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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

構えの無い構え:「相手にだけ」変わることを求めていませんか?(第188号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。 

2016年5月16日公開記事 「インクルージョンが能動的でなければ、ダイバーシティは逆効果!?」
-『管理的なダイバーシティ』と『戦略的なダイバーシティ
-『受動的なインクルージョン』と『能動的なインクルージョン
では、下記のような主張も展開しておりました。

  • ダイバーシティ(多様性)は『イノベーション(創新普及)の必要条件』として有効なのであって、ダイバーシティを活かすには、事業の目的に適うように『境界を越えて』人々を束ねたり、ビジネス環境の変化に適応できるように人々を導いたりするような、『持続的な働きかけ』が重要
  • 過剰な『仲間意識』、すなわち『内と外』の境界線を明確に持つと、『仲間はずれ』や『敵』を生む
  • 「現在の多数意見」ではなく『次代の多数意見を生む、現在の少数意見』が大事にされなくてはいけない

「少子超高齢社会」「組織内世代間格差の拡大」「ビジネスのグローバル化」などといった背景の下、ダイバーシティインクルージョンへの関心が高まってきているため、経営陣や管理職の方々が人財育成や組織開発に取り組んでいくにも、従来の画一的な手法だけでは対応が困難になってきています。 

では、具体的に、どういった事柄への配慮が求められるようになってきているのでしょうか?

 

上司だけで部下を育てていては、視野狭窄に陥ってしまう

一般的には、「コミュニケーション形態の好み」として、シニア層から若年層にかけて、「手紙 > 電話 > 電子メール > メッセージ・アプリ > ヴィジュアル・コミュニケーション」の順で好まれると言われています。 こういったものが、前段で表現していた「組織内世代間格差の拡大」が表面化した例です。

このように、「ダイバーシティあるいは価値観の多様化といった話は、日本生まれ日本育ちの人々の間にも生じている身近な事柄なのだ」と捉えていないと、画一的な施策や働きかけ方だけでは、「今いる社員を大切にすることが求められる状況」の人財育成・組織開発の推進に支障をきたします。

例えば、中高年の上司が「利益を高めるには、相見積もりで安い業者を選べ!」「年収を増やしたければ、頑張って働け!」という考え方で働きかけても、ミレニアル世代の多くは、「社会問題の解決に貢献している企業から購入したい」「意義を感じられない仕事で高給をもらうより、好きな仕事をしながら平均的な給与で暮らす方が良い」と考える傾向にあるため、中高年の上司が望むような手応えは得られません。

また、『技術の進展や取引先の変化などに伴い、上司が部下を教えることができない状況が増加』するなど、『ベテラン世代が、若い世代や転職組に学ぶという逆方向のメンタリング』(リバース・メンタリング)が求められる場面も増えてきています。

『絶対解』がある場合には、『特定のモノの見方を関係者に浸透させる』のが望ましいですが、『多様な価値観の関係者が集う現場で、正解がないものについて考え、解決策を提示することが求められる』状況に対応できるよう、『納得解』を共に生み出せる人財・組織になっていくには、『協創対話』(※1)を奨励し、『学び合う場』を育んでいくことが重要です。

「組織一丸となって…」と言う場合、昔の日本では、「あらゆる面で、構成員を同質化させて…」を意味しましたが、ビジネスがグローバル化している現代では、「価値観や考え方の異なる構成員のそれぞれの強みを活かし、目的達成に向けた協働が可能となるよう、彼らを束ねて…」を意味するようになっていることに氣づかなければなりません。

「上司だけで部下を育てていては、視野狭窄に陥りやすい」「上司は、学び合う場を創り出し、それを維持していく役割がある」「かつてないほど、コミュニケーションのと量が求められる時代」という認識、あなたの所属される組織では、当たり前になっているでしょうか?

