人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

プロジェクト・オキシジェン& 40代でマネジメント能力ないと解雇予備軍(第140号)

follow us in feedly

Send to Kindle

こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

2013年6月12日にFacebookページに投稿した記事「The Human-Computer Connection」では、「人財マネジメント」分野における「機械の知性とヒトの知性のカップリングによって生産性を上げていこう」といった動きについてご紹介していました。 このところ、「ワーク・シフト」や「機械との競争」といった書籍などがきっかけとなってか、「これからの働き方」について、高い関心を持った人が多くなってきているように感じています。 

近年の大きな流れとしては、社会保障制度の整備などを通じて国民の生活の安定を図ろうとする福祉国家(他力本願の働き方が可能)として知られるスウェーデンが自由主義的な施策を打ち出し、国家の機能を安全保障や治安維持などの最小限にとどめようとする自由主義国家(自力本願の働き方が主流)として知られる米国が福祉重視の施策を打ち出すなど、世界的には、どこも「他力本願と自力本願の折衷案的な働き方」を目指す動きが顕在化しているという見方があります。

また、年金システムなどへの不安もあって、国家にすべてを任せておくのは危険だし、株価の乱高下といった話もあって短期の投資も危険だし、結局、「自分(たち)が創出する価値を他者から求められ続ける存在でいるという選択肢(生涯現役の道)も残しておきたい」と考える人たちが増えてきているようにも感じています。

今回は、みなさまが「これからの働き方」について考える際の1つの参考材料になればと、現在の私見をご紹介していこうと思います。ご興味をお持ちの方は、どうぞ読み進めてください♪

 

「給与に見合うくらいの働き」とは?
それを可能にする働き方とは?

コーチングを実施すると、クライアントから下記のような話を耳にするようになってきています。

  • 「会社への貢献度の低い層」に続き、「40代で管理職に就いていない人(マネジメントができず、人件費が多くかかる人)」なども解雇・大幅減給予備軍となっている。
  • 組織としては、いくら真面目で長時間労働に耐える人であっても、「作業」しかできない人は正社員としては不要で、「仕事」ができる人にしか高給を払いたくないというのが本音だ。
  • 会社から自分に支払われる給与の2倍の経済的価値を創出しても、会社に対する自分の貢献度はゼロ(…極端に単純化した表現のようですが、クライアントが伝えたかったイメージとしては、会社への貢献が「2」-[ 会社のリソースの使用・消費・維持費あるいは法定福利費などで「1」+自分への給与支払いで「1」] ≒「0」ということ)であって、ある程度の仕事経験を積んだ者は、給与の3倍程度の経済的価値を創出していなければ、解雇・大幅減給予備軍リストに入っても仕方がない。

このようにしてみてくると、どうやら「給与に見合うくらいの働き」とは、「給与の3倍程度以上の経済的価値に換算できる何らかの価値創出に貢献すること」と解釈できそうです。 あなたは、直接的にか間接的にかわかりませんが、何らかの形で、給与の3倍以上の価値を創出し、所属組織・組織内外の関係者に貢献できているでしょうか?

まぁ、「給与の3倍以上の価値を生み出す」と言っても、全員が同じだけの価値を均等に生み出す必要はなくて、「平均で見たときに」3倍以上の価値を創出できていればいいのかもしれませんが、それでも今後、ビジネスのグローバル化が進んでいくにつれて、「もし現在、『組織への貢献の程度 ≒ 経済的価値に換算して給与程度』であれば、会社からは『解雇・大幅減給予備軍』に見られても仕方がない」という認識が当たり前のものになっていきそうだと思っておいた方がいいのかもしれません。

このように考えると、一般的には、「周囲から孤立して作業」しているだけではコンスタントに給与の3倍以上の価値を生み出し続けるのは困難であり、「関係者との協働で相乗効果をもたらす仕事」の仕方ができないとマズイのではないでしょうか?(…仮に、社会的にインパクトのある、ものすごい何かを生み出せたとしても、その効果が、数十年続くかと問われると、即座にYESと答えるのは難しいかもしれません。また、過去の栄光に囚われず、単一個人で、ヒットを生み出し続けるのは、違った種類の困難を乗り越えなくてはいけないのかもしれません。)

