可能性が高いといった内容についても書いていました。「世界的に見て物価の高い日本で、今後もそれほど生活水準を落とさずに暮らそう」とか、「世界に飛び出していって活躍する生き方を選ぼう」とか考えるのであれば、やはり、メンバー固定でトップダウンの関係に基づく「指示・命令型マネジメント」だけでなく、メンバーが流動的に変化しうる、ネットワーク社会の関係に基づく「質問・支援型マネジメント」(コーチング型マネジメント、ファシリテーション型マネジメント、自律分散型マネジメントなどとも呼ぶ)の環境での働き方についても知り、それらの使い分け方や組み合わせ方などについて、本氣で考えていくことが求められるのではないでしょうか。

さて今回は、上記のような問題意識も踏まえ、特に「質問・支援型マネジメント」で重視されるコミュニケーションの1つ、「フィードバック」について取り上げ、見ていくことにしましょう。

 

2種類のフィードバック

人財育成分野における各種「アセスメント」(組織が人財を採用・配置・育成するに当たって行われる、その人物の事前適性評価・査定)や「360度フィードバック」(多面評価、360度評価などとも言われ、対象とする人物について、上司、同僚、部下などあらゆる角度から評価すること)、あるいは各種「面談」などでは、例えば、相手に対して、「もっとチーム・プレイヤーとして活躍してもらわないと困るんだよね。」「あなたは他の人に比べて、リスクを冒さない傾向にあります。もっと新しいことにチャレンジしていきましょう。」「仕事への積極性が見受けられませんね。」「あの場面のこの判断はマズイでしょ?」…などと伝えることをフィードバックだと思っていらっしゃる方が結構多いように感じています。

しかし、こういった情報・伝え方では、抽象的過ぎたり、結局次から何をどうすればいいのかわからなかったりして、「人財育成や本人の経験学習を促す」のに有用とは言えません。

そこで、弊社では、合同会社5W1H流 「コーチング学習プログラム」(CLP)などを学ぶ過程で、「フィードバックとコメントを区別」することをお勧めしています。

長くなるので詳細は省きますが、ここでは、「弊社流コーチングにおけるフィードバックとコメントの区別」について、その内容の一部をご紹介します。

冒頭に登場した「C研」などで英語のビジネス書を読んでいると、しばしば、リーダーシップを2種類に分けて記述している書籍に出会うことがあります。

すなわち、「大文字のLで始まるリーダーシップ」(Large-L Leadership)は、組織文化を育むこと・方向設定すること・目標設定することを指し、一方、他者のスキル開発を促したり、効果的なプロセスを発達させたりする「小文字のLで始まるリーダーシップ」(Small-l leadership)は、組織にいるすべての人、特に、顧客体験が生じる最前線の現場で働く人々によって発揮される…などといった区別です。

「リーダーシップ」の区別を真似て、「フィードバック」についても区別しようとすると、次のようにも表現できるのではないでしょうか。

  •  「小文字のfで始まるフィードバック」(Small-f feedback;以下、「Sフィードバック」と略)= 五感情報描写(Sensory-based description)。何らかの評価を含む描写と異なり、直接観察可能な情報や、五感を用いて検証可能な情報、実証可能な"見る-聞く-感じる"といった言語のみに基づく描写。あるいは、その場で起きている(可能な限り)客観的な事実、「鏡」のように、中立的にありのままの状況を目撃して伝える出来事・他者像情報を指す。
  •  「コメント」Comment)= 解釈・評価に基づく描写。意見、判断、先入観や仮定に基づく批判、自分の考えの押しつけ、その場で起きていて欲しい事柄(主観的な願望・理想像)や現状とのギャップ、自分の信念・期待・意図・歴史などといったフレーム(物の見方、切り口)から観た出来事・他者像情報などを指す。
  •  「大文字のFで始まるフィードバック」(Large-F Feedback;以下、「Lフィードバック」と略)=「小文字のfで始まるフィードバック」、「コメント」、「コミュニケーション目的に合った適切な質問」などが組み合わさった情報を指す。

