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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

申込時の「同意事項」の裏側:オープン・イノベーションと知的財産権(第119号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

今回は、先日のセミナーに参加されたTさまからメールをいただいたことをきっかけに、弊社主催の各種セミナー・イベントには、「5つのルール」に同意していただける方にのみご参加いただけるよう「申し込みフォームが変更になった」という話と、その背景にある、弊社の考えをご紹介しようと思います。

 

「わかる」止まりで満足していては、事態は変わらない!

企業研修を実施させていただくと、研修参加者(受講者)の中に、所属組織/部門/部署の代表として参加し、「研修内容・配布資料といった『コンテンツ』について理解し、研修終了後、所属組織/部門/部署/プロジェクト・チームの関係者に、そのコンテンツ(情報・知識)を伝達・共有すること」を目的とされている方がいらっしゃることに氣づく場合があります。

すなわち、受講者の中には、「自分自身の課題解決に、研修内容を活用すること」「自分あるいは所属組織に望ましい変化をもたらすこと」などではなく、「傍観者として参加し、所属組織にとっての忠実な『参加報告』者であること」「(自分が変化することではなく)現場に戻ってから自分が講師役となり、研修のダイジェスト版を関係者に披露して見せること」などを目的として参加されている方、「知識の習得(できる)よりも、知識の獲得(わかる)を重視している方」が見受けられるということです。

これは非常に残念なことです。例えば、数学の「例題解法を読んで、公式の使い方がわかった」段階(わかる段階)で、学ぶのをやめてしまい、「応用問題」「発展問題」はもちろん、その手前の「練習問題」すら解く力がつかない(できる段階に至らない)のでは、あまり意味が無いように思うのは、私だけでしょうか?「これは知っている、それも知っている、あれも知っている。だけど、自分では何もできない。」という人間を増やすために、企業は研修参加のコスト(時間、費用、その他)を容認するのでしょうか?

(特に、実学分野の)知識は活用して/活用できるようになって初めて生きてくるのに、知識を得ただけで満足してしまい、それ以上の学びをやめてしまう。それも、本人だけが自ら選んで「わかる」段階で学びをやめるのであればまだいいのかもしれませんが、現場に戻って「参加報告」を行うことによって、実際に学びの場(ここでは、研修)に参加していない関係者にまで、「知識を得ただけで、満足感を覚え、『できる』ようになるまで学ぶ意欲が減退する」といった影響を及ぼしてしまうのは、大きな問題ではないかと私は考えています。あなたは、どのようにお考えでしょうか?

 

無料ニューズレターと知的財産権法の遵守

モバイル端末をはじめとする各種機器の普及と、研修現場における安易な活用が、上記のような私の問題意識を強めています。ここで言う「安易な活用」というのは、例えば、ノートを取らずにホワイトボードの写真を撮って、あるいは、講師の話を集中して聴かずに録音しておいて、「後で、学ぼう」とする姿勢(検索可能な対象として電子ファイルを保存しておきさえすれば、今、この知識を血肉にしておかなくてもいいだろうという姿勢)を助長する行為を指しています。(無許可の撮影や録音は論外です。)

こうした、受講者の「学習効果」といった観点のみならず、「知的財産権の軽視」といった観点からも、私は、上記のような傾向は問題であると考えてきています。個々の受講生への対応は、必要に応じて、その都度、講じて来たつもりでいますが、Tさまからのメールへの回答をきっかけに、研修等の実施の前段階で、弊社としての姿勢を明示的に打ち出し、受講生に事前の同意を得ておくことが重要ではないかと考えました。その最初の取り組みとして、弊社主催の各種セミナー・イベントには、「5つのルール」(録音・録画の禁止、「参加報告」時の著作権法遵守など)に同意していただける方にのみご参加いただけるよう、申し込みフォームの変更を行いました。(研修などを実施させていただいている企業様などには、順次、この旨のお知らせを差し上げていくことを予定しております。)

