人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

「コーチング・スキルの概観図」@Pre-CBP、CBP(第105号)

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こんにちは、合同会社5W1H代表の高野潤一郎です。

今回は、本ニューズレター読者の方から頂戴したメールの一部と、それに対する私の返信内容を公開することで、またこれまでとは違った側面から、私のコーチングに対する考えの一端をお伝えしたいと思います。併せて、先日の号外でお知らせしたPre-CBP、CBPでカバーすることを予定している、「コーチング・スキルの概観図」についても紹介しています。ご興味をお持ちいただけましたら、この先も目を通してみてください。

 

読者Mさんからの、コーチングについてのお便り

では、早速ですが、本ニューズレターをご購読いただいているMさん(…某大手企業にて人事系の部署のトップもお勤めになった経験のある方、某コーチング・プログラムを学ばれた方)から頂いたお便りを、ご本人の了承を得て一部公開させていただきます。

【 Mさんからのお便り:一部抜粋 】

(前略)

私は、コーチングの某勉強会に参加するたびに、ある種の場違いさを感じることがあります。それは、コーチと呼ばれる集団の持つ雰囲気です。

誤解を恐れずに言うと、一部のコーチの人達は、他人の問題を深刻に考える傾向があり、ある種の異様な情熱を持って関わります。クライエントに対するかかわりが、不思議に濃厚で、妙なしつこさがあるのです。サラッとしていない。

それは、コーチングをビジネスでない、というメンバーに多いような気がします。そのような方々は、コーチングは「愛なのだ」と平気でおっしゃる。

確かに、愛はコーチングにおいて大切であることに間違いないのですが、でも「愛」だけでコーチングをすると、気分がのらなくなるとクライエントから安易に手を引いてしまうことになりかねない。そこにボランティア感覚の恐ろしさがあるのではないでしょうか。

コーチングをビジネスと堂々と言えない。でも、生活するためには仕事として成り立たせねばならない。そのようなジレンマを持っているコーチ自身がいるようでは、コーチングが一つの可能性のある仕事として拡がっていかないのです。(勿論、そうでないコーチの方もいることは付け加えておきます)

 (後略)

上記に対する高野の返信

(前略)
> 一部のコーチの人達は、他人の問題を深刻に考える傾向があり、ある種の異様な情熱を持って関わります。クライエントに対するかかわりが、不思議に濃厚で、妙なしつこさがあるのです。サラッとしていない。

この辺りに関しては、「sanity line」(…コーチなどが精神の正常さを保つために意識することが求められる、重要な境界線)という概念をお伝えすることがあります。また、コーチとしてのあり方、プロフェッショナリズムに関わる内容として、先日ご紹介していたPre-CBPでも取り上げようと考えている部分です。

また、コーチングのクライアント経験のある方の話では、「コーチングは、決まった時間でキッチリ終了させられてしまうので、トータルにサポートされていると感じられない」と発言しておられました。コーチング団体によっても、コーチング・サービスの提供姿勢に大きな違いがあるようです。

 

> コーチングをビジネスでない、というメンバーに多いような気がします。そのような方々は、コーチングは「愛なのだ」と平気でおっしゃる。

上述の内容も含めて、「コーチング」の定義や方向性の違いが大きく、また、一般の方々に与えている誤解や、印象の違い(イメージのバラつき)が大きいため、ビジネスの展開という意味で困難な面があることは確かだと思います。

第104号で書いたように、NHK クローズアップ現代で放映された「”コーチ”をつける社長たち」で紹介されていた内容が、「コーチング」か「コーチング的会話」かで激しく意見が対立するような状況だからこそ、余計に、「コーチングでは、医療行為は行わず、メンタル・ヘルスも扱わない」といった方針が徹底され、「コンサルタントと名乗るには実力的に不安を感じるので、コーチと名乗ることで、クライアントの話もよく聞かない内から、氣楽に自分なりのアドバイスをベラベラ語るような輩」が激減するように、コーチング関係者が、1)「コーチングとは何を指し、周辺領域との違いが何であるかをきちんと理解した上で職業倫理を遵守する」こと、2)消費者(コーチング利用者)の目を肥やしていくために役立つ情報を発信していくことが大切なのではないでしょうか。

例えば、実質的な内容が「セラピー」であるにも関わらず「コーチング」と称し、自己啓発オタクと呼ばれる人々に人氣が高いとされるある団体(…関係者談)では、数万人程度とも言われる自己啓発系セミナー市場(?)の中だけで、コーチをやったり、クライアントをやったりするのを続ける人々が多いために、「自分の提供するコーチングをニッチ市場に特化したものと見せるべき」と教えたりもしているようです。しかし、それでは、その ”コーチング” を教える団体を修了した ”コーチ” たちが、数万人程度というレッド・オーシャン(赤い海;血で血を洗う競争の激しい既存市場)の細分化を進め、パイの取り合いをしながら、ビジネスの行き詰まりに向かって行っているに過ぎません。

ですから、「従来のコーチング」では行っていなかった(or できていなかった)レベルのしっかりとした内容で、例えば、エグゼクティブ層に受け入れられるコーチング・ビジネスを展開していくこと[ = 自己啓発系セミナー市場の外にある、ブルー・オーシャン(青い海;競合が少ない、または、いない新規市場)の開拓 ] が求められるのではないでしょうか。

 (後略)

 

上記返信文章は、無料解説動画「合同会社5W1H流コーチングの "7つの特徴" ~ 手軽さより、上質を追求する ~」の [ 第3回/全11回 ] コーチングの課題と世界的な潮流や、[ 第7回/全11回 ] 特徴3:システマティック(体系的な) でご紹介している内容に通じるところがあるように思っています。 みなさんは、どのようにお考えになるでしょうか?

