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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

「効率至上主義」や「努力に逃げる」のは卒業しませんか?(第122号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

先日開催した「教養醸成の会」(CGG)では、「ガリレオの指」というテキストを扱いました。日常生活を、普段とは違った視点から見直すのに役立つ情報が多かったので、上限がA4×2枚の「学習レポート」に書き切れない内容もありました。そこで今回は、「学習レポート」に書き切れなかった話の1つ(…「コーチングに科学の目を!」という話)をニューズレターで紹介してみようと思います。


事実、科学を支えているふたつの大きな土台は、因果性――ある事象が次の事象に及ぼす影響――とエネルギーだ。因果性は、本質的に、宇宙を動かしつづける一連の整合性を持った指令を意味し、これをわれわれは解きほぐして理解に到達しようとしている。一方エネルギーは、妥当性を厳しく見守る監視者として、因果関係が合理的な活動だけをもたらすように仕向けている。 [ 出典:「ガリレオの指」]


この部分では、科学の土台として、「因果性」と「エネルギー」が出てきています。エネルギーに関する話も、組織開発やモチベーションに絡めて解釈すると面白そうなのですが、(長くなってしまいそうなので)今回は、「システム思考」でも重要視される「因果性」「因果関係」の切り口に基づく私の考えについて、紹介してみようと思います。

 

「事象」や「環境」との戦いを続けていませんか?

上記引用箇所に触れて、私が連想したのは、「因果関係」(原因→結果の関係)という切り口から見た場合に、「問題症状」と「本質的問題」(問題構造、根本原因、フレームなど問題症状を生み出す元となっているもの)の関係が、「外的世界」と「内的世界」の関係に対応している例が多いのではないかということ(図表1の内容)でした。(※1)

※1
•    外的世界=事象・環境・言動・態度・結果など;皮膚の外側あるいは脳の外側の世界;「客観的」[ 関係者の間で最大公約数的な主観的 ] 認識

•    内的世界言動・態度・結果などの背景にある「思考や感情」;皮膚の内側あるいは脳の内側の世界;自分自身の「主観的」な解釈・評価・推論・信念・価値観などに基づいて再構成された認識

原因:内的世界、本質的問題
       ↓
結果:外的世界、問題症状

例1)
原因:研修を通して自律型人材育成を目指す→結果:自己防衛する社員が増える (この例に関する詳細は、ニューズレター第99号内のダブル・バインドの欄をご参照ください。)

例2)
原因:必要なことだけを確実に遂行することが大切(効率至上主義)→結果:プロセスの進化やシステムのイノベーションが生まれず、市場で競争優位に立てない

図表1:因果関係で見る、内的世界と外的世界

科学の分野でも「単純化」「理想化」「概念化」「モデル化」「抽象化」などと称して、物事の「本質」を見極めようとする際に本質を覆い隠す阻害因子などを無視すること、つまり、目的に応じて「幹と枝葉」の内の枝葉に相当する部分を切り捨てて表現する場合があります。図表1でも、「新たな外的世界に触れることで、内的世界にそれまでとは異なる影響を及ぼす」ことがあることを承知しつつ、あえて切り捨てた表現を用いていることをご理解いただければ幸いです。

多くの人は、「外的世界」を望ましいものに変えようとすることに義務感を覚えていたり、積極的だったりするにもかかわらず、「内的世界」をより望ましいものに変えようとすること(慣れ親しんだ思考パターンをより望ましいものに変えようと取り組むこと→弊社提供サービスでいう「コーチング」など)には、概して消極的であるように感じています。あなたご自身やあなたの周囲のみなさんは、どうでしょうか?

「目的達成にとって適切とは言えない考え方」のような「原因」は、事象や環境などといった「結果」をより望ましいものに変えようとする私たちの取り組みを執拗に妨害し続けます。すなわち、ごく少数の「原因」がさまざまな場面で異なる「問題症状」を引き起こし、私たちは、まるで「同時多発テロ」処理班のように、次から次に発生する緊急事態への対応を求められるのです。しかし、本質的問題解決を望むのであれば、表面化した症状に対する対症療法を繰り返すのではなく、望ましくない結果(外的世界)を生み出す考え方(内的世界)も丁寧に扱い、新たな問題症状を引き起こさないようにすることが大切なのではないでしょうか?