「40代で管理職に就いていない人(マネジメントができず、人件費が多くかかる人)≒ 解雇・大幅減給予備軍」という表現は、裏を返せば、「概ね40代以降の人財には、適切なコミュニケーションで他者・チームに働きかけ、個々人がバラバラにパフォーマンスを発揮する以上の価値の創出(相乗効果の発揮)を通して、組織に貢献できる存在であることを期待している」(…これができないようであれば、解雇・大幅減給の対象としたい)というメッセージなのではないでしょうか? (最近のニュースでは、「日本の成長戦略と新しい雇用の在り方」を考える上で、大企業の経営者の多くは「解雇規制緩和」を望む声が強いと報道されていたようですね。)

いかがでしょう? このように、「仕事経験を積むにつれて、『自分一人だけで働いていてもらっては困る』という思いが強まる」「管理職には、高いヒューマン・スキルあるいはコミュニケーション能力の発揮を期待している」のが、組織側の一般的な考え方ではないでしょうか? 

組織には組織のニーズ(顕在欲求)とウォンツ(潜在欲求)があり、個人には個人のニーズとウォンツがあるので、その両方を納得できる形に調和させていく道を探すのが、両者にとってWin-Winの解決策なのではないでしょうか?

 

Project Oxygenで見つかった、望ましい管理職の行動様式

2013年2月13日の『WIRED』誌に掲載された、MADHUMITA VENKATARAMANANさんの記事「Work smarter: Create a managerial algorithm」(より賢く働く:データに基づき、優れた管理職を育成する(…高野意訳))では、Google社の人財育成担当チームが、管理職の質を高めるために、「望ましい管理職を構成する要素を特定し、より良い管理職になるための方法をデータに基づいて示す取り組み『Project Oxygen(プロジェクト・オキシジェン)』」を始め、Google社における素晴らしい管理職の8つの行動様式が見つけたことが紹介されています。

1. 優れたコーチであること
2. 細かなところまで従業員に口出ししないこと
3. 従業員の幸福に関心があると態度で示すこと
4. 生産的で結果志向であること
5. 自分のチームの話に耳を傾けること
6. 従業員のキャリア開発を支援すること
7. 明確なヴィジョンを持っていること
8. 何らかの重要な専門的スキルを身につけていること
より詳細な情報:「Google's Rules」,「The New York Times」2011年3月13日記事(原出典:Google社)

この記事の中でも特筆すべきだと思うのは、「Google社の管理職として最もふさわしいのは、チームのメンバーと1対1で話す時間を確保し、彼らの生活/人生/大切なものについて尋ねる人物だ」と判明したことでした。上述の8つの項目の内、No.1, 3, 5, 6などと関係が深い内容となっていますね。(ちなみに、従業員たちが、望ましい管理職であるために最も重要度が低いと見なしていた項目は、「管理職の専門的な知識や技術」だったそうです。)

前段でご紹介していた「管理職には、高いヒューマン・スキルあるいはコミュニケーション能力の発揮が期待されている」と通じるところがあるように思われませんか?

「Work smarter: Create a managerial algorithm」を読み解く上での注意

上記の記事では(問題の再設定や視点の変更、自己認識の変更などに関する記述がないため)、Google社でいう「コーチング」は、さまざまな種類があるコーチングの中でも、「何かの技能を身につけること、技量を高めることに主眼を置いたパフォーマンス・コーチング」を指しているらしいことが推察できます。 また、同じ「コーチング」という言葉を用いていても、「コーチング・コース = できない人向けの個別指導・補習」(…できれば避けたいモノ)といった取り扱い方をする組織もあれば、「コーチング・コース = 経営幹部候補・次世代リーダー向けに選抜された者向けの『ご褒美』」(…進んで受けたり学んだりしたいモノ)と位置づける組織があるといった違いもあるので、コーチングについての話題では、相手との間で定義を確認することが大切な場合があることに留意しましょう。

