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人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

相手に寄り添う「方法探し」だけでは、「納得解」は得られない!?(第199号)

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先日の「4段階コミットメント診断~思考と感情の足並みを揃え、決断軸をより深く扱う~」(※1)では、「『適切に課題を設定する』ことを重視し、【取り組み対象】を丁寧に扱う演習を重ねてきたうえで、無意識ながらも『自己防衛』や『現状維持』に向かうという形で、変化を阻んでいる【取り組む側の人間】に意識を向ける」という内容を扱いました。

表面的な話で終わってしまわず、「協創対話」(※2)を実現するには、「適切に『取り組み対象』を選び、『取り組む側の人間』の納得を得ることが不可欠であるという話の一端をご紹介できればと思い、

今回は、Kさん(食料品の製造・卸売、小売業支援を行う会社の生産本部にて勤務)のご了承を得て、Kさんがクライアント役を務められた演習の例を紹介いたします。(Kさん、公開のご了承、ありがとうございました!)

※1 下記の4つのモジュールから成る合同会社5W1Hコーチング学習プログラム」(CLP)の内容の一部です。

モジュール1:フレームワーク質問力®
モジュール2:思考パターンの検出と視点の変更
モジュール3:対話のナビゲーション・システム
モジュール4:システム思考とコミットメント

次期CLPの日程は、こちらをご確認ください
2月17日(金)21時まで、「早割」 実施中です。

※2 協創対話(Co-Creative Dialogue)

対話(dialogue)とは、「話の内容のみならず、関係者の思考プロセスや感情に意識を払い、特定の立場や手段に固執せず、率直な意見交換を行うことによって、目的を達成しようとするコミュニケーションの方法」であると弊社では定義しています。 そして、関係者との間で、「真実」「解決策」「新たな可能性」を探求するための、関係者との粘り強い対話のことを、弊社では「協創対話」と表現しています。

「協創対話の基盤」については、『フレームワーク質問力®で、「協創対話の全体」については、「合同会社5W1H流コーチング学習プログラム」で、参加者のリアルな課題を扱った演習を通して着実に学んでいきます。

 

「今年は、継続的なアウトプットに取り組みたいのです」と切り出されたら…?

クライアント役が、前出のKさん(食料品の製造・卸売、小売業支援を行う会社の生産本部にて勤務)で、コーチ役はOさん(異業種にて勤務)が務める形の、30分間の演習の冒頭には、Kさんから下記のような話がありました。

この頃、「日常体験を振り返って考えたことを書き留める」というアウトプットをあまり行っていないのです。 アウトプットを続けることがどういったことにつながるのか、どんなやり方が良いのかについて考えや氣持ちを整理して、今年はアウトプットに取り組みたいと考えています。 今回のセッションでは、この辺りの整理ができればと思います。

あなたが、コーチ役のOさんの立場だったら、どのように話を進められるでしょうか?

Oさんは現状把握を丁寧にしようとKさんに働き掛けられ、下記のような事柄が明らかになってきました。

  • 日常業務や読んだ本、観た映画、出会った人との話などについて自分なりに振り返ることで、自分が固執しているものや好きなこと、嫌いなことが何なのかなどについて理解が深まり、頭や氣持ちが整理できるというのは、確かに良かったです。 良かったことは良かったのだけれど、あまり続きませんでした。
  • 去年の夏ごろから3ヶ月くらい、ほぼ毎日、3~4行くらいであってもメモ(出来事+自分なりの考え、不快で感情を揺り動かされたこと、面白いと感じたことなど)を書き続けていました。 いわゆる「リフレクション」(※3)です。 そのときには、契約したリフレクション・パートナーがいて、書き留めたメモ(共有ファイル)を見て、コメントや質問をくれていたこともあって、「怠けちゃマズイな」と思って続けていた面もあると思います。
  • インプットの量を増やしたいとは思わないのですが、「消化されずに流れていくだけの情報が多い」ので、「体験の中から、今後に活かせそうな要素を抽出して記録しておきたい」「何か意味あるものを、続けて残しておきたい」と感じています。 この辺りが、「アウトプットをしたい」という話の目的かもしれません。
  • ノートに書くのは続かないと思います。 SNSなどでオープンにするのではなくて、自分なりにアウトプットを蓄積できればと思っています。

※3 リフレクション(Reflection)
出来事や業務などから離れた状況で、自分の言動・態度などを振り返り、将来に向けた有意義な意味づけの仕方、自分なりの課題の発見などについて考え、それらの経験を適切な捉え方で再構築すること。

この辺りまで現状把握が進んだ状態で、Oさんは「私の場合には、何か思いついたことがあったら、スマートフォンにメモをするようにしています。 別に、毎日とか決めているわけではありませんが、いいアイディアを忘れてしまうのはもったいなくて嫌なので、そうしています。 結果として、そのメモの習慣を続けることができています。 Kさんの場合には、料理でも趣味でも何でも良いのですが、『続けることができていること』にはどんなものがありますか?」という質問を投げ掛けられました。

