人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

『非所有化・大衆化・非収益化・非物質化…』 の下で4WDになるために…(第187号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。 

近年着目されているビジネスとして、例えば、「世界最大のタクシー会社は、車両を持っていない」(…Uber)、「世界で最も人氣のあるメディアには、基本的に自身で生み出したコンテンツがない」(…Facebook)、「世界最大の小売業者は、在庫を持たない」(…Alibaba)、「世界最大の宿泊設備・施設提供業者は、不動産を持っていない」(…Airbnb)といった事例を取り上げるなら、『非所有化』といった共通の傾向を指摘することができるかもしれません。

他にも、

  • 大衆化(数十億円の医療機器を用いなくても、後発開発途上国の田舎でガン診断ができるなど)
  • 非収益化(カメラのフィルムのような「モノ」や長距離通話のような「サービス」に払われていた対価が消えること;フィルム型カメラ→デジタルカメラ、長距離電話→インターネット経由の無料動画通話)
  • 非物質化(テレビや図書館などの代わりにスマートフォンが用いられるようになるなどモノそのものが消えること)

や、「製造業やサービス業で働く人々が、機械に取って代わられ始めたという例が増加している」など、さまざまな技術の進展に伴い、日常生活の中でも、『知識の入手や技術のコピーが容易な、デジタル化の時代』『状況や経営判断によっては、多くの人財が機械(AI搭載ロボットなど)に置き換えられてしまう可能性も現実味を帯びてきた時代』の到来を感じる機会が増えてきたように感じています。

先進国という正解があり、それに追いつくために無駄なく効率的に進めばよかった時代の私たちというのは、「敷かれたレールの上を進む列車」あるいは「きれいに舗装された道路を進む自動車」だったかもしれません。 

しかし、上述のようなVUCA World(※1)を生きる私たちは、変化を常態として受け入れ、「さっきまで左側通行だと言われていたのに、ここからは右側通行だと言われ、ルール変更に適応しなければならない自動車」や「レールや舗装道路などがなく、起伏の激しいガタガタ道や、道なき道を進まざるを得ない4輪駆動車(4WD)」になることを求められているのではないでしょうか?(※2)

※1 VUCA World
混沌として先が読めない世界。Volatility変動性, Uncertainty不確実性, Complexity複雑さ, Ambiguity曖昧さ の頭字語がVUCA。

※2 弊社が育成を支援する4種の人物像@「存在意義・ミッション」ページ

A:世界のどこに行っても、どんな業界に行っても、どんな状況になっても、さまざまな制約条件がある中で、必要な情報を集め、知恵を絞り、実際に行動して、たくましく生き残り、素晴らしい成果を上げる人財

B:「状況に対応しつつ学習する能力」が高く、どんな状況にあっても、結局は「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人財

C:自分なりの世界観・歴史観・人間観に根ざした考え方を持ちつつも、氣負わずに等身大で自己表現でき、それでいて、周囲に幅広く意見を求め、価値観・信念の違いを超えて一緒に対話・協働していこうと相手に感じてもらえる人財

D:多様な考えの化学反応を促進することで、適切な課題を設定し、目的達成に向けて、関係者を巻き込みつつ、目の前のことに、とことん一生懸命に取り組める人財

 

『他流試合の厳しさ、相互啓発の楽しさ』を求める!

冒頭のような問題意識も踏まえ、2016年4月6日のFacebookページ記事:『持続的な自己刷新』で『ユニークに生き抜こう!』の背景 では、

図解1:合同会社5W1Hの掲げる使命と事業内容』と共に、合同会社5W1Hは、『持続的な自己刷新』を促すことで、あなた(の組織)が『ユニークに生き抜く』ためのパートナーであろうと努めています」というメッセージをご紹介していました。

『合同会社5W1Hの掲げる使命と事業内容』

図解1:『合同会社5W1Hの掲げる使命と事業内容』

この『持続的な自己刷新』&『ユニークに生き抜く』の流れの延長として、2016年4月22日のニューズレター(号外)では、新サービスとして、

『ラディカル・キャリア・チェンジ』徹底サポート
ダブル・メジャー、異業種・異分野への転身、職種転換などに関心をお持ちの方に~ をご紹介していました。

『ラディカル・キャリア・チェンジ』は象徴的な例かもしれませんが…『ユニークに生き抜く』ために『個性に磨きを掛けたり、発展させたりしていく』には、『他流試合の厳しさ』や『相互啓発の楽しさ』を経験していくことは必須だろうと、弊社では考えています。

大きな組織に属していらっしゃる方ほど、「他の組織のことや他の仕事をされている方のことは知らないので、○○が普通のことなのかどうかもわかりません。 今の仕事がなくなってしまわないのか、邪魔者扱いされずに在籍し続けることができるのか、定年後どうして行けばよいのかわからないのは、正直不安です」といった発言をされます。

あなたは普段、『相互啓発の楽しさ、他流試合の厳しさ』が味わえそうな場を自ら求めていらっしゃるでしょうか?