 

「質問・支援型マネジメント」を可能にする
コミュニケーション・スタイル

ニューズレター第133号フィードバックの仕方で、こんな間違いしていませんか? では、

メンバー固定でトップダウンの関係に基づく「指示・命令型マネジメント」だけでなく、メンバーが流動的に変化しうる、ネットワーク社会の関係に基づく「質問・支援型マネジメント」(コーチング型マネジメント、ファシリテーション型マネジメント、自律分散型マネジメントなどとも呼ぶ)の環境での働き方についても知り、それらの使い分け方や組み合わせ方などについて、本氣で考えていくことが求められるのではないでしょうか。

といった考えもご紹介していました。

「Project Oxygen」で明らかになった、望ましい管理職の8つの行動様式は、「細かなところまで従業員に口出ししない」など、まさに「質問・支援型マネジメント」として知られているコミュニケーション・スタイルですね。

質問・支援型マネジメントに関連の深いニューズレター記事:
•    第117号 専門分野「以外」で問題が生じる; 日本人は「相互啓発」が弱い
•    第121号 「組織の問題」=「コミュニケーション不全」!?

あなたは現状、「質問・支援型マネジメント」として知られているコミュニケーション・スタイルを身につけていらっしゃるでしょうか? 現状、周囲の方々の反応はどうでしょうか? もしあなたが、「周囲から孤立して作業」するのではなく「関係者との協働で相乗効果をもたらす仕事」の割合を増やしていきたいと考えるようであれば、現時点の年齢が20代であれ、50代であれ、氣がついた今から、有益なコミュニケーション・スタイルを身につける工夫をされていくことが大切なのではないでしょうか?

「自分(たち)が創出する価値を他者から求められ続ける存在でいるという選択肢(生涯現役的な道)を残しておく」ためにも、「給与の3倍以上の価値を創出し、所属組織・組織内外の関係者に貢献」するためにも、「質問・支援型マネジメントを可能にするコミュニケーション・スタイル」を身につけるというのは、あなたにとって、どの程度の意味・価値があることでしょうか?

弊社でお手伝いできることとして、「質問・支援型マネジメントを可能にするコミュニケーション・スタイル」を身につけるためのプログラムをいくつかご用意しています。 そして、その内の1つに「合同会社5W1H流コーチング学習プログラム」(CLP) があります。

合同会社5W1H流コーチング学習プログラム」(CLP)とは?

CLPは、「問題の再設定」「システム思考」「ダブル・ループ学習」を重視し、「コーチングに適した心理学」「フレームワーク質問力®」を基盤とする内容に基づいて、コーチングで扱う対象の「概念化」や「図解」を積極的に行うという、合同会社5W1H独自のコーチング・アプローチを学習するプログラムです。

本プログラムは、経営・組織開発・人財育成・コミュニケーション・リーダーシップ・マネジメント・自己開発・人生設計などの分野に適用することで、目的達成・問題解決・意思決定・新たなヴィジョンの構築・ヴィジョン実現に向けた様々な取り組みに有用な、コーチングのマインドセットとスキルに関する知識習得および実践演習(合計:84時間)で構成されています。

6月9日に修了したばかりのCLP「参加者の声」を一部公開し始めましたので、興味をお持ちの方は、是非、彼らの本音を確認なさってみてください!
「CLP参加者の声」はこちらからご確認いただけます

私自身、「CLP参加者のみなさんからこう見られていたのか!?」「彼らは、こういったところに意義を感じ取ってくださっていたのか!」などと、改めて氣づかせていただいたことがたくさん盛り込まれた情報です。CLPの雰囲氣も、私が伝えるより、彼らが伝えてくださっている文章でご確認いただくのが良いかと思います。
「CLP参加者の声」はこちらからご確認いただけます

是非、目を通してお楽しみください♪

補足:「グローバル化・標準化、舶来モノは常に良いものだ」と盲目的に信じない!

