読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

続・「何を管理するのが管理職?」~戦略・戦術と知性の種類編~(第174号)

follow us in feedly
Send to Kindle

こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。 

ちょうど一年くらい前、Facebookページ記事:何を「管理」するのが「管理職」?では、次のような内容について書いていました。(今回のニューズレターで、図表1を新たに追加しました。)


(前略)
コーチングを提供させていただいていると、多くの部長さん・課長さんが、「『部下の行動を管理』するのが管理職たる自分の務めだ」と信じているために生じる問題が非常に多いことに氣づきます。 あなたは、管理職って、何を管理することが期待される役割の職位だと思われますか?

組織の形態などによって異なっていて構わないと思うのですが、多くの場合、「社内外の関係者の協創によって創出・提供する『価値』を『動的に管理』すること」が求められていると考えるのはいかがでしょうか?

(中略)

管理職は価値を動的に管理する

図表1:管理職は価値を動的に管理する
[出典:合同会社5W1H公式Facebookページ 2014年4月19日記事を基に作成]

 

■ 『価値 = 基準 × 資本 × 方法 × 主観』
(…弊社オリジナル)

とすると、「自分たちが、(時々刻々変化する)『お客様だと想定している人々/組織』のことを深く理解し、『自ら』(資本や方法)を適切に変更していくこと」が求められるのではないでしょうか?

… 一度決めたルールをしっかり守っているかどうかという視点の「静的な管理」ではなく、さまざまな変数が動いていく中での「動的な管理」をイメージしています。

部下が遅刻しないか、残業時間はどうか、業務日報は提出しているか...といったことに目を光らせてばかりの、「口うるさい監視役」「嫌われ者の、ダメ出し係」になっていませんか?

そうではなくて、自社が定めた「基準」以上の価値を持続的に創出できるよう、貪欲にお客様の「主観」(潜在欲求、顕在欲求)について知ろうと努め、クリエイティブに、柔軟に「資本」や「方法」をより良いものに変えていく工夫が、管理職に求められているのではないでしょうか? あなたは、何を「管理」するのが「管理職」だと思われますか?

(後略)


※弊社のFacebookページGoogle+ は、ニューズレター記事よりも短めの内容、より軽めのタッチで、本ニューズレター購読者のみなさまに役立つような内容を発信しておりますので、是非、いいね!したり、フォローしたりしてご活用ください。

 

今回は、上記のような内容を踏まえ、「経営幹部や管理職向けの人財育成と、現場の第一線で働く人々の人財育成では、意識の向け先がどう異なるのか?」について、「成人学習」という切り口から話を進めてみようと思います。

 

『戦略』の失敗は、『戦術』で補うことはできない

4月になり、新しく管理職になられる方も多いというタイミングもあってか、最近、キャリア・デザインに関するテーマで、コーチングを希望されることが多いように感じています。 そして、こうしたセッションで、クライアントさん(以下、クライアント)から、「経営者あるいは自分より上級職にある経営幹部との関係で悩んでいる」という話をされることがあります。 クライアントは、「支配と服従」や「Win-Loseの関係」から脱する方法(テクニックやスキル、処世術など)を知りたいと考えて、コーチングを依頼されることも多いようです。 そうしたクライアントの要望に直接応じようとするためか、広く普及している(病理学的心理学に基づく)コーチング(…カウンセリングとの境界が曖昧なコーチング)では、「人間関係の改善に焦点を当て、コーチから解決策やアドバイスを得る」というアプローチが採られています。 一方、「課題設定」を重視する弊社のコーチンでは、一般的となっているコーチングとは異なるアプローチを採用することで、クライアントが事前に思い描いていた内容を超える成果を生み出し、喜んでいただけています。

弊社のコーチングで採用するアプローチにはいろいろなものがありますが、例えば、下記の2つの考え方は、上記のようなテーマを扱う際に、非常に効果を発揮しているアプローチの基礎になっているものの例です。

●「戦術の失敗は戦闘で補うことはできず、戦略の失敗は戦術で補うことはできない」
[ 出典:『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』]

● 「リーダーが犯す最も大きな過ちは、適応を要する問題(Adaptive Problems)を解決したいときに、それを技術的な問題(Technical Problems)だと誤診し、技術的手段を用いてしまうことだ」
[ 出典:Ronald Heifetz(著)『Leadership Without Easy Answers』 ]

弊社では、目的を達成するために、有利な状況を創り出したり設定したりするのが『戦略(Strategy)』(…全体構想に相当)、その戦略を受けて、個々の状況に適応し、資源を有効に活用するのが『戦術(Tactics)』(…局地戦での構想に相当)という形で、戦略と戦術を区別しています。

