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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

きちんと「失敗率」を高く保っていますか?(第138号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

今回は、「『失敗=悪いこと』という考え方と『失敗=良いこと』という考え方のどちらが正しいのでしょうか?」と尋ねられたのを幸いに、「失敗」についての現在の私見をご紹介していこうと思います。ご興味をお持ちの方は、どうぞ読み進めてください♪

 

失敗は、悪いことか、良いことか?

『失敗=悪いこと』という考え方と『失敗=良いこと』という考え方のどちらが正しいのでしょうか?」と尋ねる人がいた場合、「フレームワーク質問力®」で学んだ方からは、状況によっては、例えば、次のような「質問」が出てきそうです。

  • 人や組織によっては、「失敗というものは存在せず、成功か、学びの機会しかない」という考え方を採用している場合があります。「失敗」というものの存在を認めることは、○○という目的の実現にとって、あるいは、どういう役割の誰にとって、どういった利益がありますか?
  •  「どんな状況においても、『失敗=悪いこと』あるいは『失敗=良いこと』という固定的な評価がある」(評価は状況に左右されない;評価は二択である)という前提を採用することは、あなたにとってどういった便益をもたらし、どんな機会を失わせていますか?
  •  ここで言っている「正しい」というのは、どういった判断基準に基づく評価なのか教えていただけませんか?
  •  「どちらが正しいか?」(=正しい選択肢を選びたい)と、「目的達成の『手段』に関心をお持ち」ということは、少なくとも今回の○○に関しては、「目的達成のためには手段を選ばない」という姿勢は受け入れられないと考えておられるように推察しています。こういった理解でよろしいでしょうか?
  •  「失敗」を一括りで捉えて議論することは、目的達成のために適切あるいは有効でしょうか? もし、「失敗にも種類がある」と考えることを選ぶなら、これまでと比べて、どういった違いが生じそうでしょうか?

多くの場合、「AかBか?」と質問されると、どちらかを選ばなくてはならないと思い込んでしまいがちなものですが、「フレームワーク質問力®」では、ブレイクスルーやイノベーションを望むのであれば、クリティカル・シンキング ≒ 厳密かつ建設的な思考(法)」(シビアかつポジティブな考え(方))が大切とお伝えした上で、上記質問に例示されるようなアプローチを推奨しています。

あなた(が所属されている組織で)は、「失敗」について、どういった目的の下で、どういった定義・評価の仕方を採用されているでしょうか?

 

非難される失敗と称賛される失敗

ここでは、あなたの発想を刺激するために、前段でお示しした質問例の中から、「失敗にも種類がある」という考え方について、図表1でご紹介しようと思います。

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図表1:一連の失敗原因
[ 原出典:Edmondson, A.C. “Strategies for Learning from Failure,” Harvard Business Review 89, no.4(2011) を合同会社5W1Hにて改変 ]

変化促進研究会」(C研)でも取り上げていましたが、図表1をご覧になってもわかるように、失敗には、飛行機の操縦時や外科手術時のように「あってはならない失敗」「事前に阻止可能な失敗」の他にも、新規医薬品の創製時や(コンビナトリアル材料科学における)適切な物質・材料の高速探索時のように「競合より速く学習することが大切」だとして「奨励される失敗」もありそうだということに氣づかれたのではないでしょうか。

「失敗=悪いこと」か「失敗=良いこと」かなどと、「失敗」を一括りにして考えて不毛な議論を繰り返すよりも、「失敗には種類があり、私(たち)は、こういう目的の下、こういう基準で失敗を区別して対応している」といった姿勢でいることの方が、「この失敗の責任は誰にあるのか?」ばかり考えているより、(自分あるいは関係者にとって)よっぽど利益が多くはないでしょうか?
※また個人的には、「天然ボケ」と称されるような、想定外の発想・言動は、ブレイクスルーやイノベーションを生み出すきっかけともなりうる有用な情報(天才的な失敗!)であることが多いように感じています。 天然ボケと見なされるような人財は、「組織の宝」となりうる存在かもしれませんので、是非、真摯に向き合ってみてはいかがでしょうか。

「失敗」というレッテルを一時的な評価とするか永続的な評価とするか、後になって振り返って「学びの経験」「話のネタ」とするかは自分(たち)次第であり、その状況をどう乗り越えたかは、オリジナルの「ノウハウ」であり、「繰り返し失敗を乗り越えてきた」=「その都度、独自のノウハウを創出してきた」と解釈するのはいかがでしょうか?

 

失敗がない = 安心領域に留まっている
= 外界の変化に追いつけない…?

