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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

「リーダーシップは重要か?」と尋ねて、どうするの? 業績を支える「5P」?(第168号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。 

先日(第9期第3回) の『変化促進研究会』(…第9期途中編入者および第10期参加者を募集中)では、「タレント(talent; 優秀な人財)と見なされる人々が共通して持つスキル」など、タレントについて書かれた部分を扱いました。 その中で、「単純作業をしている人物・チームの業績評価は、比較的やりやすいけれど、多くの要因が関係してくる管理職(例えば、他者に働きかけ、その相手に現場で結果を出してもらう立場の人など)の業績評価については、どのように考えるのが適切だろう?」といった話題も出ていました。 今回は、この辺りに関連した私見をいくつかご紹介できればと思います。

 

業績を支える5つのP

現在、『変化促進研究会』で扱っている、Claudio Fernandez-araoz著 『It's Not the How or the What but the Who: Succeed by Surrounding Yourself with the Best』には、図表1で示したようなアイディアが書かれています。

業績は個人単独で生み出せない!(業績を生じる「5P」の例

図表1:業績は個人単独で生み出せない!(業績を生じる「5P」の例)
[ 出典:Claudio Fernandez-araoz著『It's Not the How or the What but the Who: Succeed by Surrounding Yourself with the Best』の内容を基に、合同会社5W1Hにて作成 ]

図表1の内容を踏まえると、例えば、COO(Chief Operating Officer:最高執行責任者のような役割を担う人物は、その組織独自の知識や多くの関係者とのつながりが求められるため、移籍や転任には困難を伴うけれど、CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)のように、異なるビジネス環境であっても、「専門知識や技能」といった「特定の定まった機能」が求められる人物であれば、より移籍や転任が容易であることが理解しやすいのではないでしょうか。 (※自分自身のキャリア開発について考える場合には、「さまざまな技術開発が進み、大抵の『知識』は、誰でも簡単に入手できるようになると共に、急速に廃れるようになってきている」という状況に配慮が必要かもしれません。)

では、冒頭でご紹介していたような疑問、「管理職の業績評価」については、どのように考えればよいのでしょうか?

 

CEOが組織の業績に影響を及ぼす状況とは?

第9期『変化促進研究会』で扱っているテキストでは、「管理職の業績評価」という話からもう少し焦点を絞って、「CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)が、組織の業績に及ぼす影響」に関する記述がありました。 「管理職の業績評価」について考える際の参考になると思うのですが、テキストに書かれた情報だけでは詳細が不明であったため、別途、元の論文を当たってみました。その一部を自分なりにざっくり整理したところ、次のような内容が含まれていたと理解しました。

a) 従来、「組織の業績について考慮する際、CEOの発揮するリーダーシップは重要か?」という問いがあり、「リーダーシップ支持派」は「組織のミッション、戦略、構造、文化などを左右するCEOは、組織の業績に大きな影響を及ぼす」とし、他方、「リーダーシップ懐疑派」は「組織内政治、既存のシステム、固定資産への過去の投資、組織の慣例、競争圧力、参入障壁など、数多くの要因が組織改革や戦略の変更、CEOの活動を妨げるため、CEOの組織業績への影響は限られたものに止まる」として議論を繰り広げてきた。

b) 「組織の業績」に影響を及ぼす外部要因として「年度」(金融市場の状態やビジネス・サイクルの段階などといったマクロ経済を反映する条件)と「産業(業界)」(切り替えに要する費用、固定資産への投資などといった市場勢力図を反映する条件)の2つ、内部要因として「企業」(業界における、その組織に特有の競争的優位性などを反映する条件)と「(CEOの)リーダーシップ」(特定のCEOが率いる組織の業績が、平均的業績と一線を画しており、その組織の業績に影響を及ぼす取り組みに関わる意思決定を、そのCEOが行ったなどといった条件)の2つを取り上げ、42業界、531社、19年分のデータを用いて調査を行った。

c) 調査結果によると、例えば、「通信機器を扱う業界では、CEOのリーダーシップが組織の業績に21%の影響を及ぼす」が「食肉を扱う業界では、2%の影響に止まる」など、「業界によって、CEOのリーダーシップが組織業績に及ぼす影響の大きさが異なる」ことが明らかとなった。→コンテクスト(状況、前後関係)抜きで「リーダーシップは重要か?」といった議論を繰り返すのではなく、「リーダーシップが重要となるコンテクスト」に意識を向けることが重要!

d) a)で触れたように、これまでの議論は、「リーダーシップは重要か?」という問いに基づいたものであったが、その問いを「リーダーシップが重要なのは、どのような状況か?」に変更して調査した結果、リーダーシップ支持派と懐疑派の対立は消失した。結果概要は、図表2の通り。(※「組織の業績」に関しては、有形資産のみ扱うROA(Return On Assets:総資産利益率)の他に、ブランド資産や技術力といった無形資産まで扱えるよう「トービンのQ比」(企業の市場価格÷資産価値)も用いて比較しています。詳細解説は元論文に譲ります。)

CEOが組織の業績に影響を及ぼす状況とは?