この区別を適用すると、一般的なコーチングと弊社のコーチングの違いについて、次のような形で表現することができます。

 

『戦術』重視のアプローチを採用する一般的なコーチン

クライアントが、意識を「人間関係の改善」に向けたままで、「スキルのレパートリーを増やす」「人間関係改善に成功した事例を真似る」「イメージ・シミュレーションを活用する」などといった「技術的手段」だけで対応しようとします。

 

『戦略』重視のアプローチを採用する合同会社5W1Hコーチン

場合によっては、「上司に人生の主導権を渡していて良いのですか?」などといった挑発的な質問も織り交ぜたりしつつ、クライアントが今取り組むのが適切な課題は何なのかを共に探求します。 慌てて、提示された問題症状を「既存の思考様式のまま、新しいスキルをいくつか身につけること」で解消しようとする(…『戦術』重視のアプローチ)のではなく、問題症状を生じさせている背景(問題構造など)について確認を重ねたうえで、適切な課題を設定します。その後、「思考様式を適切なものに変容させつつ、新たな言動・態度を獲得していく過程を通じて、新たな職位にふさわしい資質を育み、その結果、当初念頭にあった人間関係の改善という目標も達成してしまう方法」(…「課題を再設定する」という『戦略』重視のアプローチ)を採用します。

いくら個々人の戦闘能力を高め、戦術を駆使していくつかの局地戦で勝てたとしても、大局を見誤って肝心なところで負けてしまったり、ほとんどの局地戦で負けてしまったりしては、戦い(ここでは様々なビジネス活動のこと)が無益どころか有害な活動であったことになってしまいます。自己を損耗させるだけで、自己の向上や関係者の長期的な便益に役立たない取り組みに埋没してしまっては、せっかくの時間・エネルギー・費用・関係者の協力などが無駄になってしまいます。 あなた(が所属される組織)は、いきなり「物事を適切に行うこと」(戦術)に飛びつかず、まず「適切な物事を選ぶこと」&「適切な判断基準を定めること」(戦略)に注力されているでしょうか?

 

イノベーション ≒ 適応を要する問題に戦略的アプローチで臨むこと?

「現場の第一線で働く人々の人財育成」では、「自分ではない誰か(上司やお客様)が設定した問題の解決あるいは課題への取り組みを、いかに無駄なく効率的に行えるようになるよう支援するか?」が大切です。上記の表現で言えば、『戦術』および「技術的手段」重視のアプローチがメインとなります。

一方、「経営幹部や管理職向けの人財育成」では、例えば、「世の中の動きや業界の動向、経営理念や事業戦略などに基づいて、いかに自分(たち)が問題や課題を適切に設定できるようになることを支援するのか?」など、「現場の第一線で働く人々の人財育成」と比べて、より『戦略』を重視するアプローチが大切になってきます。 ここで、冒頭でご紹介したFacebookページ記事が関係してきます。 それは、「自分たちが、(時々刻々変化する)『お客様だと想定している人々/組織』のことを深く理解し、『自ら』(資本や方法)を適切に変更していくことが求められるのではないでしょうか?」という部分です。

上述のHeifetzが著した内容を踏まえれば、スキルのレパートリーを増やすような戦術的アプローチが有効な『技術的な問題』と、『自ら』を適切に変更していくことが求められる『適応を要する問題』を区別して対応することが大切だと言えるでしょう。

ちなみに、イノベーションの語源と言われる「innovare」というラテン語の動詞が、「in」(=into:内部へ)という接頭語と「novare」(=make new:新しくする)という動詞が合わさって生まれた合成語であるという話、すなわち、イノベーションの原義が「自らを新しくすること」であるということを思い出すと、「適応を要する問題に対して、戦略的なアプローチをとること ≒ イノベーションとも言えるのではないでしょうか?

あなたは、「経営幹部や管理職向けの人財育成と、現場の第一線で働く人々の人財育成では、意識の向け先がどう異なるのか?」について、どのようにお考えでしょうか?

 

戦略的アプローチには、成人知性の発達が必要!?