前出のC研テキストでは、「『許容可能な失敗率』として、バイオテクノロジー関連企業などでは90%以上かもしれないといった話」が紹介されていました。 「革新的な仕事」(そして多くの「複雑な仕事」)に従事している人・組織であれば、これくらいの数値が当たり前かもしれませんね。

かつて、IBM 2代目社長を務めたThomas Watson Jr. は次のように語ったとされています。

「進んで失敗しようとしない限り、イノベーションの創出に向けて本当に全力を傾けているとは言えません…成功するための最速の方法は、あなたの失敗率を2倍にすることです。」

[ 原出典:R. Farson and R. Keyes, The Innovation Paradox: The Success of Failure, the Failure of Success (New York: Free Press, 2002)]

「みなさんのグループは、失敗するように構成されている。失敗から立ち直る秘訣は、早く失敗して、早く修復することだ。」――INSEAD のPeter B. Zemsky教授

INSEADでは、各種専門分野について学ぶだけでなく、コミュニケーション能力や効果的なチームワークについて学ぶことを目的として、グループ演習に力を入れていることでも有名です。

先日の合同会社5W1H流「コーチング学習プログラム」のDAY8では、ある演習の振り返り解説時に、失敗について次のようにお伝えしていました。

もし私が、誰かから「お前、明日、歯を磨けよ!」と言われたとしても、「わかった。磨くよ。」と思うくらいで、「不安」などは感じません。 なぜなら、「自分は歯を磨くことができる」とわかっているからです。 私にとって「歯磨き」は、「安心領域」(快適で安全で守られていると感じられる領域; 慣れ親しんだ環境や習慣; 既に自分が熟知している従来の世界など)の範疇にある事柄なのです。 人や組織の変化・成長を促進するコーチングでは、こういった「安心領域」から一歩踏み出してみようと試みることの支援も行います。 「安心領域」から抜け出そうとする過程では、「成功」することも「失敗」することも両方ありえます。 逆に言えば、「成功」するとわかりきっている事柄にしか取り組まずにいては、「未知の世界を開拓し、安心領域を広げていく」という成長が期待できません。 外の世界の変化が激しいときに、自分(たち)がまったく変化せずにいる場合には、自然淘汰されてしまうかもしれません。 外界の変化よりも格段に速い変化を起こすのも問題かもしれませんが、それでも、「外界の変化より半歩速いくらいのスピードで、自分(たち)が変化を起こしていこう、変化していこう」と心掛けるのが、少なくともサバイバル戦略としては健全なのではないでしょうか?

ニューズレター第134号では、「『ムダをさせない』『失敗もさせない』といった『効率至上主義』では、人財が育つわけがありません。」と書いていました。 併せて、第126号でご紹介していた「『正解がある問題』には『鉄道型のアプローチ』、『正解がない問題』には『四輪駆動車型のアプローチ』」といった話や、第109号の「正解がない時代に適した学習の種類、思考方法」の話も思い出していただければ幸いです。

あなたは、「失敗しない ≒ 外界の変化に取り残される」といった考え方について、また、「目標の1つに『高い失敗率』を掲げ、速く学び、速く成長することを目指せ!」といった考え方について、どのようにお感じでしょうか?

何か新しいことを学ぶ際にも、失敗すること、あるいは、恥をかくことを恐れて、貴重な学びの機会を活かせない方がいらっしゃいます。 一度も転ばずに自転車に乗れるようになることや、一度も息継ぎに失敗せずに泳げるようになることを目指すというのは非現実的ではないでしょうか? 「周囲の目を氣にせず、安心して学べる場」があるのであれば、第133号でご紹介していた「質問・支援型マネジメント」の手法としてのコーチングや「フィードバックとコメントの違い」などについて学びたいという方々向けに、そういった場をご用意いたしました。

利害関係のない学習仲間を相手にどんどんコミュニケーション上の「失敗」を冒して、その経験から「実践的にコーチングというコミュニケーションを学ぶ」機会として、コーチングの練習機会としてご活用いただければ幸いです。

さて今回は、「『失敗=悪いこと』という考え方と『失敗=良いこと』という考え方のどちらが正しいのでしょうか?」と尋ねられたのを幸いに、「失敗」についての現在の私見をご紹介して参りました。 あなたはどんな印象をお持ちになり、何をお考えになるでしょうか? あなたの「QOLの向上」にとって、何か少しでもお役に立てれば幸いです。
それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

P.S.1

コミュニケーションの目的に適った質問を選んで組み立て、自分(たち)が取り組むべき課題について改めて深く理解し、物事をこれまでとは異なる側面から考えることを通して、関係者が無意識に受け入れている制限を明らかにしたり、対話を通して多角的な物の見方をしたりするようになる。従来の延長線上にない解についても探求するようになり、目的達成・問題解決・意思決定・新しい手法の学習などを効果的に行えるようになる。

といった変化・成長を起こすことを支援する「フレームワーク質問力®」に興味をお持ちであれば、是非、下記ウェブサイトから詳細をご確認ください♪ 
一般向け公開セミナーへの参加を検討されている方向け情報
企業研修のご依頼を検討されている方向け情報

P.S.2
図解の多用を勧め、クリティカル・シンキングと対人スキルを同時に学べる「コーチング」プログラムをご用意しています。あれこれ雑多なモデルやスキルを紹 介して終わりのプログラムとは異なり、さまざまな要素が体系化されており、スッキリ学べます! 先送りせず、是非、今すぐ詳細をご確認ください♪
合同会社5W1H流 「コーチング学習プログラム」

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