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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

「影響力の輪」の内側 or 外側?; 「知識―○識―△力」?(第130号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

今回は、前号「欧米の人財育成を学ぶのは、欧米のマネをするためではない」で省略していた箇所(「人財育成に関する実力は、優れた『手法』の開発・標準化に限らない!」と書いていた部分)について、補足したいと思います。

まずは、「インターネットの普及などによってコモディティ化した知識に『価値』はあっても『付加価値』はない」という話の補足から始めます。

 

「やりっ放し研修」では、知識を活かす「○識」や「△力」が身につかない

「知識」を身につけただけでは、単なる「物知り」「雑学博士」に過ぎず、さまざまな形で情報の検索や知識の入手が容易になってきている現代では、知識に「価値」はあっても、その「付加価値」は低下してきているように思います。

また、「知識」自体も、「言われればわかる、知ってはいたのだけれど」という「受動的な知識」や「認識・記憶している知識」では価値が低く、「運用・適用できる知識」にまで消化しておくことが大切であり、さらに言えば、「運用・適用できる知識」を持っていたとしても、それだけでは、「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織とは限らないと考えています。

つまり、いくら知識を持っていても、それだけでは、「物事を主体的に変えて行く力」(信念に基づく決断、前向きな姿勢、主体的な行動力、断られても障害があっても失敗してもめげない実行力、臨機応変の柔軟な対応力、関係者を巻き込む影響力、暴れ馬のような人財を名馬のような人財に育てる器量…など)にはならないということです。

確かに、知識が豊富であれば、対象とする問題について、さまざまな切り口からの解釈が可能となります。しかし、「いろんな見方があるよね」と言っているだけでは、目的の達成も問題解決も意思決定もできないわけで、例えば「○○のために、こうありたい!こうしよう!」といった「判断」を、意思決定者(グループ)の信念・価値観・経験・人格・教養などから生まれる「見識」(鋭い判断力に基づく優れた見解・意見)に基づいて行うことが求められるのではないでしょうか?
…この辺りのところが重要だとして用意しているのが、視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力を育みたい人のための「教養醸成の会」や、「状況に対応しつつ学習する能力」の根幹を成す「フレームワーク質問力」(法人向け)(個人向け)、課題設定力を養う!合同会社5W1H流 「コーチング学習プログラム」などということになります。

ところが、日々の対症療法的措置の繰り返しに疲弊し、他者からの率直な意見すら批判・悪い評価だと捉えてしまうような「自己防衛意識が高い状態」にいる人々(部署、部門、組織など)は、中長期的視点や高い視座について理解する余裕がなく、「自他共栄の心」から繰り出される「判断」や「見識」を受け容れるのに困難を覚えたり、時には、非協力・妨害・抵抗・離脱などといった反応を起こしたりする場合が出てきます。

そうした場合には、「異見」(多様性)を目的の達成に向けて束ねたり、「コンフリクト」を創造的な摩擦と捉えて適切に対応したりする中で、物事の進め方などに関して微調整を行いつつも、「○○のために、こうありたい!こうしよう!」という当初の「見識」の実現に向かっていく「胆力」(恐れず臆しない氣力、度胸)、粘り強い「実践力」が大切になってくるのではないでしょうか。
…この辺りのところが重要だとして用意しているのが、「コンフリクト・マネジメント入門」や、マネジャーの「徹底的コミュニケーション」学習プログラム:「リマインド」シリーズ、弊社代表の高野をコーチとして活用する「コーチング」などということになります。

例えば、上述のような「知識―見識―胆力」いったモノの見方を「人財育成」に適用することを検討されるのであれば、「効率重視で無駄のない研修体系・シミュレーション」「研修フォローアップ」「OJT」「コーチング」「メンタリング」「組織開発」などを、どんな目的のために、どのように組み合わせて用いればいいのか、あるいは、自社では人財育成しないこと(次々に即戦力となる人財を雇っていく手法、外部パートナーとの提携を進める手法ほか)を選ぶのか、などについて、経営方針や事業計画と綿密に照らし合わせて考えることが重要となります。

このように見てくると、恐らく、「効率重視で無駄のない研修体系・誰の腹も痛まないシミュレーション」のやりっ放しを繰り返すだけで、「見識」や「胆力」の高い人財が生み出せると考える人・組織はないのではないでしょうか?

