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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

『Tell-Sell-Yell症候群』を予防するFBとは? 減点主義? 加点主義?(第163号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。 

先日の号外でお知らせした、新しいセミナーのページ、もうご覧いただけましたか?

9月6日(土)、9月18日(木)開催
チームで人財を育成する『ファクト・ベイスト・フィードバック』
~ 現場・面談で学び合い、業績向上につなげるコミュニケーション ~ (1日セミナーです)

今回は、「上司だけが部下を育てる役目を担うのではなく、チーム全員が互いに学び合う仕組み・文化が求められる時代」のフィードバックについて、補足説明を差し上げる内容をお伝えしようと思います。

 

『Tell-Sell-Yell症候群』とは?

先日終了したばかりの第8期「変化促進研究会」(※1)では、Tell-Sell-Yell症候群(Tell-Sell-Yell Syndrome;『Conversational Intelligence: How Great Leaders Build Trust & Get Extraordinary Results』 Judith E. Glaser著)に関する話が出ていました。

※1
次期「変化促進研究会」の参加者募集を開始いたしました!
Facebookページでは既に、第9期および第10期の「変化促進研究会」テキストをお知らせし、参加者の募集を開始しておりました。
【変化促進研究会は、3つの変更点と共に、新しくなります!】

1.    開催日が、【水曜日】となります。
2.    開催時刻が、少し遅めの【朝7:00~8:20】となります。(お仕事などの関係で、多少早く退出されたりするのもOKです。)
3.    開催場所が、各線池袋駅近辺(徒歩数分)となります。

2014年10月開始の第9期と、2015年1月開始の第10期に関する詳細は、こちらからご確認いただけます。

Tell-Sell-Yell症候群というのは、次の3つの段階から成るコミュニケーション形態を指しています。 最初は、「社員間のコミュニケーション量が多い状態 ≒ 組織が活性化した好ましい状態」といった考えに基づき、「Tell:もっと話し合いなさい」と奨励することで、自分が所属する部署や組織をより望ましい状態にしていこうとする段階です。(…私はそもそも、前提となっている考えに異論があるのですが、長くなるので今回は割愛します。)

続いて、「Sell:自分のアイディアを売る」の段階です。 社内のコミュニケーション量が増えたにもかかわらず、期待していたような成果が速やかに得られないと、一緒に働く人たちに「○○した方がいい」「○○するのはどうだろう?」などと、自分の考え方ややり方を押し付け始めます。内容のひとつひとつについて、相手の納得が得られたことを確認しながら話し合うのであれば望ましい効果が得られるのかもしれませんが、「Sell」と見なされる段階では、自分の能力や時間感覚を基準にして、相手に自分と同等レベルの成果を一方的に求めるコミュニケーションが行われます。

最後は、「Yell:怒鳴る」の段階です。 せっかく自分が提案や指示を与えたにもかかわらず、相手が自分の思い通りに行動しないと、「なぜ○○しないんだ!?」などと相手を非難したり、人格攻撃をしたりし始めます。 すると、相手は、落胆したり、不満に感じたり、虚無感に陥ったりしてしまい、人間関係の悪化や仕事の意欲の低下などといった状態を引き起こしてしまいます。

ニューズレター第161号では、「コミュニケーションの3つのレベル」という切り口について紹介していました。(図表1参照)

レベル1:
相互交流のコミュニケーション
(伝える&尋ねる)
(例)3つのたたき台の内、2番目の内容を、当社のマーケティング資料に採用するということでよろしいでしょうか? など
レベル2:
立場を踏まえたコミュニケーション
(意見を主張する&役割に基づき質問する)
(例)3つのたたき台の内、私は2番目の内容に興味を持ちました。 あなたはどうでしたか? 2番目を採用するというのはいかがでしょう? 2番目の案に基づいてプロジェクトを進めることへの懸念などがあればおっしゃってください。何か思いつかれるでしょうか? など
レベル3:
変革をもたらすコミュニケーション
(視点を共有する&納得解を発見する)
(例)マーケティングや営業の活動を進める上で、どの案が最も望ましい成果を上げそうだと思われますか? 他の方々の意見をうかがった今、改めて、この打ち合わせを進める上で、プロジェクトを成功させるための条件として、どんな事柄について検討しておくことが重要だと思われますか? 私たちが置かれた状況を踏まえ、プロジェクトの成功イメージとして、どういった内容のものを共有しておくことが望ましいでしょうか? 採択案を決定する前に、さらに掘り下げて検討しておいた方が良さそうな事柄は、何かありそうでしょうか? など