※3 参考記事
インクルージョンが能動的でなければ、ダイバーシティは逆効果!
--『管理的なダイバーシティ』と『戦略的なダイバーシティ
--『受動的なインクルージョン』と『能動的なインクルージョン

 

『他流試合、相互啓発』を妨げる『社会的な強制力』

しかし、『個性に磨きを掛けたり、発展させたりしていく』ためにも、ずっと『他者から求められ続ける人物であり続ける』ためにも、「普段から『相互啓発や他流試合』を心掛けよう、楽しもう!と思うのだけれど、なかなかそうも行かなくて…」という人も多いかもしれませんね。

確かに、『相互啓発や他流試合』に日常的に遭遇する『価値観が多様な社会』の生活に慣れた人と、多くの日本人のように『価値観が類似の社会』で過ごすことに慣れた人では、心理的なハードルの高さが異なるかもしれません。

そうした状況の背景には、私たちが、『合理的な理由とは別』に、(自覚しているかどうかは別として)「Aさんが○○と言っているから」「Bさんが○○しているから」「業界Cでは○○となっているから」…などといった『社会的強制力』とも呼ぶべきものから、さまざまな影響を受け、実際にどういう言動や態度を選ぶかについて判断しているといった事情があります。 こういった事情について概説したのが、図解2:「『協創対話』の場の力学」(※4)の内容です。

※4 協創対話(Co-Creative Dialogue)
『視点変更』を促す質問を活用した、『真実・解決策・新たな可能性を探求するための、関係者との粘り強い対話』のことで、『独創×競創×協創』を促進し、『横断的・統合的な連携』を実現するのに役立ちます。 協創対話の内容については、『フレームワーク質問力®』を基盤とする『合同会社5W1H流コーチング学習プログラム』でお伝えしています。

『協創対話』の場の力学

図解2:『協創対話』の場の力学 [ 合同会社5W1H作成 ]

例えば、『人財育成・組織開発コンサルティング』などでは、「『創発』を促す『深い対話』について学ぶツールあるいは「個人の価値観と、組織の方向性の『擦り合わせ』を行い、日常の実務を行いながら、職場の改善や組織開発を進めるためのツールとして、図解2:「『協創対話』の場の力学」を用いることがあります。

また、明日の『教養醸成の会』で扱う『タテ社会の人間関係』中根千枝(著) の中には、次のような内容も登場します。

  • 権威主義」が悪の源でもなく、「民主主義」が混乱を生むのでもなく、それよりも、もっと根底にある日本人の習性である、「人」には従ったり(人を従えたり)、影響され(影響を与え)ても、「ルール」を設定したり、それに従う、という伝統がない社会であるということが、最も大きなガンになっているようである。(…本文からの引用)
  •  論理を容易に無視するこの相対的価値観は、現実の日本人の人と人との関係、やりとりに如実に発揮されている。そして、特に知的な活動において致命的な欠陥を暴露するのである。[中略] その証拠に、日本人の会話には、スタイルとして弁証法的発展がない。「ほめる書評」と「けなす書評」しかないように、「ごもっともで」というお説頂戴式の、一方通行のものか、反対のための反対式の、平行線をたどり、ぐるぐるまわりして、結局はじめと同じところにいるという、いずれかの場合が圧倒的に多い。(…本文からの抜粋引用)
  • 日本のような形の単一社会における思考では、異なる2つの存在は、『敵対』するか『合流』するか(一方が他方を『呑流』するか、『従属』させるか、共に完全に独自性を喪失して『ひとつになる』か)しかなく、両者が『独自性と対等性を保持したパートナーになる』という展開は望めない(…高野の解釈による改変表現)

『持続的な自己刷新』を行ったり、4WDとなって『ユニークに生き抜こう!』としたりするには、現状に疑問を持ったり、自ら課題やルールを設定したり、「AかBか」ではなく「AとB」あるいは「C」という解を探求したり…することが求められます。

これを可能にするのが、上記の『独自性と対等性を保持したパートナーになる』という、私たちの意識ではないでしょうか? …研究者や技術者には比較的馴染みやすいかもしれませんが、社会人類学的視点から見て、多くの日本人にとっては『慣れていない在り方』のように感じています。

『我を張る』のでも『敵対』するのでも『合流』するのでもなく、『独自性と対等性を保持したパートナーという在り方』を意識しながら、『自分(たち)はこうしたい!自分(たち)はこう考える!』といった想いを『方位磁針』として持ち、4WDとして、まだ地図に描かれていない領域を開拓していくには、『粘り強く話し合う』過程を通して『納得解』を共有することで仲間を束ねる『協創対話』のようなアプローチが不可欠ではないでしょうか?(他にも、「『評価を伝える』のとは異なる『フィードバック』」なども重要かもしれません。)

『非所有化・大衆化・非収益化・非物質化…』といった潮流が渦巻く中、『経済的・文化的な変化や歴史的な推移を乗り越えていく4WDになる』ため、『他流試合や相互啓発』を通して『自分自身を深く理解』し、『所属組織の内外で、分野横断的なつながりを築く』ために、あなたはどんな取り組みをされていますか?

もし、『協創対話』という『基本』、『相互啓発する組織体質への改善』などに関心をお持ちで、時代を超えて生き残る、『本物志向で上質な学習プログラム』をお探しでしたら、是非、下記のような機会の活用を検討なさってみてください。

●6月7日(火)~8日(水)開催
6月18日(土)~19日(日)開催
『フレームワーク質問力®』 を基盤とする、
『合同会社5W1H流コーチング学習プログラム』

●5月27日(金)開催
『ファクト・ベイスト・フィードバック』

さて、今回の記事をお読みになって、あなたは『独自性と対等性を保持したパートナーという在り方』および『それを可能にする協創対話について、どんなことを感じたり考えたりされたでしょうか? 周囲の方々とお話になってみてくださいね。

それでは、次回のニューズレターでまたお会いしましょう♪

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