こういった質問によって、Kさんからは次のような話が引き出されました。

  • 去年の日記だけでなく、オンライン英会話の学習なども、いろいろなことを3ヶ月くらいで止めてしまうことが多いです。 やっているときには、ほぼ毎日取り組んでいるのですが、だんだん熱が冷めていく感じです。 「始めることができても、続かないことが問題」というか、「習慣化が課題」なのかもしれません。
  • Oさんは「氣づいた時だけ」メモをされているのですね。 私も「感情の振れ幅が大きい体験」をした時にはメモをするのですが、「日常の小さな体験も、後日活かせるように残しておきたい」のです。
  • 去年のように、リフレクション・パートナー(メモを読んでくれたり、質問を投げ掛けたりしてくれる人)を雇うことや、携帯アプリのようなツールを用いることをイメージしても、今は、「続くかなぁ」と疑問に思ってしまいます。
  • ガチガチにハードルが高い取り組みは、続かないと思います。 毎日10~20分程度であれば、そんなに負担は多くありません。
  • 去年の場合には、業務が繁忙期に入ったことと風邪をひいてしまったことが重なったのが、継続できなくなるきっかけだったかもしれません。 一回さぼると、さぼり癖が出てしまうのです。 だから、「毎日ではなく週に5日でよい」とか「週に3回を1年間」といった実施頻度の少ない形であれば続けやすいのかもしれませんが、その場合には、「週に5日が週に3日になり、さらに週に1日になり…」と実施間隔が長くなり、次第に取り組まなくなっていって、継続習慣にするのは難しいように思います。

ここまでが、クライアント役のKさんと、コーチ役のOさんの30分の話の概要となります。

あなたから見て、クライアント役Kさんの目的は、どの程度、達成されたでしょうか?

また、もしあなたが、演習全体を振り返る私の立場だったとしたら、このあと、KさんとOさんにどんな質問を投げ掛けるでしょうか?

 

「変化」を得る「目的」で、「不変」の「手段」を用いようとしていた!

では、続けて「演習の振り返り」の概要を見ていきましょう。

演習の冒頭で、Kさんは、「アウトプットを続けることがどういったことにつながるのか、どんなやり方が良いのかについて考えや氣持ちを整理して、今年はアウトプットに取り組みたい」という話をされていました。

その後の話は、Oさんの質問「『続けることができていること』にはどんなものがありますか?」によって、「アウトプットを続けることがどういったことにつながるのか」などの部分を飛ばして、「メモを継続するための具体的な方法探し」が中心になっていき、演習時間が終了となりました(※4)。

※4 このように、「質問」によって「相手の意識の向け先」が変わるため、「適切な課題の設定」を行う対話では、「適切な質問」が重要となります。

この状況を踏まえ、「演習の振り返り」では、2016年12月25日のFacebookページ記事のタイトルにもした、「信じて寄り添いつつも、安易に同意せず、納得解を協創する!」という姿勢、「わかったつもりにならず、丁寧に確認を重ねる」姿勢を重視して、下記のような質問も投げ掛けました。

  • メモの内容って、具体的にどのように活かしていらっしゃるんですか?
  • アウトプットを継続すると、どんな利益や効果が得られそうですか?
  • アウトプットは、図解や音声や動画などではなく、文章でないといけなさそうですか?
  • 「3日坊主」という言葉がありますが、「3ヶ月続く」のはすごくないですか?
  • 「3ヶ月続く」というのは、「だんだんやらなくなっていって、3ヶ月経つころには止めている」ということですか? それとも「3ヶ月経つころから、徐々に休みがちになる」ということですか?
  • 「去年と同じことを始めても続くかなぁ」とおっしゃっていたということは、「同じやり方では、ダメそうだ」と想像されているという理解でよろしいでしょうか?
  • 「習慣化したい」と言われる時の表情を見ていると、「Want」(欲している)ではなく、「Must」(習慣化しなければならない)という捉え方で話されているように感じたのですが…改めて、Kさん自身はどう思われていますか?
  • やっぱり「続ける」ことが大切なのでしょうか? 「続ける」には「断続」(休止期間があっても復活すればよい)という形でも大丈夫そうですか?

など

これらの質問を用いて「納得解」を「協創」しようと心掛け個々の質問から導かれた回答を「組み合わせつつ、整理」していく(※5)と、次のような話になりました。

●本音を言えば「習慣化したい」と思っているのではなく、「習慣化しなければならない」と思っている義務や強制といった形のストレスを感じる→「同じやり方では、ダメそうだ」(ツライから)

「毎日メモしよう!」としていると、「情報収集のアンテナが立つ」感じがする

→(さらに表現を「しっくりくる」モノに変えていく)→「メモする生活を継続」していると、「同じように過ぎていく日常のわずかな変化を捉えるように、情報収集のセンサーが鋭く働く」、あるいは、「普段と異なる視点から出来事を捉えるように意識が高まる」という効果が得られる!