図表1:コミュニケーションの3つのレベル
[ 原出典:『Conversational Intelligence: How Great Leaders Build Trust & Get Extraordinary Results 』Judith E. Glaser著を基に、合同会社5W1Hにて改変 ]
[ 出典:ニューズレター第161号より再掲 ]

この切り口からすると、Tell-Sell-Yell症候群は、レベル2止まりのコミュニケーションと言えそうです。

また、ニューズレター第150号では、「絶対解と納得解」といった話を紹介していました。

「正解主義」から「納得主義」へ

図表2:「正解主義」から「納得主義」へ
[ 出典:ニューズレター第150号より再掲 ]

絶対解がある職場でのコミュニケーションであれば、レベル2までできていれば問題ないのかもしれませんが、納得解を探求することが求められるような職場のコミュニケーションでは、レベル3が求められます

これらを合わせて考えると、「納得解を探求することが求められる職場で、Tell-Sell-Yell症候群がはびこっているようであれば、効果的な人財育成効果が望めないのではないか?」(…いくら「研修選び」に力を入れても、各種コストの無駄なのではないか?)と思えてきます。

実際、せっかく、有益だと思われる内容の研修(職場外訓練)に社員を参加させても、「Tell-Sell-Yell症候群」がはびこっているような職場では、周囲の大多数の社員は従来通りの言動をとっていますし、研修から戻った社員に対しても従来通りの言動を期待するため、研修効果が職場に浸透するまでに至らない場合が数多く見受けられます。

こういった状況も踏まえ、2014年7月23日のFacebookページ記事では、

「人財育成は『個人』の能力だけを上げればいいんですか?」、「業績向上に不可欠な『チーム/組織の能力』を上げる」ために、「人財育成研修での学びを、現場で活用すること、現場に浸透させること」が重要じゃないんですか?

と書いておりました。

また、2014年8月16日のFacebookページ記事では、

人財育成や組織開発では、「業務」と「学習」をきっちり分ける、「研修」のような『公式学習』と、「業務中に行われる自然なコミュニケーションによる、業績向上に直結した日々の『非公式学習』」の両方が大切ですが、非公式学習の方法として、コーチングと並んで重要な役割を果たす「フィードバック」についてきちんと学んだ経験を持つ人は少ないのではないでしょうか?

(※「学習」とは何を指すか?についての詳細は、ニューズレター第162号 でご確認ください。)

と書いておりました。

そして、こういった一連の問題意識の下で、「面談時のフィードバック」と「日常業務におけるフィードバック」の両方について学ぶのに役立てていただけるようにと考え、

チームで人財を育成する『ファクト・ベイスト・フィードバック』
~ 現場・面談で学び合い、業績向上につなげるコミュニケーション ~

を開発いたしました。

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図表3:4つの場面におけるフィードバック

 

減点主義、加点主義?

前段の話は、どちらかと言うと「日常業務におけるフィードバック」寄りの話でしたので、今度は、「面談時のフィードバック」をイメージした補足情報をご紹介しようと思います。

面談時のフィードバックというと、多くの方は、年に数回行われる上司と部下の定期面談を想像され、「人事評価と懸念事項を伝えられたけれど、結局、その後、何をどうしていくのが望ましいのかなどについて生産的な対話はなかったなぁ」などといった記憶を思い出された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

弊社では「評価を伝えること = コメント」であり、「評価を伝えること ≠ 純粋なフィードバック」であると区別するなど、『ファクト・ベイスト・フィードバック』ではいくつか独自のアプローチを採用しているため、面談時の対話が一方的な情報伝達で終わってしまうことを避け、フィードバックを受ける側の人物が、個人やチームの関心事について、面談後すぐに行動を起こしやすくなるような対話とすることが期待できます。

過去のニューズレターで紹介した内容を用いて、例を挙げておきましょう。 例えば、面談で当該社員の「失敗」について触れる場合をイメージしてみてください。

事なかれ主義」が蔓延した組織では、新しいことに挑戦しようとする社員がいなくなってしまいます。そうかといって、すべての失敗について何のお咎めもなしで「よく挑戦した!」と褒め、失敗を繰り返す社員に何度も重要な仕事を任せたりするような、偏った「加点主義」も、組織のためにも良くないことではないでしょうか。

では、あなたが所属される組織では、面談で相手の失敗に触れるとき、どのような「方針」や「考え方」に基づいて話を進めていらっしゃるでしょうか? もしかして、評価者個人の「印象」や「思いつき」のままに面談時の対話が進められていませんか?