以下、Tさまのご了承をいただくことができましたので、高野からTさまへの回答メール文面の一部を、ほぼそのまま転載してご紹介いたします。(Tさまは、某企業の経営企画と人財育成を担当されているマネジャーの方で、これまでに2度お目にかかっています。そのためもあって、通常のニューズレター文面よりも砕けた調子になっている部分もありますが、ご了承ください。)


(前略)
> ついでに、QOL向上のヒントなんかもぱらぱら拝読させてもらっていますが・・・・
> フリーのニューズレターでここまで詳しく書いていいの?って感じで、感動してます!
(中略)

ニューズレターをご活用いただき、ありがとうございます。

第103号では、「『監督官庁からの指導』などよりも重みがあり、『法的拘束力の強い法律』によって守られているものが『著作物』である」と紹介しておりました。

さらに、第112号の※1と※2などをご覧いただければ、各種セミナーなどへの「参加報告」なども、やり方によっては「著作権侵害」に当たることがご理解いただけるかと存じます。
…日本ではまだ認識が浅いですが、実は、結構重い犯罪行為となるのです。詳細については、上述の第103号でご紹介しております。

フレームワーク質問力」の商標登録の例もありますし、弊社では「知的財産権」の法令遵守について、厳しい姿勢で当たろうとしていますが、同時に、多くの研修会社などとは、少し異なる考え方を持っていることを、特に、Tさんのような立場の方にご理解いただければと考えております。

弊社では、次のような考えを持っています。

  •  「出し惜しみ」をしていては、相手に伝わる。それよりは、弊社が、「汲めども尽きぬ『知』の泉である」などと認知してもらった方が、まっとうなビジネスを展開する上では、何かと都合が良い。
    …実際、夜の勉強会・朝の研究会・月に一度の練習会などでは、公の文章として残せない業界裏事情など、ニューズレター以上の情報が飛び交っていたりします(笑)し、それ以上に、コーチングやコンサルティングといった場面で「知識を運用する能力」や「知識から付加価値を生み出す能力」を目の当たりにしてもらうことで、弊社への信用が高まったりしているように認識しています。
  • まともな人/組織では、知識や統計データ等の出典を確認しようとするため、インターネット検索をすれば、(配信日が明記されている)弊社のニューズレター記事が元ネタ(オリジナル)であることがわかる。
  • 第117号でお伝えしていた図表1中の「運用能力」を実際に身につけること(←「静的な知を増やしても、物知りになるだけで、賢くはなれない」のだから)を重視している。
    …現状、多くの講師・研修会社では、(コンテンツを、面白く、わかりやすく)「伝える」ことを最重視しているような観がありますが、誰でもネット検索などが可能な今の時代では、それは、コア・コンピタンス(他社にはない強み/一朝一夕には真似できない、圧倒的な強み)にはならないのではないかと考えています。無料動画配信なども当たり前な時代には、講師・研修会社こそ「動的な知」(第117号)を活用すること、「コンテクストに合わせて、縦横無尽に知識を活用できる人・組織」を育成することを重視しなければならないのではないかと考えています。(業界に一握りのプレゼンテーション上手がいて、学習者がITを活用できれば、再生・共有・複製などが容易なコンテンツを「伝える」ことが可能となるため、決まったコンテンツを繰り返し再生するだけで状況対応能力の低い「研修講師」は不要になっていくのではないでしょうか?だからこそ、講師や研修提供会社などは、「決まったコンテンツを伝える」以外の部分で付加価値を生み出していく必要があるのではないか?と、私は考えています。)

上記のように、弊社では、「7つの習慣」で言うところの「P/PCバランス」(…「ガチョウと黄金の卵」の話;P=黄金の卵に相当する「目標の達成」/PC=黄金の卵を生むガチョウに相当する「目標達成する能力」)の内、どちらかと言えば、PC(目標達成能力)の向上を重視していることもあって、無料のニューズレターで、あれこれ情報公開しても構わないと考えていること、ご理解いただけるようであれば幸いです。