 「フィードバック」と称して、「コメント”のみ”」伝える例:
「もっとチーム・プレイヤーとして活躍してもらわないと困るんだよね。」

 Lフィードバックの例:
「最初に、Yさんについて関係者から上がってきている声にどんなものがあるのか一部の情報をシェアさせていただいた上で、現状確認をさせていただこうと思います。よろしいでしょうか?……Yさんが所属されている研究開発部門からは、技術者として最高の品質を追求しようとするあなたの姿勢について称賛の声が届いています。CS(Customer Satisfaction 顧客満足)部門からは、新製品の開発方針を定める段階で、お客様からの声をほとんど配慮しようとしないのには不満だという声が届いています。こういった声が上がってきていることについて、Yさんご自身の認識との間にズレはないかどうか教えていただければと思います。こういった評価を聞かれてみて、改めてどんなことを考えたり感じたりされましたか?(…Sフィードバック)……なるほど、Yさんはそのような考えをお持ちなのですね。率直な意見を聞かせていただいてありがとうございます。今教えていただいた情報を踏まえつつ、今度は、会社の中期計画や各事業内容に結び付けて人財育成を進めることが求められている私の立場からの見方について伝えさせてくださいね。(…コメント開始時の前置き)今、会社を取り巻く環境は○○のように変化してきていて、会社としてはその変化に対して△△という対応をとること、研究開発部門に所属されるみなさんには、□□といった形でCS部門と緊密な関係を築き、チームとして協働で新製品開発に取り組んでいただくことを期待しています。(…コメント)ここまではご理解いただけましたか?……では、◎◎ということを重視して仕事をしていきたいというYさんの想いを、今お伝えした会社の方針と、どういった形ですり合わせていくことが可能か、現場の状況について私よりも詳しいYさんの考えについて教えてください。(…コミュニケーション目的に合った適切な質問)また、すべて対応可能かどうかは別なのですが、マネジャーとしての私にできることや、人財育成担当部門に支援を依頼したいことがあれば、是非教えてください。可能な限り、検討したいと思っています。(…コメント)……わかりました。是非、関係者と検討したいと思います。それでは今回の面談の内容を整理し、お互いの理解と面談後にとる行動について確認しましょう。……以上です。他に何か私に伝えておきたいことなどありませんか?無いようでしたら、今回の面談はこれで終了です。お時間を割いていただき、ありがとうございました。」

いかがでしょうか?

「フィードバック」と称して「コメントだけ」を伝える場合と、「Sフィードバック」と「コメント」の区別を意識して情報を伝え、内省を促す「Lフィードバック」になっていれば、相手に敬意を払っていることが感じ取ってもらいやすく、相手の心理抵抗や反発を招きにくいため、「人財育成や本人の経験学習」に効果が見込めそうだという違いに氣づいていただけたでしょうか?

元々、「フィードバック」というのは、「ある系の出力(結果)の一部を、入力(原因)側に戻す操作のこと」を指す、工学分野に馴染みの深い言葉・概念です。「人や組織の変化の促進」という切り口からすると、最も効果が望めるフィードバックというのは、上司・同僚・部下・取引先の相手などの信念・価値観・役割・立場などといったフィルターが掛かった上で生じる「解釈や評価」(コメント)などではなく、本人の態度・言動およびそれらから直接影響を受けて生じた結果に関する「混じり氣のない純粋な情報」(Sフィードバック)であると考えられています。

Sフィードバックとコメントを分ける」という方針は、あなたの日常生活でどのように活用できそうでしょうか?

 

変化の必要性・重要性・有効性が理解できるように、フィードバックしていますか?

