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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

なぜ『戦略的人財マネジメント』への関心が高まっているのか?(第181号)

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 こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

この頃、人事部に所属しておられる人かのお客様から『戦略的人財マネジメント』や『戦略人事』といった言葉を立て続けに聴いたので、今回はこの辺りについて考えたことを、少し整理してシェアしてみようと思います。

 

経営陣が『人財部門の戦略』に意識を向ける理由とは?

情報や知識の格差が大きかった時代であれば、「製品やサービスなどの『事業戦略』」(プロセスの改善やベスト・プラクティスの模倣など)も大きな価値がありましたが、情報や知識に加え、最新技術までもが安価で手に入りやすくなってきている現在では、『一時的な競争優位性をもたらす事業戦略』の相対的な重要性は低くなってきています。 

代わりに重要性が高まってきているのが、「企業自体の成長や持続的な繁栄への貢献が期待される、『事業領域選び、人財、組織、技術など』に関する戦略」です。

つまり、「戦略のコピーが容易になった」現在では、企業の関心は、「個々の『事業』戦略から『経営』戦略へ」そして「戦略の『立案』から戦略の『実行』へ」と移ってきています。

この流れを受け、企業の課題を全社的に(各部門を統合した視点から)捉える人財・組織部門には、「企業の成長や持続的な繁栄」を可能にするため、次の3つの取り組みが期待されるようになってきています。

A)『市場を意識』し、『経営視点』に立ち、『ライン部門(※1)と協働』して進める『部門横断的な貢献』

B)戦略を「絵に描いた餅」にせず、『戦略の実行』を可能にする人財の需給バランス調整と適切配置

C)他社が模倣困難な『独自資源』としての人財・組織の育成・維持

※1 ライン部門とは、組織の主要業務を直接担当する部門を指します。

 

また、こういった動きを下支えし、加速している背景としては、次のような要因が挙げられます。

D)従来の『管理業務』の負荷が減少してきている

ITシステムやアウトソーシングの活用が進み、定型業務の遂行が少人数で可能になってきています。

E)『人財獲得競争』が激化してきている

① 本拠地を離れた新興国などでビジネスを展開するには、現地の人財に助けてもらう必要があるというグローバル化の観点

② 今後数年のうちに、「労働力人口にカウントされる若手よりも、定年を迎えて労働力人口にカウントされなくなるシニアの方が多い」といった不均衡状態が世界的に現実となる『人口動態推計』の観点

③ 図表1で示すように、パフォーマンスが高いホワイト・カラーは少ないけれど需要は多いという、『引く手あまたなのは優秀な人財だけ』という観点

④ 企業による「将来のリーダー開発」が間に合っていないという『人財プールが不充分な情勢』の観点

『テクノロジーの進展と、人々の仕事に関する話題』(※2)の観点

などから、『人財プールを充実させることの重要性が増している』と弊社では考えています。

ガウス分布とパレート分

図表1:ガウス分布とパレート分布(第166号より転載)
[ 出典:ERNEST O’BOYLE JR. and HERMAN AGUINIS, “THE BEST AND THE REST: REVISITING THE NORM OF NORMALITY OF INDIVIDUAL PERFORMANCE”, PERSONNEL PSYCHOLOGY 65, no.1 (2012): 79–119 を元に、合同会社5W1Hにて改変 ]

 

※2 テクノロジーの進展と、人々の仕事に関する話題
例えば、ニューズレター第173号でも取り上げた、下記のような内容が有名です。

•    今後20年以内に、英国における仕事の3分の1がロボットに置き換わる可能性がある
(出典:”THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?”, Deloitte with Carl Benedikt Frey, of the Oxford Martin School, and Michael A Osborne, of the Department of Engineering Science, at the University of Oxford )

•    2025年には、米国で1億人分の職がロボットに取って替わられている
(出典:”What Happens to Society When Robots Replace Workers?”, William H. Davidow and Michael S. Malone, “Harvard Business Review”, DECEMBER 10, 2014)

 

また、2015年3月には、「東京大学教養学部英語コース(PEAK)への合格者の入学辞退率が年々高まり、2014年度合格者の7割近くが東京大学を辞退して外国の有力大学に進学した」「日本の有名大学が『滑り止め』扱いされている」といった報道、2015年4月には「米国Google社の役員が東京大学を訪れ、人工知能(AI)を研究する大学院生たちに、日本の平均従業員年収の4倍以上を提示してリクルートを始めている」といった報道があったことを覚えている方もいらっしゃるでしょう。

F)『人財プールを充実させる』ため、『魅力的な企業』になる必要がある

『人財プールの充実度が、戦略を規定する』という側面があることも踏まえ、自社を『優秀な人財が働きたいと思う企業』にして行く必要があります。 しかし、「どの事業部門も、それぞれの収益を高めるのに邁進」していて、「個々人の働き方、キャリア・デザインなどについて充分な時間を割いて考える余裕がない」というのが実情です。

そういった状況の下、『優秀な人財が働きたいと思う企業』になって行くために、『組織の視点』からだけではなく、『社員一人一人の立場で考え、企業として必要な支援を行う』という取り組みの重要性が増しています。

上記D~Fの背景を踏まえ、「戦略のコピーが容易になった」現在では、企業・経営陣の関心は、「個々の『事業』戦略から『経営』戦略へ」、「戦略の『立案』から戦略の『実行』へ」、さらに「他社が模倣困難な『人財・組織』へ」と移ってきています。

そして、従来『管理的業務』が主だった人財部門にも、A~Cのような『戦略的役割』(個別事業にとどまらず、企業自体に競争優位性を持たせる役目)を果たすことで、『企業の成長や持続的な繁栄に貢献すること』が求められるようになってきているのです(図表2)

人財部門に求められる役割の変化

図表2:人財部門に求められる役割の変化

現状、あなたが所属される企業の人財・組織部門は、事業にとって、あるいは、企業自体にとって、どんな役割を果たされているでしょうか?

それでは、次回のニューズレターでまたお会いしましょう♪

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