どんな人財を育成するにも最適な方法」というものが、まるで「磨き抜かれたダイヤモンド」のようにどこかでキラキラ光っているのであれば、すでに誰かが見つけていてもおかしくないのではないでしょうか。そして、もし、そういった「万能薬的な正解」(磨き抜かれたダイヤモンド)が一度発見されてしまえば、試行錯誤や苦心を重ねてそれを探し求める人・組織はなくなっていそうなものだと、私は思います。

その時のその人、その時のその組織にとっての最適な人財育成の方法というのは、むしろ「泥土の中に眠っている、色や品質にムラがあるダイヤモンドの原石のようなもの」であると捉えた方が適切ではないでしょうか。私は「どこかに眠っている、磨かれ終わって輝いているダイヤモンド」を探そうとするのではなく、「知識―見識―胆力」いった切り口にも配慮し、所属組織独自の経営方針や事業計画と照らし合わせた上で「人財育成」について考えることが現実的で重要だと考えています。
…事前にROI(投資収益率)が適切であることが「他の人、他の組織の場合に検証された」とされる”着実な”方法でもって、無駄なくスマートに人財育成をしようとされてきた試みが、これまでにどの程度の成功を収められたのか、一度検証されてみてはいかがでしょうか。

経営者や人財育成担当部門・部署には、泥土にまみれている原石を探し出し、輝きを放つダイヤモンドにまで磨き上げる決意を持って、独自の人財育成の仕組みを浸透させ、そのプロセスに日々の「手入れ」をしていくことが求められているのではないでしょうか。

前号でご紹介していた、「人財育成に関する実力は、優れた『手法』の開発・標準化に限らない!」という表現に込めていた意味について、改めて検討していただければと思います。

 

人財育成と「影響力の輪」

「人財育成に関する実力は、優れた『手法』の開発・標準化に限らない!」という表現に込めていた意味について、また別の切り口からの話です。今度は、人財育成の「影響力の輪」という視点に立って考えて行きましょう。

有名な「影響力の輪」という概念について、図表1を見ながら思い出してみてください。

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図表1:「影響の輪」と「関心の輪」
(出典: 「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー著に基づき、合同会社5W1Hにて改変)

この概念で大切なことは、「『関心の輪』に変化をもたらしたければ、『影響の輪』に働きかけよ」というメッセージ、すなわち、「『他者』(関心の輪)に変化をもたらしたければ、『自分』(影響の輪)が先に変化せよ」ということ、ではないでしょうか?

そう解釈すると、弊社主宰の「夜の勉強会」参加者有志で翻訳し直した書籍「メタ・コーチング」で、ピーター・センゲ氏の「人々は変化に抵抗しない。変えられてしまうことに抵抗しているのだ。」という言葉が紹介されていたのを思い出します。
…2013年1月19日(土)にスタートする、合同会社5W1H流「コーチング学習プログラム」の第8日目では、コーチングを実施する人が知っておくべき「変化のレベル・モデル・メカニズム」について扱い、「相手を変えようと働きかけると、それに氣づいた相手は、これまでの自分を否定されたり無理やり変更されたりするのを避けようとして自己防衛的になり、今まで以上に頑なに変化を拒むようになる」といったヒトの性質について知った上で、どのようにコーチングを行っていくのかについて学んでいきます。

図表1を「人財育成」に当てはめて考えると、例えば、図表2のようになります。

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図表2: 「他者」に変化をもたらしたければ、「自分」が先に変化せよ

 

前段では、「経営者や人財育成担当部門・部署には、泥土にまみれている原石を探し出し、輝きを放つダイヤモンドにまで磨き上げる決意を持って、独自の人財育成の仕組みを浸透させ、そのプロセスに日々の『手入れ』をしていくことが求められているのではないか」と問題提起していました。

改めて、図表2を見て考えてみてください。「相手が本氣にならないのは、自分が本氣になっていないから」ということはないでしょうか?「細かく指示しないと部下が動かないのは、細かく指示せずに部下に任せたことがなかったから」ではないでしょうか?「部下が上司を信頼しないのは、上司が部下を信頼してこなかったから」ではないでしょうか?「相手が情熱を持って主体的に動かないのは、あなたが淡々と機械的な指示を与えてばかりだったから」ではないでしょうか?「相手が同じ間違いを繰り返すのは、あなたが経験から学ぶ支援を怠ったから」ではないでしょうか?…

歴史を振り返ると、「優れた理念やヴィジョンが登場するだけでは、変革が起こらなかった」ことに氣づきます。社会の大きな変化というのは、「人々が優れた理念に出会って、自然に突き動かされたのではなく、多くの人が『その理念を体現する人』に共感を覚え、その人のためにも変わろうとして起きた」のです!

すなわち、人は、「理念を体現する/しようと努力する人」の普段の言動・態度、公に発信した情報などに触れて、その人あるいはその人の話を受け容れるかどうかを「事前に」決めているということです。ですから、いくら能力が高くても、いくら過去の実績が素晴らしくても、相手がその人の普段の言動などに共感を覚えたり、納得していたり、敬意を感じたりしていなければ、その人の影響を受け容れようとはしないのです! このように考えると、「何かお願い事をするときだけ、『相手への接し方』のような表面的なテクニックやスキルを発揮して相手に働きかけても効き目がない」といった状況が発生する理由がわかっていただけるのではないでしょうか?

人財育成担当者の方、経営者の方! あなたは、関係者に影響を及ぼす、ご自身の普段の言動や態度について、どのように評価されるでしょうか?