 

コーチング・スキルの概観図(弊社オリジナル2011年版)

第102号では、コミュニケーションについて、「問題構造(構成要素、要素どうしの関係、要素を取り巻く環境など)を正確に把握しましょう!システム思考で考えましょう!」という考えをご紹介していましたが、これは、そのままコーチングについても当てはめることができると考えています。
そして、弊社が提供する新しいコーチング・プログラムでは、

  • クライアントとコーチを「要素
  • クライアントとコーチの相互作用を「要素どうしの関係性
  • コーチング・セッションを「コーチングを実施する(物理的・心理的な)場

と解釈し、

時間発展」(時間の経過に伴って生じる変化)の視点 を加味して、Pre-CBPおよびCBPでお伝えする予定のさまざまなコーチング・スキルなどを、1枚の図にまとめてみました。

それが、次の図表1:「コーチング・スキルの概観」になります。
(…この概観図と、下記のプログラムの内容を対比させながらコーチングについて学んでいきます。基本的に、Pre-CBPは「個人向けコーチング、日本語資料中心」で、CBPは「組織向けコーチングに関する内容も加え、英語資料中心」という構成の予定です。)

コーチング・スキルの概観(5W1Hオリジナル2011年版)

図表1:コーチング・スキルの概観(弊社オリジナル2011年版)

Pre-CBPプログラム [ 全15日間 ]

第1日:フレームワーク質問力(総論-前編)
コミュニケーションを図る際のマインドセット、コミュニケーションの特定部分を具体化・詳細化する質問力 ほか

第2日:フレームワーク質問力(総論-後編)
コミュニケーション全体の目的・話の土台の確認と、関係者ごとのフレームを意識した上での質問力 ほか

第3日:コーチング概論
コーチングの前提、プロフェッショナリズム、ステイト・マネジメント、クライアント候補者がコーチングに取り組む準備ができているかどうかについて確認するモデル(2010年論文) ほか

第4日:支援(ラポールと存在感)とリスニング(能動的な精聴)
フィードバックとコメントの違い、話の構造を意識しながら聴く、相手の感情に合わせて応答する ほか

第5日: パターン認識(初級編)
タイプ分けではなくパターン検出、ベースラインを用いたキャリブレーション ほか ※初級編をPre-CBPで、上級編をCBPで扱うことを予定しています。

第6日:情報選別スタイル検出
60種類のメタ・プログラム、制限をもたらしている信念の検出法 ほか

第7日:メタ・モデルとメタ・クエスチョン
クライアントが独自のメンタルマップの創出に用いた判断基準(フレーム)が、現在の状況においても適切さを保っているか、考えるようクライアントを導く ほか

第8日:フレーム・チェンジ
リフレーミング、プリフレーミング、ディフレーミング、思考を柔軟にしてダイアローグを円滑に進める ほか

第9日:ステイトの引き出し
メタファーや物語を用いて感情を伴う体験などを再現、クライアントの話に類似した構造を持つ物語の活用 ほか

第10日:変化のモデル・レベル・メカニズム
変化軸モデルを意識したコーチング演習 ほか

第11日:クリティカル・シンキングの基礎
メタ認知を活用する、業界の常識や自分自身のメンタルモデルを建設的批判精神で確認する、洞察に基づいて新たな仮説を立てる ほか

第12日:システム思考の基礎と図解
因果ループ図の描き方を学びコーチングで扱う事象を概念化する、クライアントと協働して図を描く、レバレッジ・ポイントを発見しクライアントの同意を得る ほか

第13日:ダイアローグ1
話の内容のみならず、関係者の思考プロセスや感情に意識を払い、特定の立場や手段に固執せず、率直な意見交換を行うことによって、目的を達成しようとするコミュニケーションの方法、るつぼ(crucible:クルーシブル) ほか

第14日:ダイアローグ2
課題図書の内容を題材にして、交替で、学習の場のファシリテーションを行う ほか

第15日: プレゼンテーション
Pre-CBPで学習した内容と今後の活用法について発表し会場からの質問に答える、受講者による無記名投票 ほか

 

弊社では、「Pre-CBPおよびCBPを用意した背景・問題意識について」でご紹介したような想いを持ち、今回ご紹介してきたPre-CBPやCBPといった取り組みによって、冒頭でご紹介したMさんのコーチングへの疑問・不安・批判?の払拭に少しでも貢献できればと考えています

あなたは、「コーチングという職業の範囲や在り方」についてどのようにお考えでしょうか? 「コーチング・スキルの概観」(リンク)の中身をご覧になって、あなたがご存じのコーチング・プログラムとの違いについて、どのようにお感じになったでしょうか?

さて今回は、

  • 読者Mさんからの、コーチングについてのお便り
  • 上記に対する高野の返信
  • コーチング・スキルの概観図(弊社オリジナル2011年版)

といった話を通して、私のコーチングに対する考えの一端をご紹介してきました。あなたは、どのような印象をお持ちになり、何を考えられたでしょうか?

何か少しでもお役に立てれば幸いです。

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