つまり、私が、図表1を通してみなさんに問いたいのは、自分(たち)自身の内側(内的世界)で、問題症状を生み出す「原因」を生み出してそれを育てながら、仕事の業績や人間関係などといった「結果」を望ましいものに変えようと頑張り続けていませんか?ということです。表現を変えるなら、「努力に逃げて」いませんか?(従来と同じ考え方に基づく行動を、今まで以上に熱心にやることによって、従来と異なる結果を得ようとしていませんか?一生懸命に取り組むことで、自己満足していませんか?)ということです。
…先日、私が実施したコーチング・セッションでは、「外に出ようとして、窓ガラスに頭をぶつけ続けるハエ」の例も挙げていました。

「因果関係」という切り口から「問題解決」のアプローチを見直すと、私自身も反省すべきことが多々あります。みなさんは、こういった視点について、どのようにお考えでしょうか?

 

問題発見における「観察力」と問題設定における「洞察力」

前出のテキストでは、


蒸氣機関の本質すなわち抽象的な核心に目を向け、実態の詳細――蒸氣、水の漏れる管、オイルやグリースの滴、騒々しい音、リベットなど――を無視すれば、あらゆる事象に当てはまる概念を見つけられるのだ。


といった話に続けて、


詩人の目を通して見れば、事象の表面は見える。~ 一方、科学者の目を通して見れば、表面を突き抜けて中の魂が覗ける。


という表現や、ハンガリーの生化学者アルベルト・セント=ジョルジ(1893~1986)の言葉、


科学研究では、誰もが見たものを見ながら、誰も考えなかったことを考えるのだ


も紹介されていました。

科学研究におけるアルベルト・セント=ジョルジの言葉は、「クライアントの現状認識を確認しながら、クライアント自身や直接の関係者では考えもしなかった視点から質問を投げかける」ことが重要という、弊社流コーチング学習プログラムの考え方に対応しているように思え、嬉しくなりました!

そして、前段の内容と併せて考えると、問題解決に向けて「原因」を適切に扱うには、「外的世界を観察して問題症状の発見に努めると共に、関係者の内的世界について(『フレームワーク質問力®』を発揮して)確認を重ね、内省を促進する過程で洞察力を発揮し、適切に問題設定を行うこと」が大切だと、私は解釈しました。(※2)

※2 
問題発見における「観察力」と問題設定における「洞察力」の図解:「欲求の種類」と「サービス対象」の概観図をご参照ください。

これは、まさに弊社でお伝えしている(慣れ親しんだ思考パターンをより望ましいものに変えようと取り組む)「コーチング」のプロセスの一部です!(※3、※4)
…例えば、同じ「健康」という言葉を用いていても、ある人にとっての健康は「健康診断で異常値が出ないこと」を意味し、別の人にとっては「氣力が充実していて、同世代の人間よりもずっと行動量が多いこと」を意味する場合があるように、同じ「コーチング」という言葉を用いていても、コーチング学習プログラムを提供している団体等によって大きく定義が異なる場合がありますのでご注意ください。

※3 合同会社5W1Hの考える「コーチング」の定義
コーチングとは、クライアント(コーチング利用者;個人あるいは組織)の個別具体的な目標の達成に向けた変化を促進する技芸/プロセスや、コーチ(コーチング提供者)がクライアントと築く関係性・協働して進めるプロセスを指します。また、クライアントが過去に学び、未来を描き、現在を生き切るために、コーチとの対話を通して、学習・実践・(思考・行動のクセ、自己認識、世界観などの)変容を促進する手段であるとも言えます。

※4 ティーチングに有効なアイディア、コーチングに有効なアイディア
前出テキストでは、フランシス・ベーコンが、アイディアを「フルクティフェラ」(fructifera:実りをもたらすもの)と「ルシフェラ」(lucifera:光明をもたらすもの)とに分類していたという話も出ていました。
これを踏まえて私は、手取り足取りの指導や訓練が必要な人々には、主に「ティーチング」や「トレーニング」などが有効なのであって、そういった段階にいる彼らにとって有益なのは、フルクティフェラ(実りをもたらすもの)を得ることではないかと考えました。一方、ルシフェラ(光明をもたらすもの)が得られれば、自分(たち)なりに考え、(多少、心理抵抗をなくすお手伝いや、取り組みを継続するお手伝いさえすれば)主体的に活動できる段階の人々にとっては、主に「コーチング」が有効なのだと考えています。

 

「効率優先」と対立しつつ補完するのは「学習優先」?