 

人財育成と「課題設定」

さて、続いては、人財育成の「課題設定」という視点に立って考えて行きましょう。図表3は、上述の「影響の輪」の考え方を適用して実施したS社の会議内容(ファシリテーター役:高野)を簡略化して示しています。(これらは、S社の状況の下で成り立つ話であり、他の組織にも普遍的に成り立つ内容ではありません。あなたの思考を刺激するための事例としてご覧ください。)

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図表3: 人財育成の「課題設定」
~自組織に適切な「目的」と「手段」を探求する~

(図表3の話を進める過程では、「課題の適切な設定」を重視する弊社流「コーチング学習プログラム」でお伝えしているアプローチを用いました。)

最初から「自律型人財/自立型人財を育成しよう」という課題を設定すると、ニューズレター第99号の「ダブル・バインド」の項でお伝えしていたような問題が発生してしまいがちです。ところが、図表3のS社の例のように、例えば「組織の長期的繁栄を可能にする姿勢を持った人財を継続的に輩出するには?」といった課題設定を行って議論を進めると、今後の取り組みの副次的効果(※)として「自律型人財/自立型人財が、勝手に育つことが期待できそうだ」と、S社の会議参加者は納得されたようです。

※副次的効果
副次的効果とは、事前に予測していなかった作用・結果を指し、副作用とも呼ばれる。実際には、複雑に絡み合った「複数の因果関係」に関する理解が足りていないという状況(しばしば直感に反するような結果ももたらされる状況)を表現しているに過ぎない。複雑な事象を扱う際には、原因と結果が、時間的にも空間的にも離れていることにも注意を払うよう求められる場合がある。目的達成や問題解決の支援を行うコーチングでは重要であるため、弊社流「コーチング学習プログラム」では、第10日目の「システム思考の基礎と図解」で触れている。

さて、図表3の内容を踏まえた上で、あなたが所属される組織の課題は、適切に設定されていそうでしょうか?「目的」と「手段」は合致しているでしょうか?是非一度、確認なさってみてくださいね。

今回は、前号「欧米の人財育成を学ぶのは、欧米のマネをするためではない」で省略していた箇所(「人財育成に関する実力は、優れた『手法』の開発・標準化に限らない!」と書いていた部分)についての補足ということで、人財育成に関する「知識―見識―胆力」という切り口、「影響力の輪」という切り口、適切な「課題設定」という切り口について紹介して参りました。

人財育成に携わっておられる方は、次々に現れる「人財育成の『手法』」にばかり目を向けるのではなく、是非、前号でお伝えした「『動的なモノ』を重視し、『自分の力、組織の力』を高めるための取り組み」(「フレームワーク質問力」や「弊社流コーチング」など)の有用性・可能性と併せて、今回ご紹介した内容を、あなたが所属されている組織の人財育成を考える上での参考にしていただければと思います。

また、弊社Facebookページでは、2012年11月01日の投稿:「『グローバル人財』の『信頼性』と『信頼感』」の中で、弊社提供サービスについて次のようにご紹介しておりました。


合同会社5W1Hでは、「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織を増やしたいと考え、下記のような人財の育成および、こういった人財で溢れた組織を増やすさまざまな支援を行なっています。

  • 世界のどこに行っても、どんな業界に行っても、どんな状況になっても、さまざまな制約条件がある中で、必要な情報を集め、知恵を絞り、実際に行動して、たくましく生き残り、素晴らしい成果を上げる人物
  • 自分なりの世界観・歴史観・人間観に根ざした考え方を持ちつつも、氣負わずに等身大で自己表現でき、それでいて、周囲に幅広く意見を求め、価値観・信念の違いを超えて一緒に対話・協働していこうと相手に感じてもらえる人物
  • 多様な考えの化学反応を促進することで、適切な課題を設定し、目的達成に向けて、関係者を巻き込みつつ、目の前のことに、とことん一生懸命に取り組める人物

今回のニューズレターをお読みになって、弊社の「人財育成コンサルティング・顧問サービス」に興味をお持ちいただけた場合には、ウェブサイトで公開している情報をご確認の上、お氣軽にお問い合わせくださいませ。

また、向上心の高い個人の方向けには、年末年始(12月31日~1月3日)も、弊社代表高野によるコーチングをご利用いただけます。まずは、「弊社流コーチングを体験」してみたいという方には、「スナップショット・セッション」があり、年末年始に短期間に集中してコーチングを利用したいという方には、通常のご契約価格よりも30%OFFの「向上心旺盛な方向け支援価格」にて、ご利用いただけるようになっています。年末年始に集中してコーチングの利用をご希望の方は、日時などについて、こちらからお氣軽にご相談ください。(12月31日~1月3日のコーチング実施は、東京駅近辺の会場を利用する予定です。)

あなたは、今回の内容をお読みになって、「ご自身が所属されている組織の人財育成」について、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか? 何か少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

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