今回は、「質問・支援型マネジメント」で重視されるコミュニケーションの1つとして、「フィードバック」について取り上げて、弊社なりの考え方をご紹介してきています。

ここまでの話で、「優れたフィードバック」とは、相手を褒めたり、おだてたりすることでも、ダメな箇所を列挙することでも、相手の人となりについてレッテルを貼ることでもなくて、「私たちの経験についての、純粋で中立的な情報」を相手に与えることによって、「人財育成や経験学習」の質を高めるもののことを指しているのだとご理解いただけたでしょうか?

弊社では、「企業における人財育成」とは、「対象となる人財が、経験から何を学び、どのようにしてその学びを効果的に活用するのか」について、「経営戦略や各事業戦略と結びつけて考え、学習に適した場づくり・人間関係づくりを通して取り組んでいくこと」なのではないかと考えています。

そして、経験学習を促進する弊社流コーチングやファシリテーションの中でも取り上げている「フィードバックの与え方・受け取り方」も、「人財育成や経験学習」の質を高めるために非常に重要な内容であると考えています。

頭で理解できても、すぐに身につくとは言えない内容」かもしれませんので、今回の話の最後に、「フィードバックの仕方についてのチェック項目」(A~Hの8個)を挙げておきます。 フィードバックの効果を高めるため、日常生活で是非このチェック・リストをご活用ください♪

A) 普段から相手を理解しようと努め、丁寧な確認を重ねていますか?(…フィードバックを与える動機に疑いを抱かせるような人間関係になっていませんか?)
率直なフィードバックを行うことで、相手を怒らせたり、うつ状態に陥らせてしまったり、会社を辞めてしまったりするのではないかと恐れている人は、「相手との関係性」や「コメントとSフィードバックの使い分け方」について検討されることをお勧めします。

B) フィードバックを与え合うことの利点について、相手が理解できるまで働きかけていますか?(…変化や経験学習の必要性・重要性、変化を起こしたり経験学習を進めたりする上でフィードバックが果たす役割などについて、相手は理解できていますか?)

C) 相手が自分で次の行動について考えられるくらい、歪みがなく具体的な情報ですか?

D) どんな価値判断基準が大切だと考え、相手に何を期待しているのか、伝わる形ですか?

E) そのフィードバックは、業績目標と学習目標のどちらについてのモノですか?

F) そのフィードバックは、相手が受け入れやすい伝え方になっていますか?

G) 変化に向けた様々な取り組みを支援する意図が伝わっていますか?

H) フィードバックが活かせる環境(組織風土、企業文化など)を創り出そうとしていますか?

今回は、「フィードバック」に関わる内容について、弊社なりの考え方をご紹介して参りました。「フィードバックの仕方についてのチェック項目」についても書いておりましたので、あなたが所属されている組織の人財育成を考える上での参考にしていただければと思います。

「弊社流のフィードバック」に興味をお持ちいただけた場合には、より詳しい内容や関連する内容について、豊富な演習を通して学べる、合同会社5W1H流 「コーチング学習プログラム」(CLP)の内容を確認なさってみてください。(例えば、相手から受け取った「コメント」を「フィードバック」に変える方法などもご紹介しています。)

今回ご紹介した「フィードバック」のように、CLPは、コーチとして独立する(スペシャリストになる)予定のある方にとっても、そういった予定がなく日常生活(仕事、家庭など)のコミュニケーションに活かせればと考えていらっしゃる方にとっても、生涯を通じて役立つ内容で構成されています。

つい先日、次期CLP(2013年7月スタート)の開催日程が決まり、参加者の募集を開始したばかりです。次期CLPは、月に2回(土曜日)の開催となります。

【 早期申込み割引き 】は、2013年4月21日(日)までとなっておりますので、ご興味をお持ちの方は、今すぐ、こちらから詳細情報を確認なさってみてください♪

あなたは、今回の内容をお読みになって、「人財育成と経験学習とフィードバック」について、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか? 何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

P.S.

今回のブログ記事で、少しでも「いいね!」と思えた箇所があったようであれば、
応援クリック」をお願いいたします。

お読みくださったあなたの応援が、次の記事を作成する意欲となります!

Send to Kindle

follow us in feedly