先日、研修先のある企業の方とお会いしたときに、「真面目な社員ほど、効率(無駄がないこと)・結果が重要だと考え、確実な情報でない限り、上司に報告や相談をするのを避ける傾向にある。そういった雰囲氣の中では、誰も、本音はもちろん、質問も口にしない。」という話を聞きました。「アメとムチ」を使い分けることで、社員を自分の思った通りに動かそうとする行動主義的アプローチでは、たとえ短期的な成果を上げても、多くの職場に「恐怖に基づく人間関係」が根付き、この企業のような状況を招いてしまうようです。まさに、図表1でご紹介した例2のような状況ですね。

上記のような企業がそれほど珍しくない一方で、「知識基盤社会」(knowledge-based society:知識が社会・経済の発展を駆動する基本的な要素となる社会;私としては、知識よりも「知恵」とか「知性」とかが優位な社会に移行しつつあるような氣もしています)といった言葉が市民権を得始め、複数の領域の専門家や部署や企業が、相互に依存しながらプロジェクトごとに協調して働くことが当たり前となってきている今、仕事に携わる関係者の活動内容を決めるのは(上司というよりも)専門的知識や技量を持った現場の人間のスピーディな判断である場面(緊急医療が求められるような現場や、時差が大きく事後報告にならざるを得ない地域での交渉場面など)も増えてきています。

高度経済成長期には、最大公約数の市場ニーズに応える標準的な製品(単品のモノ)を大量生産することが求められ、効率と生産性を高めるアプローチが有効だったのですが、知識基盤社会に移行した地域では、モノよりコト(経験、総合的なサービスなど)、プロセスの進化やシステムのイノベーションが求められ、組織の競争優位性の源泉として「学習する能力」(柔軟な適応能力などと表現されることもある)が指摘されるようになってきています。つまり、「プロセスの確実な実行よりも、プロセスを進化させ続けることを優先すること」「目先の効率は犠牲にしても、対象とする事柄の本質を把握し、卓越した解を見い出すこと」の重要性が増大しています。

ここまでお読みいただくと、「学習する能力」(柔軟な適応能力)の中核を成すのが、すでに述べていた「外的世界を観察して問題症状の発見に努めると共に、関係者の内的世界について(『フレームワーク質問力®』を発揮して)確認を重ね、内省を促進する過程で洞察力を発揮し、適切に問題設定を行うこと」であることがご理解いただけるのではないでしょうか。

最近新しくなった弊社ウェブサイトの「会社案内」欄には、「『状況に対応しつつ学習する能力』が高く、どんな状況にあっても、結局は『納得できるように、物事を主体的に変えていく力』を持った人財の育成」といった文言も盛り込んでいます。(弊社では、「状況に対応しつつ学習する能力」獲得に向けた取り組みは、個人や組織が新しいやり方で働くよう移行する過渡期において一時的に業績が下がる可能性が高いことを承知した上で、将来の成果を通して回収されるべき先行投資コストではないかと考えています。)また、法人向け研修・個人向けセミナーのページでは、「『知識の注入』学習から『経験からの抽出』学習へ」の欄で、「合同会社5W1Hの各種『研修』は、受講者への『知識の詰め込み』よりも、受講者の『学習能力の向上』(自ら学んで成長し続ける方法論の、体験的獲得)に貢献できることを重視して実施しています。」などと書かせていただいています。またお時間のあるときにお読みいただければ幸いです。

 

さて今回は、「教養醸成の会」(CGG)で用いたテキストの内容をきっかけに、「因果関係」(原因:内的世界、本質的問題→結果:外的世界、問題症状)という切り口から、「科学」のアプローチと、「『問題症状の裏返し』は『本質的な解決策』ではない」などとお伝えしてきている「弊社流コーチング」のアプローチの類似性について紹介してまいりました。その後、知識基盤社会への移行が始まっている現在、「プロセスを進化させ続けること」「本質を把握し、卓越した解を見い出すこと」を可能にする「学習する能力」(柔軟な適応能力)獲得への関心が高まっていることをお伝えしました。弊社では、これらのニーズにお応えするサービスとして、「弊社流コーチング」や、状況に対応しつつ学習する能力の根幹を成す「フレームワーク質問力®」(法人向け個人向け)などを用意しておりますので、ご興味をお持ちでしたら、ウェブサイトで詳細をご覧ください。

ちなみに、次期の合同会社5W1H流「コーチング学習プログラム」は、9月8日(土)の開始を予定しております。周囲のみんなもそうやっているからといった理由で従来のやり方を鵜呑みにするのをやめ、偏見のない健全な常識の目で(子供のような素朴な視点で)物事の因果関係などを見つめ直し、「この危機を機会に変えるにはどういったやり方があるだろう?」「ここには見過ごされている大きな可能性はないだろうか?」などと考える思考パターンを獲得したい方、状況に対応しつつ学習する能力の根幹を成す「フレームワーク質問力®」を基盤とした弊社オリジナルのコーチングを身につけたいという方のご参加をお待ちしております!

 

あなたは、これからの世の中における働き方、組織の在り方、求められる能力などについて、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか? 何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

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