図表2:CEOが組織の業績に影響を及ぼす状況とは?

e) 「組織の業績」に影響を及ぼす4つの要因については、「企業」(32.8%)、「産業(業界)」(15.5%)、「(CEOの)リーダーシップ」(13.5%)、「年度」(5.2%)といった割合が得られた。(…リーダーシップの13.5%という数値は平均値であって、業界によっては、40%前後を示す場合もあった。)

[ 出典:Noam Wasserman, Nitin Nohria, and Bharat N. Anand, “When Does Leadership Matter? The Contingent Opportunities View of CEO Leadership”, Working Paper No. 01-063, January 2001 (Boston: Harvard Business School, April 2001). →Later published as Ch. 2 in The Handbook of Leadership Theory and Practice, 2010. の内容を基に、合同会社5W1Hにて作成 ]

あなたは、a) ~ e) をご覧になって、どんなことを考えられたでしょうか?

私の場合には、a) やb) といった話に関しては詳しくなく、特にニューズレターを通してお伝えできるようなものはないかもしれません。ただ、c) ~ e) に関しては、多少お伝えできることもあるように思いますので、次段でご紹介しようと思います。

 

コンテクスト × 適切な質問 × レバレッジ

まずc) については、「コンテクストに配慮することの重要性」に関する話と解釈しました。すると、冒頭の「『業績』は『個人』単独では生み出せない」という話と繋がるだけでなく、ニューズレター第139号:システム思考と動的な質問力; コンテンツだけマネても役に立たない理由 でご紹介していた、「『コンテンツ』だけで『価値』は生み出せない」という図、「適切な『コンテクスト』で、適切な『質問フレーズ』を用いてはじめて、『質問力』が効力を発揮する」という主張との類似性が頭に浮かびます。

コンテンツだけで価値は生み出せない!

図表3:コンテンツだけで価値は生み出せない!
[ 出典:第139号の図表3を再掲 ]

続いて、d) です。d) に関しては、「適切な質問を選ぶことが大切」と解釈しました。何年も「フレームワーク質問力®」の研修などを実施してきていると、「質問をする」こと自体はできていても、その質問が「自分の個人的な好奇心を満たすだけの質問」であって、会話/対話の目的達成に役立たず、「質問力があるとは言えない」という演習実施状況に何度も遭遇します。

「質問が適切かどうかを吟味する」ことなく、頭に浮かんだ質問をそのまま発しているだけでは、対人関係も場の雰囲氣も悪くなってしまいかねません

そういった事態を避け、「課題解決に役立つ思考法と共に、望ましいコミュニケーションの在り方について学ぶ」のが上記研修(一般公開セミナーの開催情報はこちら )となっています。

例えば、d) で出ていた質問フレーズの例で、「リーダーシップは重要か?」というものがありますね。 弊社の「フレームワーク質問力®」研修のような場面であれば、私はその質問フレーズを発した人に、「それを尋ねて、その後、あなたは何をどうするの?」と質問するかもしれません。 やはり、「リーダーシップは重要か?」という質問を選ぶか、「リーダーシップが重要なのは、どのような状況か?」という質問を選ぶかというのは、関係者や成果に大きな違いをもたらすのではないでしょうか?

そして、e) です。 この件に関して思ったのは、「『CEOのリーダーシップ』は組織の業績にとって、唯一重要な要因というわけではないけれど、この調査で取り上げた4つの要因の内で、『最もコントロールが容易なもの』であることは確かだ!」ということでした。 例えば、上記でお伝えしていたような「適切な質問」が行えるよう学習と経験を積んだコーチに、CEOの定期的・持続的なコーチングを依頼することで対処することも可能です。(…エグゼクティブ・コーチング

また、「思考の習慣病」や「内省」などについてCEO自身が学び、より望ましいリーダーになっていくのを選ぶことも可能です。(…合同会社5W1H流コーチング学習プログラム) 

e) の内容を踏まえると、「CEOのリーダー学習」に対して「適切な投資」を行うことは、「組織業績の向上」を考える上で「非常にレバレッジ効果が高い」ように思えるのですが、あなたの組織ではどのような形でどの程度実施されているでしょうか?

さらに、「『CEOのリーダーシップ』が望ましい方向に変わって行けば、『組織の業績』に影響を及ぼす最大要因である『企業』(32.8%)についても、ジワジワ好影響を及ぼせるようになっていくことが期待できるのではないか?」とも考えました。(…人財育成・組織開発コンサルティング; チームで人財を育成する『ファクト・ベイスト・フィードバック』ほか)あなたはどのようにお考えになるでしょうか?

さて今回は、先日(第9期第3回) の『変化促進研究会』(…第9期途中編入者および第10期参加者を募集中)から始め、「管理職の業績評価」について考えるためのヒントになればと、「CEOが組織の業績に影響を及ぼす状況」に関する研究結果の紹介と、その内容に関する私見についていくつかご紹介して参りました。 あなたは、どういったことを考えたり、感じられたりしたでしょうか? 是非、仕事で関係していらっしゃるみなさんと話し合ってみてくださいね!

以上、今回の記事も、あなたの「QOLの向上」にとって、何か少しでもお役に立てれば幸いです。 

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

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