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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

「図解フィードバック」と「話し言葉という線形情報」(第143号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

たまに、「御社で教えていらっしゃるコーチングの特徴の1つが『図解の奨励』って、どういうことですか?コーチングで図解を多用すると、どんないいことがあるのですか?」といったことについて尋ねられます。最近では、2013年7月7日に、ニューズレター「号外」およびFacebookページ、Google+ページで公開のご案内をしていた、インターネット・コーチングの「画面共有メモ」例:をお見せしたりしながら説明差し上げることがあるのですが、次期「コーチング学習プログラム【早期割引】期限が9月16日(月・祝) までと近づいてきていることもあり、今回はこの辺りの話をニューズレターでもご紹介してみようと思います。興味をお持ちの方々に目を通していただければ幸いです。

 

言葉だけを用いた対話(例:電話コーチング)の実施で、
本当にいいんですか?

「コーチング絡みの話題でよく登場する有名人」を思い出してみてください。例えば、GEのCEOを務め、Fortune誌で「20世紀最高の経営者」にも選ばれたことのあるジャック・ウェルチさんの名前がよく挙がりますね。 ウェルチさんの「ナンバーワン・ナンバーツー戦略」は、奥さんにビジネスの説明をするために紙ナプキンに描いたメモが発端だという話が知られています。 また、組織評価のための「活性化カーブ」という手書きメモの話もありますね。 他にも例えば、ルノー、日産自動車のCEOを務めるカルロス・ゴーンさんの名前もよく挙がります。 ゴーンさんの「マトリクス組織モデル」は、地域の軸と機能の軸の2軸で会社全体を運営していくというものでした。 このように、実例をいろいろ挙げていくと、Good止まりではなく、Greatな結果を出す人々は、図解を用いていることが多いのに氣づかれないでしょうか? あなたの身の回りではいかがでしょう?

図解を用いず、言葉を用いて話しているだけのコーチングで、「Good」な結果は得られても「Great」な結果を得るのが困難だと言われることがある一因としては、話し言葉も書き言葉も「線形情報」であることが挙げられます。 また、話し言葉は、時々刻々消えていく情報であり、聴き手(コーチなど)によって別の言葉や概念に変換されてしまう可能性のある情報、(紙に記した情報などと異なり)記憶(の再構成過程)でゆがめられてしまう情報であるという側面について指摘することもできるでしょう。

話し言葉・書き言葉のみに頼ると、「○○の程度は、0~10で言うといくつくらい?」といった質問フレーズに代表されるような、(「善か悪か」などといった二者択一も含め、基本的には連続体上の位置評価である)「一軸評価」や、「1:1の因果関係」で物事を判断しがちです。 ところが、雑多な情報が入り乱れる現代社会では、たった1つの尺度で決断を下すより、2つの尺度を採用して得られた情報をいくつかの表形式(2次元マッピング)にまとめて、分析するといった「多軸評価」や、「M:Nの因果関係」の「分析」「確率・統計処理」などに基づいて判断した方が、目的達成・課題解決・意思決定にとって適切であることが多く、関係者の同意も得やすいとされています。 

こういった認識やこれまでの経験を踏まえて、弊社では、従来の延長線上になかった新しいもの(製品、サービス、仕組みほか)を生み出そうとする場合、あるいは、さまざまな関係者が存在する複雑な課題を解決しようとする場合などでは、「言葉だけを用いて考える」というアプローチには限界があると考えています。

そして、「納得人世」という言葉を経営理念に掲げる弊社では、「多軸評価での分析を可能にする『図解』の活用を奨励するコミュニケーション」を推進してきています。実際に、「フレームワーク質問力」では、「参加者自身の課題を用いた演習」の振り返りなどで「『話の構造』を意識しながら聴く」とはどういうことかを実演してお見せしたりしています。また、「合同会社5W1H流コーチング学習プログラム」では、「因果ループ図、ストック&フロー図の描き方」をお伝えする回を設けていることも含め、さまざまな機会に図解の活用を強く奨励しています。

ここまでお読みくださったあなたは、言葉だけを用いた対話(電話コーチングなど)と、図解を用いた対話がもたらすものの違いについて、どんなことを考え始められたでしょう?