※1 協創対話(Co-Creative Dialogue)

『視点変更』を促す質問を活用した、『真実・解決策・新たな可能性を探求するための、関係者との粘り強い対話』のことで、『独創×競創×協創』(※2)を促進し、『横断的・統合的な連携』を実現するのに役立ちます。  協創対話の内容については、『フレームワーク質問力®』を基盤とする『合同会社5W1H流コーチング学習プログラム』でお伝えしています。

※2 独創×競創×協創

『独創』=常識と思われていることに疑問を持ったり、新たな着想を得たりして、さまざまな検証を重ねつつ、独自の考えを理論や試作品といった形のあるものにしていくこと

『競創』=ライバルと刺激を与え合いながら、互いの能力を引き出して開花させ、共に成長していくこと

『協創』=新奇な価値を創出するために、関係者それぞれが戦略的な意図を持ち、独自の強みを活かして、協働して挑戦的な課題に取り組むこと

 

「部下は、上司の言うことを受け入れるのが当たり前」ですか?

前段の話についての理解を深めていただくため、少し別の角度から補足しておこうと思います。 例えば、「私は正しく、相手が間違っている」という表現について、2通りの視点から考えてみていただきたいと思います。

ひとつ目は、「【この状況】では、私の【意見】が正しく、相手の【意見】が間違っている」という表現ではなく、「【私】は正しく、【相手】が間違っている」という表現を選んでいることについてどう思うか?という視点です。 ここで氣づいていただきたいのは、採用している『暗黙の前提』(この状況・条件では、○○だけれども、状況・条件が違っていれば△△だ)と、『人物と意見の混同』(特定の意見や言動、態度などを扱うのではなく、個人そのものを非難している)の2点です。

もうひとつの視点は、「どうやって正しい/間違っているということがわかるのか?」という『判断基準』は『共有』できているか?という視点です。 ここでも『暗黙の前提』(この状況・条件では、○○だけれども、状況・条件が違っていれば△△だ)に氣づくことが大切ですし、また、『自己刷新の姿勢』(自分が常に正しいとは限らないので、相手から学んだり、相手とのやり取りを通して新たな考え方を生み出したりするのが大切だという姿勢)が非常に重要です。(※3)

『絶対解』がある場合には、それを『浸透』させるのが有効、すなわち、『自分は変わらず、相手だけ変わる(成長する)』ことが望ましいかもしれませんが、『納得解』が求められる場合には、『相手のみならず、自分も変化する(成長する)』ことが求められるということです。

いつも、いつも、「自分は変わらないままで、相手にだけ『私と同じように考えて行動するようになれ!』と、相手にだけ変わることを求めて」いませんか? …変化が激しい時代、あるいは、定年後も同じ組織で働くことを望む場合には、「昨日までの部下が、今日から上司となる」ことだってあるのですよ!

※3 自己変容性知性
自分自身の内的基準を客観的に見ることができ、状況が変わっても機能する完全なシステムがないことを理解し、矛盾や対立する考え方があることを認めたうえで、必要に応じて内的基準に変更を加えるなどしつつ、健全な相互依存を実現する中で自我を形成することのできる知性のこと。 詳細および『環境適応性知性』『自己創始性知性』については、ニューズレター第174号「続・『何を管理するのが管理職?』~戦略・戦術と知性の種類編~」をご参照ください。

 

『絶対解』があれば『殺人刀』で、『納得解』を得るなら『活人剣』で!

ニューズレター第158号「『ハマると勝てる』のと『大抵は負けない』の、どっちを選ぶ?」では、『殺人刀』(せつにんとう:自分が得意とする技に磨きをかけて、その得意技を活かしてスピードとパワーで勝つという考え方)と『活人剣』(かつにんけん:得意技やスピード、パワーに固執するのではなく、相手を働かせてそれに対応して勝ちを得るという柔軟な考え方)をご紹介していました。