「質問・支援型マネジメントを可能にするコミュニケーション・スタイル」を身につけるための1つの手段として、コーチングを学ぼうとされる方も多いのではないかと思います。これまでも「コーチング」という同じ言葉を用いているにも関わらず、その定義がバラバラなために、「コーチング学習者どうしの話がかみ合わない」という場面に遭遇したことが何度もあるので、ここでは、「CLP参加者の声」を補足する情報を少しだけご紹介しておこうと思います。

「CLP参加者の声」に登場していた「製造業 会社役員H.F.さん」から、「例えば、トヨタさんはISO9001(品質マネジメントシステム)よりも厳格な『自社オリジナルの製品規格』を用いて、自動車製造を行っている。ISOやJISというのは、元々、ある製品の品質の『最低基準』が満たせるように、広く適用できるようにという主旨で定められているため、『緩い基準』となってしまうが、『目指す自動車を製造しよう!』と考える会社は、より『厳しい基準』を設けて自助努力を続けている。」といった話を紹介してくださっていました。

コーチング業界でも、同様の話が適用可能なように感じています。 例えば、ICF (The International Coach Federation:国際コーチ連盟) 系のコーチングの資格基準などが、近々日本語に翻訳されて普及し始めるといった話があります。 世界のコーチング・レベルから見ると「Baby level」とも評される日本のコーチング業界に、製造業で言うところのISOのような基準が紹介されて普及することは、とても喜ばしいことだと本当に思います。 また一方で、「ICFの基準は低い」ので、これまでお伝えしてきている弊社の姿勢にご賛同いただけるような個人・組織のニーズ・ウォンツを満たすには、あまり役に立たなさそうだとも思っています。(書籍「メタ・コーチング」のまえがきでは、「企業研修関係者の間では『コーチング・アレルギー』といった言葉が登場している」などといったことにも触れていました。) 以前、私が初代日本統轄ディレクターを務めさせていただいたMCF (Meta-Coach Foundation:メタ・コーチ財団)では、ICFの基準よりも厳しいMCF独自の基準を設けています。(この辺りの最新情報をお求めの方は、MCFのウェブサイトから問い合わせてみてください。)そして、メタ・コーチング®のコンテンツも踏まえた上で、よりコーチング実践者・学習者にとって有益な形にまとめたのが、CLPというプログラムなのです。

トヨタさんの例を挙げるまでもなく、何でもかんでも「グローバル化・標準化、舶来ものが良いものだ」などと盲目的に信じるのは危険だと思っています。世界がボーダーレスになるということは、「良いものも、劣ったものも、何でも入ってくるし、何でも出ていく」ということを指しています。「世界標準 ≒ 最低基準」くらいに理解して、自分(たち)にとって、本当に適切なものはどれかを選ぶのが大切なのではないでしょうか?

こういった観点をお持ちの上で、自分(たち)に合ったコンテンツ・サービス選びのために、「CLP参加者の声」をご利用いただければ幸いです。

さて今回は、あなたが「これからの働き方」について考える際の1つの参考材料になればということで、「自分(たち)が創出する価値を他者から求められ続ける存在でいるという選択肢(生涯現役的な道)を残しておく」ためにも、「給与の3倍以上の価値を創出し、所属組織・組織内外の関係者に貢献」するためにも、「質問・支援型マネジメントを可能にするコミュニケーション・スタイル」を身につけるという選択肢をお示ししてきました。 あなたはどんな印象をお持ちになり、何をお考えになるでしょうか? あなたの「QOLの向上」にとって、何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

今回のブログ記事で、少しでも「いいね!」と思えた箇所があったようであれば、
応援クリック」をお願いいたします。

お読みくださったあなたの応援が、次の記事を作成する意欲となります!

Send to Kindle

follow us in feedly