 

図解プロセスを通して、
問題発見と問題設定を区別する

言葉だけを用いた対話では、取り扱い対象の全体像(複数の要素の関係性や階層構造など)を見失いがちとなり、図解を用いる対話では、「総合的な診断」(問題設定)が容易になります。

「対症療法の繰り返し」で事態を悪化させないためには「問題設定」が重要

図表1:「対症療法の繰り返し」で事態を悪化させないためには「問題設定」が重要

問題解決とは、現状と理想のギャップを埋めていくことである」と捉えること自体は構わないと思うのですが、問題解決者の力量によっては、安易に「問題構造が1次元」であると解釈して「問題症状の解消」に突っ走ってしまう可能性があります。特に、言葉という線形情報だけに頼った問題構造の把握ではこういった誤りを犯す危険性が高いため、より適切な目的達成・問題解決・意思決定が可能となるよう、図解を用いた丁寧な「問題設定」(総合的な診断)を行うことが重要であると、弊社では考えています。

 

線形情報だけを用いて、
課題の再設定を適切に行えますか?

さらにもう少し、言葉だけを用いた対話と、図解も用いた対話によって期待できる結果の違いについて考えていきましょう。

改善型と変革型

図表2:改善型と変革型

改善型としてお示ししたのが、言葉だけを用いる対話のイメージ(図表1のアプローチAに対応)で、変革型としてお示ししたのが、図解を用いる対話のイメージ(図表1のアプローチBに対応)です。

改善型では、B地点という目的地について、「自分がどういった思いや根拠に基づいて選んだのか」あるいは「他者からどんな意図の下で与えられたものなのか」について確認を行わず、問題解決のプロセスで「息切れ」(モチベーション・コミットメント・エンゲージメントの低下など)を起こしてしまう可能性があります。 また、A地点からB地点に行く道のりは一本道であると思い込んでしまうことで、他の可能性を閉ざしてしまい、上手くいかないやり方に固執したり、環境の変化に対応できなかったりして、問題解決に支障をきたす可能性が拭いきれません。

一方、変革型では、話し手(クライアントなど)から入手した情報を図解しながら、「私(たち)は、本当にA地点からB地点に向かうということでいいのか?」などと、現状や問題意識の把握を行います。 聴き手が話し手に対して、図解を用いたフィードバック(※)を行うことによって、

  • 話し手には当たり前で見過ごしていた、あるいは、わざわざ言語化しなかった暗黙の条件(前提)言外の意味まで可視化される→「ゼロ・ベース思考」の誘発
  • 当事者として、自分(たち)だけの立場や詳細情報にばかり意識が向いていたけれど、利害関係にない相手に状況を理解してもらおうと情報を整理する過程で、対象とする事柄の全体像に目を向けるようになる
  •  取り扱い対象に関する、可視化(言語化、概念化)された情報が、率直な対話を促す比較対照関連づけを行いつつ話せる;近視眼的な意思決定に陥らず、大局を踏まえた意思決定がしやすくなるなど)
  •  記録された情報があるために話が飛躍しても付いていきやすい;話の切り替え(例:部分に関する詳細な話と、全体の方向性についての話の切り替えなど)が容易となる
  •  1つ1つの出来事や言動をバラバラに捉えて対処法を検討するのとは異なり、話し手と聞き手が協働して「パターン」や「つながり」に意識を向け、状況や課題を深く理解するようになる→「システム思考」や「仮説思考」の誘発
  •  自分の認知バイアスに氣づき、状況や課題についての解釈を変更する可能性(イノベーションの種)が生まれる

などといった効果が期待できます。

その結果、時には、目的あるいは目標を変更してA地点からD地点に向かうという話になりうることや、当初の予定通りA地点からB地点に向かうにしても、直接向かうにもいろいろな手段を採ることが可能であるし、一度C地点を経由するといった形で間接的にB地点を目指すという手段を採ることも可能であると認識した上で、改めて、取り組み課題を設定するといった協働が起こり得ます。

すなわち、「図解」を用い、「問題構造」や「前提」(暗黙の条件)を確認することによって初めて、「問題の適切な再設定」が容易となり、「変革型」に移行できる(…わざわざ濃密な対話の時間を設けるだけの価値が生まれる)というわけです!(すべてのコーチングのプロセスを電話だけで済ますなど)「言葉だけを用いた、短時間の対話しか行わない」というアプローチは、一見効率的に見えるのですが、その結果として対症療法を繰り返すことになってしまうようでは、せっかくのコスト(時間、手間、エネルギーなど)が無駄になってしまいかねません。 コミュニケーション学習などに関心をお持ちであれば、是非この機会に、「図解を用いたコミュニケーションの効用」についても認識していただければと思います。

いかがでしょう? 言葉だけに頼った「改善型」の対話と、図解も用いる「変革型」の対話について、以前より理解を深めていだだくことはできたでしょうか?