「3ヶ月は続けられる」&「断続」(休止期間後に復活)でも良い

「3ヶ月」と言えば「4分の1年」です。 「春夏秋冬」の季節のような長さですね。 「3ヶ月程度は続けることができる」のであれば、最初の3ヶ月(季節)は「○○という形のメモ」、次の3ヶ月(季節)は「△△という形の記録」、その次の3ヶ月(季節)は「最初の○○形式のメモに戻ってもよいし、さらに別の□□という形の記録にする」という「サイクル」を採り入れるやり方をイメージしてみてください。 余裕を持たせて、2ヶ月ごとのサイクルでも良いですよ。 抵抗感はありますか? → 抵抗ありません。これなら、やれそうです(笑顔)!

「演習の振り返り」では、Kさんの確認を得ながらこの内容をさらに整理し、次のような話になりました。

「同じように過ぎていく日常 = 変化がない日常」に飽きている(苦痛だと感じている)。

●だから、「メモであれ何であれ、『同じ取り組み』をただただ単調に継続する」ようなタスクを増やすのは嫌だ。 そのため、「3ヶ月続けることができる取り組みを、4ヶ月、5ヶ月に延ばすにはどうすれば良いか?」という方針の考え方は受け容れづらかった。

●一方、「センサーが鋭く働く状態を保てると、変化を察知できる」ため、「飽きない日常が得られる」のは嬉しい! 「メモを継続したい」というのは、「目的」としてではなく、「センサーを鋭く働かせる」ために有効な「ひとつの手段」でしかなかった!
…当初は、「『変化を得る』という『目的』のために、メモという『手段』を持続する(『不変』の『手段』として採用し続ける)にはどうすれば良いか?」と考えていた。

●「メモ」をはじめとする、自分のセンサーを鋭敏に機能させる「複数の手段」を、一定期間ごとに採用するという「サイクル」の考え方を導入することによって、「日常生活を変化のあるもの」に変える工夫をしていけば良いのだ!

いかがでしょうか?

「この頃、『日常体験を振り返って考えたことを書き留める』というアウトプットをあまり行っていないのです。」で始まった話が、「Kさんの『日常生活に変化が欲しい』という欲求を顕在化させたうえで、より本質的な対応を見い出す話になっていった」こと(=適切に『取り組み対象』を選び、『取り組む側の人間』の納得を得ていったこと、課題の再設定を行ったこと)をご理解いただけたのではないでしょうか?

また、Kさん自身の表現で、「『体験の中から、今後に活かせそうな要素を抽出して記録しておきたい』というのが、『アウトプットをしたい目的』かもしれません」というものがありましたが、それを鵜呑みにせず、「信じて寄り添いつつも、安易に同意せず、納得解を協創する!」という姿勢を意識することで、Kさん自身が氣づいていなかったり、言語化できていなかったりした「アウトプットをしたい目的」を探求することができたという側面にも注意を払っていただきたいと思います。

こういった形で進めていくのが、弊社の「協創対話」(合同会社5W1Hコーチング)であり、「誰も事前に正解がわからない状況で、納得解を協創していく」のに役立つアプローチではないかと考えています。

※5 「魔法のような劇的効果をもたらす、特別な『質問フレーズ』を探そう」という姿勢とは異なるアプローチです。 興味をお持ちの方は、「『質問力』開発物語」をご覧ください。

今回は、「今年は、継続的なアウトプットに取り組みたいのです」で始まった対人演習を例に挙げ、「相手に寄り添う、方法探し」のような表面的な話で終わってしまわず、「適切に『取り組み対象』を選び、『取り組む側の人間』の納得を得る」という「協創対話」(合同会社5W1Hコーチング)の雰囲氣をお伝えできればと、「演習の振り返り」内容について紹介いたしました。

Kさんが、「実は『習慣化したい』と思っているのではなく、『習慣化しなければならない』と思っている」のに氣づくには、「言葉のやり取り」だけに意識を向けるのではなく、「表情や声の調子の変化」を捉えるように「総合的に『観察』しながら、対話する」のが大切である点も忘れないようになさってください。(だから、「知識」を得ればよいのではなく、「対人スキル」を習得するための「トレーニング」が重要なのです!)

あなたは「協創対話」のアプローチについてどのように感じ、どんなことをお考えになったでしょうか? 周囲の方々とお話になってみてくださいね。 それでは、次回のニューズレターでまたお会いしましょう♪

P.S. 今回紹介した「協創対話」のアプローチに興味をお持ちの方は、下記をご活用ください♪

1月17日(火)、2月10日(金)、2月18日(土)ほか
「"適切な"課題設定」入門

合同会社5W1H流「コーチング学習プログラム
~適切な課題設定と視点変更を重視する「協創対話」を学ぶ~ 2月17日(金)21時まで、「早割」 実施中です。

モジュール1:フレームワーク質問力®
モジュール2:思考パターンの検出と視点の変更
モジュール3:対話のナビゲーション・システム
モジュール4:システム思考とコミットメント

まずは、モジュール1の内容や質、雰囲氣を確かめてから、モジュール2に進むことが可能です。

1月24日(火)~1月25日(水)
2月4日(土)~2月5日(日)ほか
フレームワーク質問力®コーチング学習プログラム:モジュール1)

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