以上、長くなって恐縮ですが、「知的財産権」の保護に配慮しつつ、「P/PCバランス」で言うところの「PC」を重視している弊社の姿勢についてご紹介いたしました。
(後略)


 

知的財産権を遵守しつつ、オープン・イノベーション志向を促す「特殊解」を探求する

2003年に、ハーバード・ビジネス・スクールのチェスブロー氏(Henry William Chesbrough)によって提唱された「オープン・イノベーション」(open innovation)という概念は、2008 年にOECDが開催したシンポジウム「Open Innovation in Global Networks」でも8つの定義が併記されるなど、チェスブロー氏の企業経営戦略に特化した概念を超えて、さまざまな場面で用いられるようになってきています。(例:科学技術分野の研究開発システムについて語る際には、「中央研究所時代の終焉」という表現の代わりに「オープン・イノベーションの時代」という表現が用いられるようになっています。)

そのため、文脈に応じてオープン・イノベーションの定義を変えて使わなければならないと思うのですが、これは少なくとも、「単に情報をオープン(公開)にすればよい」といった程度の内容を指すのではなく、「特定市場・領域における自組織/他組織の強み・弱みを知り、自組織ですべてのリソースを抱え込もうとせずに、積極的に他組織の優れた人財・機能・製品・サービスを取り込んでプロジェクトを成功させていこうという柔軟な姿勢」を指すものだと、私は解釈しています。

※参考 「国際半導体技術ロードマップ」(ITRS)
競合企業どうしが、個々の企業戦略を超えて、オープン・イノベーションを推進した例として、ITRSの話を思い出された方もいるのではないかと思いましたので、補足しておきます。この話は、1980 年代の日本の半導体メーカーの圧倒的な競争力に対抗するために、米国が 1987年 に半導体コンソーシアム(SEMATECH:Semiconductor MAnufacturing TECHnology Consortium)を創設し、オープンな企業間協力(非競争領域でのオープン・イノベーション)を推進したことが発端となっています。その動きが、1992年には、半導体技術ロードマップ (NTRS:National Technology Roadmap for Semiconductors) に発展し、その後さらに、日本に対抗するための、韓国・台湾のベンチャー企業との国際水平分業(オープン・イノベーション)へとつながり、1997 年には、世界の関連企業を巻き込む国際半導体技術ロードマップ(ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors)として結実しました。

自前主義・秘密主義に慣れた日本企業が、世界的なオープン・イノベーションの潮流に取り残されないようにするため、また、企業が社外のリソース(アイディア、技術、施設、人脈ほか)を有効に活用する一方で、自社のリソースも他社に活用してもらい、イノベーションの価値を高めていくためには、今のところ、「一般解」(前提条件が代わっても通用する、普遍的な答え)はないようです。

弊社では、上記でご紹介したメール文面のような考え方を、関係するみなさまにご紹介した上で、どういった形で研修資料の取り扱いや研修参加報告のガイドラインを設け、「オープン・イノベーションと知的財産権法の遵守を両立」させていけばいいのか、また、第118号でご紹介していた「倫理」「誠実さ」「価値観」について、関係者はどのような共通認識を持つことが大切なのかといった事柄について、ダイアローグを進め、「特殊解」(前提条件に応じて変化する答え)を共に探求していくことが大切ではないかと考えるようになりました。みなさん、あるいは、みなさんが所属されている組織では、これらについてどういったお考えをお持ちでしょうか?

 

今回は、「P/PCバランス」の「PC」を重視している弊社の姿勢の話や「オープン・イノベーションと知的財産権法の遵守を両立」の話について書いてきて、大学・大学院時代の恩師が、「弟子は師匠を追い抜いていかなければいけないんだ!」「追い越せるものなら追い越してみろ!」とおっしゃりつつ、ご自身が知らないことに関しては、素直に学生に教えを請う姿を見せておいでだったのを思い出しました。あなたは、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか? 何か少しでもお役に立てれば幸いです。

 

それでは、また次回のニューズレターでお会いしましょう♪

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