※「フィードバック」について
ニューズレター第133号:フィードバックの仕方で、こんな間違いしていませんか? では、「Lフィードバック」「Sフィードバック」「コメント」の区別について、事例を示してお伝えしておりました。下記では簡単な説明に止めておりますので、詳細についてお知りになりたい方は、第133号でご確認ください。

  •  「小文字のfで始まるフィードバック」(Small-f feedback;以下、「Sフィードバック」と略)= 五感情報描写(Sensory-based description)。何らかの評価を含む描写と異なり、直接観察可能な情報や、五感を用いて検証可能な情報、実証可能な"見る-聞く-感じる"といった言語のみに基づく描写。あるいは、その場で起きている(可能な限り)客観的な事実、「鏡」のように、中立的にありのままの状況を目撃して伝える出来事・他者像情報を指す。
  •  「コメント」(Comment)= 解釈・評価に基づく描写。意見、判断、先入観や仮定に基づく批判、自分の考えの押しつけ、その場で起きていて欲しい事柄(主観的な願望・理想像)や現状とのギャップ、自分の信念・期待・意図・歴史などといったフレーム(物の見方、切り口)から観た出来事・他者像情報などを指す。
  •  「大文字のFで始まるフィードバック」(Large-F Feedback;以下、「Lフィードバック」と略)=「小文字のfで始まるフィードバック」、「コメント」、「コミュニケーション目的に合った適切な質問」などが組み合わさった情報を指す。

近年では、fMRI(機能的磁氣共鳴画像診断装置)やPET(陽電子放射断層法)などに代表されるような各種「脳機能イメージング法」の発展・普及により、大脳の約7割が視覚情報の処理に関わっていることが知られるようになっています。 今回お伝えしてきた「図解しながら対話を進め、共に考える」というプロセスでは、話し手がもたらす言葉という形式の情報を図形・空間情報という視覚情報に置き換えることによって、視覚情報を処理するとされる脳の広い範囲を刺激し、さらに手を動かして図解することによって運動野も刺激するということを行っています。 さらに、対話を通して複数(2人以上)の脳を用いることで、対象とする課題についての理解を深めたり、問題解決のための発想力を高めたりすることにつながるというプロセスであり、まさに、「改善」を超えた「変革」をもたらすのに適したアプローチではないかと考えています。

さて今回は、「『図解フィードバック』と『話し言葉という線形情報』」というタイトルで、「コミュニケーション時に図解を多用するとどんな効果が期待できるか?」といった切り口について、言葉だけを用いた対話(例:電話コーチング)と比較しつつ、弊社なりの考えをお伝えして参りました。あなたはどんな印象をお持ちになり、何をお考えになるでしょうか? あなたの「QOLの向上」にとって、何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

【 お忘れなく! 】
冒頭でもお伝えした通り、合同会社5W1H流「コーチング学習プログラム」【早期割引】期限が9月16日(月・祝) までと近づいてきています。今回の話に興味をお持ちの方々は、是非、こちらから、詳細情報を確認なさってみてください♪

P.S.1
号外でお伝えしていた、「フレームワーク質問力」研修のアンケート結果は、もうご覧いただけましたか?

弊社は小さな会社ですが、大学生や主婦・中小企業・大学の方々ばかりでなく、ありがたいことに、複数のフォーチュン・グローバル500企業様ともお取引きさせていただいております。今回は、医薬品の研究・開発・製造・販売を手掛け、製薬・バイオテクノロジー関連で世界有数の実績を誇る某外資系企業で実施した「フレームワーク質問力」研修のアンケート結果について、公開の許可を頂戴しましたので、ニューズレターをご購読のみなさまにもシェアさせていただきます。

良い面も悪い面もそのままの形で掲載しておりますので、「フレームワーク質問力」研修の導入に興味をお持ちの企業の方(大企業の人財育成担当のみなさま、中小企業の経営者のみなさまなど)は、下記リンク先より、じっくりと内容をご確認くださいませ。

●アンケート結果は、こちらからご覧いただけます。

【補足】「フレームワーク質問力」研修の実施につきましては、業種・業態・企業規模・受講者の階層・地域などに関わらず、ご相談に応じております。研修実施の際には、組織や受講者のニーズに合わせてテキストの例文を変えるなど、カスタマイズさせていただいております。ご興味をお持ちの方は、こちらから、お氣軽にご相談くださいませ。

P.S.2

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