『殺人刀』では、相手を敵と見なして戦い、自分の実力が勝っている場合には勝てる(望ましい状態に至る)わけですが、上述の通り、『リバース・メンタリング』が求められる状況が増えてきているなど、日々のビジネス・シーンにおいて、「常に自分の得意技で、相手に勝ち続ける」ことを目指すのは非現実的ではないでしょうか? …ここでいう「相手」は、自分より経験の浅い部下のみならず、コロコロ好みが変わる消費者、初めて出会った取引業者などを想定する場合も出てくるでしょう。

もちろん、徹底的に磨いたひとつの得意技に頼って戦おうとする『殺人刀』にも優れたところがありますが、当たり外れが大きい(野球で言うと、「ホームランか三振」の)アプローチであることを意識して用いないと、『組織の成長や持続的な繁栄』を目指すにはリスクが大きいかもしれません。

一方、『活人剣』では、相手と自分の関係を見極め、相手に主体的に強みを発揮してもらいつつ、両者が共に勝てる道(Win-Winの方策、共存共栄の道)を模索することになります。 

つまり、「定番トーク」(得意技。こちらが売りたいものを買わせようと、相手を誘導したりするのに都合が良い話の進め方など)に無理やり持ち込もうとするのではなく、相手の考えや氣持ち、相手のニーズ(顕在欲求)やウォンツ(潜在欲求)についてきちんと理解することができるよう、目的や状況、相手に合わせて話の進め方を変えるのが『納得解』を共に探求するということです。 

これが『構えの無い構え』、すなわち、『ひとつの構えに固執せず、目的や状況、相手に合わせて柔軟に応じる』という『協創対話』のアプローチに対応すると、弊社では考えています。
…実際、『フレームワーク質問力®』を基盤とする『合同会社5W1Hコーチング学習プログラム』の演習時には、「話の最初の方の段階では特に、相手の話を『わかったつもり』になってしまわないよう、日本語は通じるけれども、専門的な内容については知らない小学5~6年生くらいになったつもり話の構造の把握に努め、丁寧な確認を重ねましょう!」とお伝えしています。(ガイドライン的な、話の進め方の大まかな流れについては、2種類のフレームワークをお伝えし、個々の状況に応じてどのように柔軟に用いればよいのかについて、演習を通して身につけていただきます。)

•    6月7日(火)~8日(水) の開催
•    6月18日(土)~19日(日) の開催

『フレームワーク質問力®』 (…『合同会社5W1H流コーチング学習プログラム』 のモジュール1)

…クリエイティブで粘り強い『協創対話』の根幹を成す、『対人スキル』と『クリティカル・シンキング』の両方が同時に学べるセミナーです。

•    6月11日(土)13:00~16:00 の開催
•    6月14日(火)13:00~16:00 の開催

『適切な課題設定』を意識したコーチング
~『タイプ分け』(過度の一般化)の弊害に氣づきましょう!~

•    手を使って考える『協創対話』に興味をお持ちの方
•    企業研修へのコーチング導入を検討されている会社の方
•    個人でコーチングを学ぼうとされている方
•    既にコーチングを活用されていて、他のアプローチを知りたい方
•    コーチングについてほとんど知らないけれど興味をお持ちの方
など、どなたでもご参加いただけますし、適宜、質問をお受けいたします。

さて今回は、ダイバーシティインクルージョンへの関心が高まってきており、経営陣や管理職の方々が人財育成や組織開発に取り組んでいくにも、従来の画一的な手法だけでは対応が困難になってきているという話から始め、「上司は、学び合う場を創り出し、それを維持していく役割がある」『暗黙の前提』『人物と意見の混同』『判断基準の共有』『自己刷新の姿勢』などに配慮するくらいのコミュニケーションの『質』が求められる」「定番トークに固執せず、目的や状況、相手に合わせて柔軟に応じるという『協創対話』のアプローチの重要性」などについてご紹介してきました。 

あなたは、どんなことを感じたり考えたりされたでしょうか? 周囲の方々とお話になってみてくださいね。

それでは、次回のニューズレターでまたお会いしましょう♪

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