前段の内容を踏まえ、もう少しだけ具体的に「自らを適切に変更していく」という内容について見てみましょう。

成人学習などの分野で日本でも有名な、ハーバード大学教育学大学院教授のRobert Keganさんは、5段階の『知性の発達段階』モデル(衝動的知性→道具的知性→環境適応性知性→自己創始性知性→自己変容性知性;いずれも高野の訳語)を提示しておられます。この5つの発達段階のうち、成人に適用されるのが、『環境適応性知性』『自己創始性知性』『自己変容性知性』の3つです。

2つの大規模調査に基づく成人知性の分布

図表2:2つの大規模調査に基づく成人知性の分布
[出典:Study A: R. Kegan, In Over Our heads (Cambridge, MA: Harvard University Press, 1994). Study B: W. Torbert, Managing the Corporate Dream (Homewood, IL: Dow-Jones, 1987). ]

『環境適応性知性』…周囲からどのように認識され、どういった役割を果たすことを期待されるかという外的基準によって自己を形成する。「スキルのレパートリーを増やす」「タイム・マネジメントで対処する」といった技術的手段を用いて、環境に適応する。

『自己創始性知性』…自分自身の信念や価値観といった内的基準を確立し、判断・選択・自律的な行動が行える。主体的な課題設定、問題解決に取り組める。

『自己変容性知性』…自分自身の内的基準を客観的に見ることができ、状況が変わっても機能する完全なシステムがないことを理解している。矛盾や対立する考え方があることを認めたうえで、必要に応じて内的基準に変更を加えるなどしつつ、健全な相互依存を実現する中で自我を形成する。

※3つの知性についての解説は、高野の理解に基づく改変意訳です。

『技術的な問題』に対しては、主に『環境適応性知性』を発揮することで戦術的アプローチを採ることができます。 一方、職位が上がれば上がるほど、取り扱う課題の多くは、既存の思考様式のままで新しい技術を少し身につけるだけでは対応できないもの(『適応を要する問題』)となる傾向にあり、戦略的アプローチを採るために、『自己創始性知性』『自己変容性知性』を発揮すること、すなわち、自己成長(ここでは『成人知性の発達』を指す)が求められます。

さて、あなた(の所属される組織)は、どういった形で『成人知性の発達』を促す手段や仕組みを導入・利用されているでしょうか? 「何を管理するのが管理職?」という最初の問いと併せて考えてみてください。

弊社では、「『適応を要する問題』に効果的な『戦略』的アプローチを採る、合同会社5W1Hコーチング」を通じて、『成人知性の発達』を促す『試練と支援』を提供」させていただいています。

エグゼクティブ・コーチング
● パーソナル・コーチング

また、今回ご紹介した話に興味をお持ちいただけたようであれば、「管理職」(を目指す人)に有効な『思考×コミュニケーション』方法としての、合同会社5W1Hコーチング」を学ぶ機会について、下記を確認なさってみてください♪

●9月12日(土)スタート  早割:6月21日(日)まで
合同会社5W1H流コーチング学習プログラム

開催間近の関係が深いイベントです。

●4月24日(金)
ファクト・ベイスト・フィードバック
心理抵抗を引き起こさせないために、フィードバックとコメントを分けるとは?

●5月4日(月・祝)~5日(火・祝)
2日間「コーチング漬け」体験
ベンチマーキングしながら、基本的な5つのスキルを体験学習!

●その他、今後のイベント一覧です。 

 

さて今回は、「何を管理するのが管理職?」というFacebookページ記事を発端に、「社内外の関係者の協創によって創出・提供する『価値』を『動的に管理』すること」が大切なのではないか? そのためには、「自分たちが、(時々刻々変化する)『お客様だと想定している人々/組織』のことを深く理解し、『自ら』(資本や方法)を適切に変更していくこと」が大切なのではないか?

さらに、「『適応を要する問題』に効果的な『戦略』的アプローチを採るために、『成人知性の発達』を促す」ことが大切なのではないか?といった私見を展開して参りました。 あなたは、「経営幹部や管理職向けの人財育成と、現場の第一線で働く人々の人財育成では、意識の向け先がどう異なるのか?」などについて、どんなことを感じたり考えたりされたでしょうか? 是非、仕事で関係していらっしゃるみなさんと話し合ってみてくださいね!

以上、今回の記事も、あなたの「QOLの向上」にとって、何か少しでもお役に立てれば幸いです。それでは、次回のニューズレターでまたお会いしましょう♪

P.S.
弊社提供コンテンツ・サービスのすべての基本となっているのは、

「フレームワーク質問力®」セミナーです。
次回の一般公開セミナーは、5月21日(木)~22日(金)の実施です。

また、企業などに赴いての実施も可能ですので、興味をお持ちの方は、下記の記事をご参照ください。
参加者の声~「カスタム・メイド研修」編~

●5月13日(水)~6月24日(水)
【 新宿 × 朝活 × 英語 】
変化促進研究会:第12期(全4回)
"The Alliance: Managing Talent in the Networked Age"

●5月14日(木)~15日(金)
コンフリクト・マネジメント入門
価値観が多様な人々からなる組織を運営するには?

Send to Kindle

follow us in feedly