このような場合、弊社では、図表4でお示ししたような考え方なども参考にしつつ、組織ごとに「非難される失敗と称賛される失敗」について独自の指標を用意し、普段から周知徹底しておくことが重要であると考えています。

一連の失敗原因

図表4:一連の失敗原因
[ 原出典:Edmondson, A.C. “Strategies for Learning from Failure,” Harvard Business Review 89, no.4(2011) を合同会社5W1Hにて改変 ]
[ 出典:ニューズレター第138号より再掲 ]

 

管理職の恥ずべき態度?

ここまで、「日常業務におけるフィードバック」寄りの話と「面談時のフィードバック」寄りの話の両方について紹介してきましたが、職場に新たなコミュニケーションの文化を根付かせていくには、管理職を務められている方から率先して、『ファクト・ベイスト・フィードバック』のアプローチを実践していただくことが効果的だと考えているので、最後に管理職の態度についての補足情報をご紹介しようと思います。(※2)

※2 何を「管理」するのが「管理職」?
管理職の仕事内容に関する弊社の考え方に関心をお持ちの方は、2014年4月19日のFacebookページ記事をご参照ください。

管理職に就かれているような人物は、組織に対して多大な貢献をした功績者である「やり手社員」であることも多いのですが、組織としては、「一般社員としての優秀さ」と「管理職としての優秀さ」を区別する必要があると思います。

「やり手社員」としての過去を持つ管理職の中には、過剰で盲目的とも思える自信を持つために「自分の考えや指示内容は間違いがなく、いつも的確である。だから組織は私に権力を与えたのだ!」「管理職たる者は、自分の考えで部下を手足のようにバンバン使うべきだ!」などと信じる方がいらっしゃいます。…「Tell-Sell-Yell症候群」のTellの段階すらなく「Sell-Yell症候群」とでも言えそうです。

組織は良かれと思い、「やり手社員だった管理職」の下に優秀な人財を配置するのですが、その管理職が上記のような信念・態度で部下に接していると、個々の部下が持つ独自の強みを活かすことができませんし、次世代幹部候補などとして適切に育てることも叶いません。その管理職の下に配属された部下のほとんどは、「かつて『やり手社員』だった管理職」に反論もせず、あきらめて何も言わなかったり、その上司を意図的に避けてしまったりするようになります。 そして潜在能力の高い社員は育成されず、本来持っている才能を開花させることなく、「無氣力で、指示を待っているだけのロボット」と化してしまうのです。

「かつて『やり手社員』だった管理職」も、「印象に基づく評価」を伝えたり、「現場を知ろうとせずに、自分の性格・経験だけを基にした日常業務の指導」を行ったりしていては、組織が人財育成を進める上での大きな障害となります。

特に、絶対解がなく、関係者との間で納得解を探求していくことが強く求められる業界・職場で働かれている管理職には、「社員はすべて対等であり、地位や肩書きは役割の違いに過ぎない」と考え、「相手の言動、それらの背景にある想いや価値観などを正確に把握しようとする努力」が求められるのではないか?と弊社では考えています。

研修といった職場外訓練のみならず、仕事現場における迅速な経験学習の促進や、面談時のように普段より少し深い対話が行われる場面に役立つ具体的なコミュニケーション方法について、組織として、あるいは、管理職にある者として、学んでおく必要がありそうだなと思われましたら、是非、下記リンク先から詳細情報を確認なさってみてください。

9月6日(土)、9月18日(木)開催
チームで人財を育成する『ファクト・ベイスト・フィードバック』
~ 現場・面談で学び合い、業績向上につなげるコミュニケーション ~ (1日セミナーです)

さて今回は、「上司だけが部下を育てる役目を担うのではなく、チーム全員が互いに学び合う仕組み・文化が求められる時代」のフィードバックについて、いくつかの視点から補足説明を差し上げて参りました。 あなたは、どういったことを考えたり、感じられたりしたでしょうか?

以上、今回の記事も、あなたの「QOLの向上」にとって、何か少しでもお役に立てれば幸いです。 それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

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